きりのみやこ

ソプラノ歌手「みやこ」の音楽する日々

蝶々夫人の望み♪

2021年04月29日 | 音楽のこと
役作りにおいては、以下のような事を考えながら
想像力を働かせて人格形成していきます。

蝶々夫人の望みとは、一体何だろう?
表面上は、アメリカの軍人、ピンカートンと家族を作り、幸せに暮らす事。
でも本当にそうだろうか?

ピンカートンへの愛。
これもどこか、私はピンカートンという人そのものと蝶々夫人の心の結びつきの弱さを考えると、疑わしいと思っている。
蝶々夫人は、ピンカートンが本気で蝶々を愛していない事に、どこかで気づいていたのではないかとさえ思う。

蝶々夫人はそもそも、立派な家柄の裕福な武家の家の生まれだ。父が罪を着せられ命を絶ち、貧しくなってしまった家計を支える為に芸者になる。

きっと蝶々夫人は、父を死に追いやった人間への憎しみを、ずっと抱えて来たに違いない。
そして嫌々芸者をしなければならない日々。
恐らく身近な。。もっと言えば日本人男性に対する嫌悪感から、全く異種のアメリカから来たピンカートンに魅力を感じたのではないかと。
さらに言えば、日本人男性の妻になんかなるものか!という主張が結婚という結果に繋がった。
そんな風に思う。

では、蝶々夫人の本当の「望み」とは?

私は、「死」だと思っている。
きっと蝶々夫人は、立派に人生を成し遂げる為に、ピンカートンと恋をして、その恋の終わりと共に命を絶ったのだと。

そんな風に考えると、私の中の謎が、するすると解け始めた。

海外では、この作品の蝶々夫人という女性の「強さ」が話題だが、私は蝶々さんは、ごく普通の日本人の高校生くらいの女子だと思う。
そんな風に演じてみたい。