SIDEWALK TALK

生贄

LetterGW、無為無聊の日々を過ごしている。
HDDに録ってあった映画『バベル』を鑑賞。
難解でもっさりとした作品かと思ってたけど、
テンポがよくて娯楽性も高かった。


映画の論評はさておき、気になるシーンがあった。
それは、菊地凛子のヌードじゃなく、
ベビーシッターの息子のメキシコでの結婚式の場面。
息子の友だちが、披露宴のパーティー料理のために、
ニワトリを絞めるプチ残酷なシーン。
アメリカからきたWASPの子どもは目を丸くしていた。


僕にも似たような経験がある。
僕の父祖の地は福岡県の唐原という田舎町で、
本家は農業を営んでいた。
ガキのころ、本家に遊びにいったとき、
おもてなしに水炊きをご馳走になった。
そのとき、目の前でニワトリが絞められたのを見たのだ。


わざわざ僕にそのシーンを見せたおじさんの意図は、
ちょっとしたイタズラ心もあって、
ビビらせてやろうということだったんだと思う。
そして僕は、案の定、ビビりまくってしまった。


その夕、だされた水炊きに手をつけることをためらっていた僕に、
無情にも母は、親戚の手前もあって、食べることを強要した。
僕は、泣きながら水炊きを食べた。


鶏絞め噺をもうひとつ。
ガールフレンドのマキちゃん、
子ども時分、家でニワトリを飼っていたそうだ。
マキちゃんは、家畜じゃなく、ペットとしてニワトリに接し、
餌をあげるのを日課としていた。


ある年の誕生日、学校から帰ると、
かわいがっていたニワトリが、首を刎ねられ、木に吊されていた。
ビックリして家に駆け込むと、お婆ちゃんがこう言ったそうだ。
「マキ、誕生日おめでとう。今夜はご馳走だよ」
その晩、マキちゃんは泣きながら水炊きを食べた。

(゜゜;)エエッ、食べたんかい!

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