かなりのフラメンコ好きでもこの人の名を聞いたことがある人、ましてや歌を聴いたことのある人はそれほどいないだろう。サラオ、本名ホセ・アントニオ・マルティン・ジャネス。最初に聴いたときはほんとびっくりしました。まだこんな歌い手が隠れていたんだ、って。
ファンダンゴの本場、ウエルバ県アロスノ出身の両親のもと、出稼ぎ先のドイツ生まれ。ルンバを歌っていたが、タブラオでフラメンコと出会ったのだといいます。
これは、マネージメント事務所が制作したCDがデビュー盤で、伴奏はチクエロとダビ・セレドゥエラ。
マラゲーニャにはじまり、タンゴ、セギリージャ、アレグリアス、カルタへネーラ、ブレリア、ティエント、ファンダンゴ・デ・ウエルバ。マルティネーテと9曲。個人的にはチクエロ伴奏の曲の方が、まっすぐ歌っている感じがして好きだ。これは伴奏のせいだけではなくて、作曲のせいかもしれない。自主制作に近いから、というわけでもないだろうが、各曲の作者名がクレジットされていないのは非常に残念。ま、このアルバムに限ったことではないけれど、なぜむりやり、新曲歌うんでしょうね。昔ながらの、でもいいと思うし、その方が魅力がでる歌い手モいると思うんだけど。
系統としてはカマロンなのだろうが、単なるカマロネーロではなく、彼の個性がちゃんとあるのがいい。とにかく一度は聴いてみてください。