きりのみやこ

ソプラノ歌手「みやこ」の音楽する日々

ディーヴァ

2008年03月13日 | 音楽のこと
先に、グルベローヴァについて書いた。
彼女について書いたなら、もう一人、書かなければならないディーヴァ(歌姫)がいる。

マリア・カラス だ。

永遠の歌姫、オペラ界の鬼才である。

あの声、あの容姿。
そして彼女の波乱に満ちた人生。
まさに、「歌に生き、恋に生き」(プッチーニのオペラ、"トスカ"のアリア。)大輪の花を咲かせた後に、散っていった女性である。
グルベローヴァとは対照的に、短い人生を駆け抜けて行った歌手とも言える。

彼女の輝かしい経歴と、あの私生活の華やかさからして、私の彼女に対する印象は、「激しい、感情的な歌い手」 だった。

しかし最近、彼女の録音を聞けば聞くほど、その裏に隠れた演奏の緻密さが伝わってくる。
正直、「あれ?」と思っていた。

そして先日、マリア・カラスのドキュメンタリーを見た。
内容的には、もちろん彼女の波乱に満ちた人生が主だ。
そしてオペラにおける彼女の卓越した演技力。
彼女はこう話す。
「演技をどうするか困ったときは、音楽を聴くの。
音が演技を導いてくれるから。」

そして、ドキュメンタリーの最後の方に、このコメント。
“彼女の演奏は、いつも楽譜に忠実で、楽譜を見ながら聴いているとその正確さに驚く”

脳天をつかれたような衝撃を受けた。

才能だけでディーヴァと呼ばれる事など、決してないのだな、と改めて思う。
彼女の華やかな舞台の裏に、いったいどれだけの努力があったことだろう。

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