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しかぜきょうこの1日1枚+

スペイン在住フラメンコ研究家/通訳コーディネーターによるフラメンコCD紹介

第89回 モレンテ「ネグラ・シ・トゥ・スピエラス」

2006-08-21 10:17:51 | カンテ
前回に引き続きモレンテ。
これはえーと、92年にヌエボス・メディオス社から発表されたアルバム。
彼、42年生まれだか50歳の時っすな。いやいや、もっと若くみえるけどね。
ここではキューバの詩人、ニコラス・ギジェンやスペインを代表する詩人、アルベルティ、ベルガミンなど
現代詩人たちの詩をとりあげております。
アルベルティの「もし僕の声が大地に死したら」はアレグリアスで歌ってますが、
ビセンテ・アミーゴ「ポエタ」にもこの詩はいってるので(さあ、何の曲でしょう?わかった人はかんりのおたく?)
ききくらべてみるのも一興かもです。

音のつくりとしては、パーカッションやコーラスのつかいかたとか、モデルノになるのでしょうけど
そればっかじゃあないっすよ
たとえばシギリージャ。
ちょっと聴きだとモデルノ~と思うかもだけど
ちゃんと聴くとこれがなかなかでございます。
ソレアもいいよん。
ファンダンゴ、なつかしーかんじ。けっこうこれいろんな人うたってまっせ。



第88回 エンリケ・モレンテ

2006-08-17 22:38:36 | カンテ
なぜかエンリケ・モレンテって日本じゃ人気ないんですよね。
プリミティブなものを尊ぶ傾向のせいかな。
コアなフラメンコファンはスペインのプリスタ(純粋主義者)もまっさおなくらいに
プリミティブなあじわい(とおもわれるところ)を求め
洗練や革新を嫌う。
ってこれ、なにも日本だけじゃなく、スペイン以外の外国全般にある傾向かもしれない。
文明社会との対比としてプリミティブなアートの魅力?
19世紀のロマン主義旅行家たちとかわってないのか?

今のフラメンコにプリミティブなもんなんてない。
皆がそうおもっているののは実は単に“下手”なフラメンコなんじゃないか?
っていうちょっと過激?な気分がきえない。

モレンテは地元スペインでは非常に高い評価をうけているんだけど
それはごく正当なもんである。
1)フラメンコを愛し
2)フラメンコの伝統を学び
3)新たなメロディをうみだし
4)自らのスタイルを築き
5)現代詩人の詩をとりげたり、異ジャンルとの共演など新しい試みに意欲的で
6)後進をも広い意味でサポートしてる

わけですからね。1と2まではいるかもだけど、2の真摯さもすごいし
3にいたってはカマロンも彼の創唱のもの歌ってるしな
4のスタイルは6にも通じるけど、アルカンヘルなど影響うけた若手も多いし。
5はロックグループからフランスのこども合唱団、ブルガリアン・ボイス…
詩も同郷のロルカにはじまり、多々。
それも言葉をちゃんといかしたメロディをつけているし。

ほんとすごい人なんですよ。
でも、ま、顔や声が嫌いとか、フラメンコはヒターノじゃないと、
ってゆー人もいるわけだから、しょーがないけど、
食わず嫌いはやめて、
たまにはきいてみませんか?

なお私も最初は独特の、聞き慣れないメロディとかに抵抗覚えたけど
ききこむうちにその偉大さわかってきたとゆー。

いやわかんなくて趣味でおしきってもらってもかまわんのですよ
でもま、このよさわかるとフラメンコの楽しみ、よりひろがりますよん。


第86回 アル・コンパス・デ・ロス・サンボ

2006-07-18 23:52:46 | カンテ
セビージャが暑いときはほんとうに暑い。
日陰で45度。日向は50度をこえ
脳みそはとけて蒸発していく感じ。
もう何も考えられない。
何もせんでも玉の汗
ぼーっとしてる以外なにもできない
って感じ。

そーゆーときでもなにかせねばならんことあるときは
これでもきいて元気づけ。

とゆーわけで今日は景気付けにも元気づけにもぴったりな一枚を。
「アル・コンパス・デ・ロス・サンボ」
サンボ一家のコンパスで、
のタイトルとおり、
ヘレスはサンティアゴ街の名門
サンボ一家が総登場してくりひろげるコンパスの宴。

ルイス、エンリケ、フニャレス、ホアキンの兄弟とホアキンの息子のアブラアム
ギターはモライートとディエゴ
で9曲全部が
ブレリア
ってゆーのは前代未聞?
いやブレリア集とかアンソロジーものではありますよ。企画ものとか。
でもこーゆーのはめずらしい。

一家は魚屋さん
そーいえばパケーラんとこも魚屋さんだな。
美空ひばりといっしょだ。
エンリケもすくなくとも数年前は市場の魚屋さんにいたし
ホアキンは今もふだんはサンティアゴ街の魚屋さんにいるし
ルイスも私が最初に会ったときは魚屋さんだった。

たしか彼らのお母さんはソルデーラの妹だし
父方もボリーコやパリージャの親戚筋なはず。
つまりヘレスばりばりフラメンコ一家なわけですね。

しょっぱなはルイス。
この人はソレアも絶品だけどブレリアにも深みがあってよいですな。
2曲目はエンリケ。このひとはフィエスタの火付け役みたいな感じで
いつも最初にうたいだすイメージなんですが、このアルバムではボリーコ風にやってますな。
さすが親戚だけに?声質似てるしただのコピーとはちょいと違う。
3曲目は末っ子?ホアキン。この人のソロ・アルバムもありますが
上のふたりよりも声が明るい感じとゆーか、上ほどしぶくない?
でもいー味だしてます。
続くは息子アブラアム。いとこ筋であるホセ・ソト“ソルデリータ”風な感じもあり、かな。
フアニャレスは7曲目を無伴奏でうたってます。ほかの兄弟のようにプロ/セミプロとゆーより
アマ風?なとこもあるけど(声ののびとか)でもそれもまた味わい。それにコンパスはおすみつきです。
さいごの13分余のブレリアもまた無伴奏。いやパルマのみでの伴奏です。
これもまさに圧巻!

なおいつもいってますけど
やっぱこのアルバムの影の主役はパルメーロ。ラファ、ボー、チチャロ、たまにディエゴ・カラスコの声もきこえたり。
パルマのこまかなニュアンスだけでなく、
ハレオの呼吸のよさもききどころのひとつです。

いやー
フラメンコはヘレスにはじまりヘレスにつきる、、、でんな。

なおこのアルバムは99年メルクリオ社から発表されたのですが長らく廃盤となっていましたが
今年になってヌエボス・メディオスが復刻させてくれました。
それも同じシリーズのフェルナンド・デ・モレーナ一家、マヌエル・モネオ一家との3枚組。
やはりヌエボス・メディオスが再発売されたモライートの「モラオ・モラオ」とともに
ディエゴ・カラスコ/ヘスス・ボラが音楽監督をつとめたこの4枚で
ヘレスのアイレに思う存分ひたってくださいまし。






第85回 ディエゴ・カラスコ「インキリーノ・デル・ムンド」

2006-07-15 02:22:08 | カンテ
みたびディエゴ・カラスコです。

彼については67、68回でも書いたけど
私の絶対ご贔屓アルティスタの一人。
でもってこのアルバムはその中でもお気に入り。
先日、ずっと彼の曲ばかり繰り返しきいたんだけど
(こーゆーときにiTunesは便利)
アルバムタイトルとなった
ホルヘ・パルド/カルラス・ベナベン/ティノ・ディ・ジェラルド共演の
「世界の間借り人」はもちろん、
かつての名曲「ペーニャ・エル・ボージョ」をおもいださせるとこがどっかある
パルマを前面にだしディエゴ・デ・モラオの伴奏がめちゃかっこいー「モマ・テレサ」
自らの兵役体験をうたった「ジョ・マリネロ」
今は亡き相棒マヌエル・ソレールのサパテアードが印象的な「ラテーロ」
あんたと僕の間に化学反応はおきる?とうたう「キミカ」
…と
もうディエゴ・ワールド全開!満開でございます。

ちなみにティノはたまたま録音スタジオでパーカッションをさがしていたディエゴのアルバムに参加したことで
フラメンコに足ふみいれたんですよ~~
って知ってるかもな。何度も書いたし。

ちなみにマドリードのカラコールでひらかれたこの新譜発表公演で
わたしは観客とともにはねまくり写真はほとんどぶれてたとゆー過去あり。
そのときインキリノにあたしのなまえをおりこんで歌ってくれたとゆーのがけっこー自慢。。。
あ、このときはホアキン・コルテス君もきててさいごにおどってくれましたがな。

そ、ホアキン公演にも曲提供してるんですよね。

トリアーナのディエゴ公演まであと一週間!23日の月曜日に公演でございます。
無料なんでみんなおいでね~



第84回 エル・トゥロネーロ

2006-07-14 21:00:53 | カンテ
昔からのファンにはなつかしく
最近のファンにはなじみのない名前だろう、
エル・トゥロネーロ
70年代~80年代はじめにたいへん人気のあった歌い手の一人だ。
パンセキート、ファニート・ビジャール、スーシ、チケテテなどの
ポピュラーソングぽいフラメンコが人気だった時代である。
トゥロネーロとはトゥロン(スペインの甘いヌガータイプのお菓子)売りのことで
彼が小さいときから家族とともに村々をまわりトゥロンを売っていたことから着いた芸名。

生まれはカディス県にある美しい白い村、ベヘール・デ・ラ・フロンテーラ。
やはりカディス県山あいのアルカラ・デ・ガスレスに育つが
小さいときからセビージャ県ウトレラに行き、フェルナンダらフラメンコたちの薫陶をうけ
60年代にマドリード上京。
タブラオ、トーレス・ベルメハスで共演したカマロンとは寝食をともにした仲間。
アントニオ・ガデス舞踊団にも在籍しています。

このアルバムをきくとわかると思うのですが、
ポピュラーソング風ので人気あったといっても
シギリージャ、ソレアなども本物で
本格派の歌い手であることはたしかで
フラメンコ風の歌謡曲歌手ではありませぬ。
ここらへん、今の状況とちょっとちがいますね。

97年に脳血栓にたおれ、長らく舞台からは遠ざかっています。。。

第83回 アルヘンティーナ

2006-07-01 03:49:13 | カンテ
新進新人歌手のデビュー盤です。
アルヘンティーナ

名前はアルゼンチン、という意味ですが、
本名で、アルヘンティナ・マリア・ロペス・トリスタンチョ。
84年ウエルバ生まれの22歳。
ピティンゴに続いての大型新人。
なぜか二人ともウエルバ出身ですね。
ファンダンゴという土壌のせいかな。
こうして若手が次々に生まれるのは。

今年の4月から6月にかけてヘレスで録音されたこのアルバム、
プロデュースはヘレスのギタリスト、ボリータ。
で、当然(?)のことながら
ソレア(ディエゴ・デル・モラオ)とシギリージャ、タンゴ(マヌエル・パリージャ)以外の7曲伴奏。2曲作詞作曲。
ほかにもやはりヘレスのダビ・ラゴスの曲(タンゴ、グアヒーラ)があったりと、ヘレス色も強い?

うまいです。
カルメン・リナーレスとアルカンヘルの影響が強い(強すぎ?)なのは気になるけれど
たしかにうまい。
彼女も、ラウラ・ビタル、ソニア・ミランダ、ビセンテ・ヘロ、などの最近の多くの若手同様、
クリスティーナ・ヘーレン財団フラメンコ芸術学校出身なんだけど
その中ではダントツの実力かも。

おおっ、って思わせるなにかはありますね。

でも、かといって、最高~と驚喜するほどではない、っていうのが私的感想。
彼女らしさ、そして細部へのニュアンス付けなどがもっとでてくると
すごい歌手になる可能性はある、と思いはするんだけど。
って、ちょっときびしすぎるかな。

アルバムは純粋正統なシギリージャから流行歌風ルンバまで多彩。
歌詞もついているので、カンテ勉強中の人にも
今の潮流を知る意味でもいいアルバムかもしれませんね。

第80回 「ベン・イ・シゲメ」

2006-06-16 22:28:36 | カンテ
1982年発表のアルバム。
マノロ・サンルーカルと
レブリハーノ、
そして先日まだ62歳の若さで癌のため亡くなった
スペイン歌謡の大御所ロシオ・フラードによる
聖書を題材にしたフラメンコによる一大叙事詩、っていったとこでしょーか。

メインはこの3人なんだけどそれだけでなく
インディオ・ヒターノやアデラ・ラ・チャケータなんて
通にはうれしい実力派歌手たちも多数参加しております。
語りもはいる2枚組の大作ですが
マノロの親しみやすい音楽もあってか
非常にききやすい1枚でございます。
ギターソロのとことか、先日ご紹介したメデアに通じる物もあるなあ。
と思ったら、そーだよな、ほぼ同時期だ。

あたしのお気に入りは3曲目の「市場にて」
モーロ(インディオ・ヒターノね)やアデラなんかが
それぞれに売り物の口上をのべるやつ。
毛布やら花、ギター、敷布なんかのね。
あと1まいめのうしろから2番目のタンギージョも
アデラを満喫できまっせ。
彼女ももうずいぶんまえに亡くなってしまったけど。
このあたり
もう情景がみえるよう。ほんとミュージカルってかんじ。

舞台でやったのかなあ。私はそのへんよく知らない。
ちなみに同じレブリハーノのティエラ!は舞台もみたよ。

ロシオも、もともとタブラオでそのキャリアをはじめただけに
ブレリアやファンダンゴ・デ・ウエルバなど、
素晴らしい熱唱、きかせてくれます。

カンシオン風つーか、バラードつーかの曲もよいです。
感情のこめかたがうまい。うたいあげる、って感じ?
この人のコンサートとかにいったことはないのだけど
いっとけばよかったかな、とちょっと思ったことでした。






第78回 ピティンゴ

2006-06-06 22:18:15 | カンテ
期待の新星ついに登場!
なんてゆー古くさい文句がぴったりな
話題の新人ピティンゴのデビューアルバムがついに登場。

昔の闘牛士のような風貌。
ジャケットの写真より男前。
小柄できゃしゃではありますが実力派。

でその伴奏をつとめるのがグラナダのフラメンコ一家アビチュエラ家
御大フアン、その弟ペペ、フアンの息子、ケタマのフアン“カンボリオ”とアントニオ(パーカッション)が伴奏
ってんですから、デビュー・アルバムとはおもえんほどの豪華さだ。
でタイトルが
「ピティンゴ・コン・アビチュエラス」
ってそのまんまやんけ~

一曲目はソウレリア。
そうソウル風ブレリアなんですね。いやハングルではなくて音楽のソウル。
そうなんです、実はフラメンコの歌い手になる前にソウル・グループで録音もしてたとゆー
フラメンコとしては特異な経歴の持ち主なんですよ。
で、そのソウルな歌い方でブレリアつーのがこの曲。
繰り返しの早口言葉みたいなのも面白い。
最後のタンゴものりがよく楽しいしいろんなスタイルのタンゴがでてくるし
なんとコーラスにはカルメン・リナーレスも加わってるつー
印象的な一曲です。これがはやるかな?

でもそーゆーのりのいいフィエスタ系の曲ばかりではなく
本格カンテもきちんときかせてくれるのです。
繊細なマラゲーニャやグラナイーナ。
ソレアもいいけど、いやいや
このシギリージャの深さはどうだろう。
ほんとただものではありません。

そしてそれをサポートするギターもいいし
うむ、久々に満足いくレベルのアルバムの登場っす。

実は我が師匠のガンボアがプロデュースなんで
ヘレスでパルマの録音したときスタジオにいたんですが
いやいやヘレスの誇る超絶コンパスのパルマ隊、
チチャロとボーがやってきてちょっとパルマをいれると
それまで流行歌風だったものがまたたくまにフラメンコになる~
ハビエル・バロンのサパテアードもはいってるし。

いやあ、おすすめの1枚でございます。


第77回 シルクイト・フラメンコ記念盤

2006-06-06 02:48:51 | カンテ
今回はちょっと珍しい盤を。
2005年に発売になった
第一回シルクイト・フラメンコ「オレンジとオリーブの木の間に」記念盤。
パケーラ・デ・ヘレス、フアン・バルデラマとゆー
2004年に亡くなった二人の偉大なフラメンコ歌手を讃えて、の1枚。
これはセビージャ県フラメンコ愛好会協会がシルクイト(サーキットですが、ここではサーキット公演、つまり各地を巡演していくことをさしています。公演シリーズ?といったところかな)記念に、信用金庫やアンダルシア州、観光局、セビージャ県庁などの協賛を得てリリースしたものです。

おそらくSP(かごく初期のレコードLPの復刻)で
音はきれいにしているけどなんか違和感ちょいあり。
でもま、古い録音をCDで聴くことができるのはやっぱうれしーね。
内容はパケーラ4曲、バルデラマ12曲。やっぱSPの復刻かな?
そう、二人ともSP時代からCD時代まで生き抜いた超ベテラン。
彼らが亡くなったことでSP時代から現役とゆーフラメンコのアルティスタはもう皆無になったんじゃないかな。
あ、パケーラの伴奏はモライート(マヌエル・モラオね、今のモライートの伯父)で彼は健在だけど
現役、ではないよな。
バルデラマの伴奏はラモン・モントージャ、エステバン・サンルーカル、ニーニョ・リカルド。
なんかやっぱ歴史的録音、って感じかな。

バルデラマはカンテに対する深い知識のある人だったんだけど
(ラ・ウニオンのフェスティバル/コンクールが生まれたのは彼が当地で公演したときに
カンテ・デ・レバンテの衰退をなげいたことからだとゆー)
どーもスペイン歌謡よりの人気歌手とゆーイメージがあったんですね。
たしかに国民歌謡とでもゆーべき「エミグランテ」や「プリメラ・コムニオン」とか超ヒット曲ありますし
甘い声からもそー思われるんでしょー。でもこれとかきくとフラメンコ・フラメンコですよね。
ペペ・マルチェーナとかのあーゆー節回しとか、時代の空気はあるけれど、
いやいやお手本にしたい感じでする。

そ-いやパコ・デ・ルシアもかつて伴奏した録音があったのではなかったかな。
でもってお兄さんのラモン・デ・アルヘシーラスはバルデラマの一座でもひいていたのではなかったかな。
彼の伝記もエピソード満載で面白いですよん。

一方のパケーラも若い、けどあの鉄火肌のうたいっぷりはやっぱそのままで
なんだかうれしくなっちゃうのでした。





第72回 ポティート「バリオ・アルト」

2006-05-28 20:11:38 | カンテ
ポティート、として知られている彼ですが
今回の新譜、ジャケットには本名の
アントニオ・バルガス
も書かれています。
ポティート(離乳食)とゆーこどもっぽい名前から脱出したいのかな。

さてこのアルバム。
発売までにこれほど時間がかかるものも珍しいのではないかと。
最初、ビセンテ・アミーゴがプロデュースするという話だったのが
後、二転三転。
結局トマティートのグループでの仲間であるディエゴ・アマドールがプロデューサーとなり
完成したのはもう1年以上も前。
ネットの某サイトではもうかなり前から聴けるという噂でありました。

ポティートはご存知のようにセビージャの踊り手一家、バルガス家の一員。
父はチャンギート、伯父に故イシドロ、叔母にアンヘリータ・バルガス、
いとこにも踊り手が多数つー環境で育ち、がきの頃から歌ってた。
あたしが知り合ったのは彼がもう12歳くらいの、声変わり直前だけど
もっと小さいときからあちこちで歌って稼いでいたつーベテラン。
声変わりを経ても、そのフラメンコ性にかげりはなく、
いいひねりをもった、私のお気に入りの歌手の一人。
去年の公演にはでてなかったけど
ホアキン・コルテスのバックや、トマティートのグループで活躍しています。

のっけからカマロンがトマティートのアルバムで歌っていた
「ロサ・デル・アモール」だよ。ギターはパケテだけど。
得意の“のり”できかせるブレリアとかタンゴだけでなく、
タランタやシギリージャ、ソレアもはいってます。
シギリージャの伴奏、ディエゴ・デ・モラオなんだけどこれがめちゃ個性的でよいでっせ。

でもポティート自身の魅力が全面的に発揮されたかとゆーと?な感じものこりますな。
6曲目のタンゴとか、部分部分ドゥケンデも歌ってたし、つい比べちゃう。
いやどっちがいいとかではないですけどね、私的にはどっちもいーし、好きだし。
でもポティートのあの節回しの微妙な感じとかうたいっぷりとかもっとたっぷりきかせてくれよー
って感じなんだよな。なんか不満がのこるのだよ。
たぶん待たされた分期待たかまりすぎた、つーのもあるんだろーけどね。