しかぜきょうこの1日1枚+

スペイン在住フラメンコ研究家/通訳コーディネーターによるフラメンコCD紹介

ホセ・マヌエル・ロルダン「アパシオナダメンテ」

2010-08-04 02:33:27 | ギター
1990年まで、ビエナルにコンクールがあった。
青少年コンクールではない。
よりすぐりのプロたちが出場する、コンクールの中のコンクールである。
80年の第1回はカンテ。フォスフォリートやメネセといった実力派をおさえ、カリスト・サンチェスが優勝した。
82年はバイレ。 クリスティーナ・オヨス、マヌエラ・カラスコ、グイト、ペパ・モンテス、アンヘリータ・バルガスと、こう書いていて興奮するようなメンバーに勝ち抜いて、優勝したのはマリオ・マジャだった。
そして84年はトーケ。トマティートやラファエル・リケーニといった名手たちをおさえ優勝したのはマノロ・フランコだった。

1990年、2回目のギターのコンクール。
決勝に出場したのは、優勝したニーニョ・デ・プーラをはじめ、モライート・チーコ、オスカル・エレーロ、ホセ・ルイス・ロドリゲス、キケ・パレデス、そしてこのホセ・マヌエル・ロルダンだった。
当時29歳。

ペペ・マルティネスに師事し、
マリオ・マジャ舞踊団やアントニオ・ガデス舞踊団で活躍した実力派。
この「アパシオナダメンテ」は1996年年の「デ・ナカル」に次ぐ2枚目。
ふだんから自宅スタジオで作曲活動にはげんでいるという彼だが、
これはセビージャの録音スタジオで録音したもの。

深くて重い伝統の古風なフラメンコと
現代的な複雑な音の重なり合いをみせる今風のフラメンコとの
ちょうど中間にある、耳にやさしいフラメンコ。

メロディラインの美しい、やさしいルンバがオープニング。
耳に残るような、なじみやすいメロディがこの人の徴かもしれない。
ちょっと映画音楽のような、イージーリスニングのような。
もしフラメンコに、黒い音や深み、強さを求めるなら向かないが
フラメンコに興味のない人も抵抗なくきけるようなやさしさがある。
ボレロはまさに映画のテーマ曲のような感じだし、
スタジオでのセッションをそのまま録音したという「ミスター・ベイカー」もそう。そのあとに続く、フラメンコの枠にとらわれない曲もそうだし。
なんか映画音楽つくってほしいかも。。。

音の使い方にカニサーレスの影響が少しあるかな?あとビセンテも。
かつてのパコほどではないにせよ、
ビセンテとカニサーレスは同時代のギタリストたちに大きな影響を与えているな、と再確認。
ファルセータをまねる、とかではなく、曲の構、曲のもっていきかたとか、
つま弾きのつかいかた、とかそういうところなんだよね。







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