鮎の俳句日記

その日の徒然を載せていきます

句鑑賞 花

2012-03-09 21:13:17 | 句鑑賞 Ⅰ(土)




今年初めて見た桜です。

この枝だけ花が開きかけていました。

今日はそれにちなんで この句を選びました。




混み合ひて目あかぬ花もありぬべし


            浜 明史


               句集「人日」より





この句を読んで 混みあってついに咲かぬままになる花もあるのかと
不思議な感じがした。

もちろん この句は 
花を咲かせている桜の木を愛でているのだが
その光景を逆説的に「目あかぬ花もありぬべし」と 言ったところが おかしい

この句を団塊の世代の人が読むと
感慨はいっそう深いものとなる
本来花の多さは木の勢いの盛んなことを示す
それと同様に 人口の多さ 密度の高さはその国の勢いを示すといえるだろう
しかし その余りの多さゆえ 返って 
その中には目のあかぬ花となる運命の人もいるのかと
わが身を振り返って思う

しかし 評者は
「目あかぬ花もありぬべし」
の 言葉の背後に
「目あかぬ花などあるわけがない」
との 真実が表出されているとも感じる


今津大天
俳句の対話術より



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