FZXな日々

YAMAHA FZX750を 旅の友として 気ままなツーリングの記録

本州最東端の地 ~魹ヶ崎

2022年10月02日 | Weblog

車検が終わり、チェーンやスプロケ、リアホイールベアリングを新調したので、どんな走りになったか試してみたいと思っていたが、秋晴れの絶好のツーリング日和となったので、今まで行きたいと思いながら果たせていなかった場所を目指して走り出した。

その場所は、本州最東端の地「魹ヶ崎(とどがさき)」である。本州の端っことはそれぞれ次の場所である。
最北端・・・・青森県大間崎
最南端・・・・和歌山県潮岬
最西端・・・・山口県毘沙の鼻
最東端・・・・岩手県魹ヶ崎

山陰ツーリングで毘沙の鼻を訪れた時、最東端が我が岩手県にあることを初めて知り、これはぜひ行かねば、と思ったのだ。

本州四端踏破ラリーというものも行われており、各最先端地に行った写真等を送れば記念品がゲットできるということを知ったのも最近のことだ。

魹ヶ崎がある宮古市は、大船渡市からは100㎞程度であり、三陸道を使えば1時間半ほどで行ける隣街みたいなものだ。だが、調べてみると魹ヶ崎まで行くには駐車場から1時間ほど歩かなくてはならないらしい。往復で2時間とすると、やはり1日を要するので、天気の良い日を選んでいったほうがよさそうだと思ってなかなか実行できずにいた。

朝8時半に家を出て三陸道の宮古南ICで降り、近くにあるファミマで朝食を食べ、昼食用におにぎりやおやつを仕入れた。車検整備を終えたバイクは快調そのもので、チェーンを変えるとこんなに加速感がよくなるものかと驚いた。変速が滑らかで、エンジンの回転が直に伝わる感覚だ。

さらにR45号を南に進むと魹ヶ崎のある重茂(おもえ)半島の入り口がある。

海岸からそれほど離れていないにもかかわらず、重茂半島は山深いことで知られている。千葉県の山は標高はそれほどないなだらかな丘陵だが、岩手県の山は標高こそ高くないものの急峻だ。地図を見ながら迷わないように慎重に走っていった。道路はよく整備された2車線の道だ。

途中に月山展望所というのがあったので、海でも見えるのかと立ち寄ってみた。

あと山頂まで4㎞というところでダートになり、しかも山頂展望所は工事中との標識に心砕かれ引き返した。

途中まで集落があったが、だんだん山深くなって人家もまばらになり、「えんやぁどっと」という水産交流体験館を過ぎると、道も細くなり荒れてきた。

松茸というと岩泉が有名だが、この辺りも赤松林が多いので松茸が採れるらしい。車が1台通れるほどの細い道が続き、林が迫ってあたりが薄暗くなってきた。

こんなところまでバスが来るのか?と思うような人家も何もないところに姉吉というバス停があった。時刻表を見ると1日に4本ほどあるようだ。このバス停が魹ヶ崎灯台への入り口分岐の目印だ。少し行くと姉吉と思しき集落があった。

集落を抜けると急に明るくなり海岸が見えてきて、できたばかりのようなきれいなキャンプ場が現れた。案内によると、デイキャンプ場で宿泊は不可とのこと。もったいない。

ちょうどバイクや車が止まっていたので、ここが魹ヶ崎への遊歩道の入り口に違いないと思い込み、バイクを止めるとスニーカーに履き替えて歩き始めた。

その入り口には「林道姉吉線起点」とあるが魹ヶ崎の案内はない。ここで気づくべきだった。そのまま進むと、500mほどで林道終点の標識が。「えっ!?」と思ったが、沢沿いに道はあったのでそのまま30分ほど林の中を進んだ。

さらに30分ほど進むと雑木林の中で完全に踏み跡を見失い、どう考えてもおかしいことに気づいた。山岳部で藪漕ぎ(やぶこぎ:道なき道をひたすら進む)に慣れていたのがあだとなり、尾根を目指してみたが体力を消耗して一歩も進めなくなった。

疲れで意識ももうろうとしてきたので急斜面に横になり、何か口に入れないと、と思いキャンディをなめる。血糖値が少し上がったのか思考できるようになり、「そうだ、おにぎりがあった」と昼食に買ったおにぎりを食べて落ち着く。

「迷った時は来た道を戻ることが鉄則」と自分に言い聞かせ、崖のようなところを滑り落ちながらも何とか林道終点に戻れた。この時ほどホッとしたことはなかった。

キャンプ場に引き返し、グーグルマップを見ると、姉吉港の先のほうから魹ヶ崎への道が伸びている。バイクに乗って、港のほうへ進むと、キャンプ場とは別の駐車場とトイレがあった。

ここか、と思い行ってみると確かに魹ヶ崎への案内板が立っている。

先程の林道とは全く違う整備された道だ。

時計を見ると13時10分、1時間半もロスしてしまったが、まだ日没には十分間に合う。気を取り直して魹ヶ崎へ向かうことにした。ちょうど横浜ナンバーのバイクもやってきて一緒に歩き始めたが、若い人だったのであっという間に見えなくなった。

遊歩道というより完全な登山道で、急な登り道だ。まあ、往時が登りなら帰りは下りで楽ちんだ、と思ったら途中に「最高地点(海抜)110m」とあり、そこから道は上ったり下ったりの繰り返しだった。

松林の中を延々と続く道には、可憐な花が咲いていて目を楽しませてくれた。


中間地点にあった標識。灯台まであと1.7㎞。

約4㎞の道のりをきっちり1時間かかってようやく灯台に着いた。灯台は芝生に囲まれた広い土地に立っていた。

灯台の敷地から120mほどのところに「本州最東端」の碑は、あった。

持ってきたパンとおやつで到達を祝い、30分ほどあたりを散策した。トイレもあったが使用禁止だった。東屋があり、そこに思い出ノートが置いてあった。

記念に名前を記し、灯台を後にした。帰りはやはり1時間かかったが復路は安堵感からか、楽に歩けた。

県41号は姉吉分岐から山田方面へも続いていたが、宮古方面の道の方が整備されていると聞いていたので、これ以上危険を冒すのはやめようと思い、宮古方面を選んだ。

国道45号には16時05分に着いたが、道路表示板に「事故のため三陸道山田~山田南間通行止め」の文字が見えたので、国道45号をのんびり帰ることにし、途中の道の駅山田で女房へのお土産に山田名物のクジラの刺身を買った。

帰り道、夕照の山田湾が美しかった。今日は危うく遭難しそうになったが、落ち着いて行動できたのが何よりだった。私の悪い癖は、周りをよく観察しないで早とちりで行動してしまうことだ。以後気を付けようと肝に銘じた。

本日の走行距離 220㎞。


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
山は怖いです。 (たかぴい)
2022-10-06 05:29:13
こんにちは 
チェーン、スプロケットを交換すると同じ
バイク?と思うほどの違いですので駆動系
のメンテは大切だと思います。
キムさんほどのベテランが迷うくらいなの
で山は怖いですね。今、観光地となっている
ところは看板がありますので、早めに間違い
に気づく必要があります。
看板があっても怖いと思ったのが三重県の
鬼が城、飲酒したら行くのをやめた方がい
いです。伊豆の海岸にも何カ所かやばい所
があります。
Unknown (キム@FZX)
2022-10-06 09:19:31
たかぴいさん>
コメントありがとうございました。
私も今回チェーンを交換して、ずいぶん伸びていたんだなと実感しました。スロットルを開けた時の立ち上がりがリニアになったと感じました。

>キムさんほどのベテランが迷うくらいなので山は怖いですね。
今回のは迷ったのではなく、間違えただけでお恥ずかしい限りです。でも、間違う人もいるかもしれないと思い、詳しく書きました。

でも、山は高さにかかわらず怖いというのは確かで、地図も必要です。最近は登山もスマホのアプリに頼りがちですからね。
私はほぼ遭難でした。 (FireStorm)
2022-10-06 21:08:07
こんばんは。
私は高知県東部の山中で1時間ほど彷徨いました。
業務で上長と二人で地権者調査をしていた時です。
上長と分かれて山頂を目指して山道を登っている
と現在地が判らなくなり、道を引き返していたと
ころだんだん道が無くなりました。
とりあえず下に降りれば道に出るだろうという思いでやぶ漕ぎをして何とか道に出ことができました。
出たことは良いのですが車を停めた場所が判りません。その頃やっと普及しだした携帯電話で上司にSOS。
何とか事故にならずに済みましたが、今でも冷や汗ものです。帰り道で迷った原因は一度分岐点迄惑ったら上りの道を選択するところを下りの道を進んでしまったことです。
以降一人で山に登るのはやめています。
Unknown (キム@FZX)
2022-10-07 15:22:26
FireStormさん>
コメントありがとうございました。
やはり同じような経験をされたのですね。あの怖さは経験してみないとわかりませんよね。
なにより、自分の位置がわからないというのは、たとえ携帯を持っていてもどこに救助に来てもらえばいいかわからないわけですから、どうにもなりません。

その点、最近ではスマホや携帯を利用して位置を知ることができるのは心強いです。また、ドローンのような空から見つけてもらえる手段があるというのも心強いですね。今までは、ヘリコプターが来ても遠すぎてわからなかったのが、ドローンなら赤外線とかで探せるそうです。

>以降一人で山に登るのはやめています。
一人がいちばん遭難のリスクは高いですね。ツーリングでも相方がいるのは事故の際に助けてもらえるのでありがたいです。持つべきものは友ですね。

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