しかぜきょうこの1日1枚+

スペイン在住フラメンコ研究家/通訳コーディネーターによるフラメンコCD紹介

第23回 マリア・ソレア

2005-11-05 05:18:44 | カンテ
「マリア・ソレアが亡くなったんだって」
昨日、ヘレスのともだちにかけた電話で知らされた。
…絶句

大好きな歌い手の一人。
87年12月、スペインに渡って間もない私がヘレスで行われたフェスティバルではじめて出会った
それまで名前もまったく聴いたことがなかった歌い手。
でも彼女の歌は私を感動させるにじゅうぶんだった。
ブレリアを歌い踊るそのグラシア。
いかにもヒターナといった雰囲気の、でっぷり太った
小山のようなおばちゃんなんだが、そのちょっとした仕草の愛らしさといったらない。
そしてそのシギリージャの深さ。
弟テレモート・デ・ヘレス(フェルナンド・テレモートの父)と同じあのビブラートが
心をふるわせる。

彼女の録音はそれほど多くない。
92年だったかな、セナドールというセビージャのレコード会社がソロ・アルバムを
録音してくれたのだが、残念ながらCDにはなっていない。
ニンバスというたしかイギリスの会社が録音したアルバムと、
モライートたちサンティアゴの仲間達の「カジョス・レアレス」くらいだ。
(ほかにヘレスの銀行のクリスマスアルバムがあったと思うが)

録音は少なかろうとも、一度でも彼女の歌を聴いた人ならば
その歌はいつまでも心に残っていくことだろう。