また車検が巡ってきた。2年に1回なんて早いものだ。毎年やっているような錯覚にも陥る。大型二輪を所有するからには避けて通れない関門だが、旧車を維持するのは苦労が多い。
FZXの車検満了日は9月なのだが、1か月前から車検は受けられるので、だいたいお盆休みの時期に車検のためバイク屋に入庫となる。猛暑も終わりツーリングに快適な時期の始まりにバイクがないというのは淋しい。
先日も朝起きると真っ青な空が広がっており、「今日はツーリング日和だなぁ」とウキウキした後で、「そうだ、バイクがないのだ」と気づいて落ち込んでしまった。
今年の車検は、深刻だった。昨年の夏に九州ツーリングに行く際、チェーンとスプロケを最近交換していないことに気づき、バイク屋に依頼したところ、バイク屋から「FZXのスプロケが前後とも欠品になっており、注文してから3か月はかかるそうです」と連絡があった。
とてもツーリングには間に合わないので、その時は「そうですか」と聞き流して交換をあきらめた。バイク屋で点検してもらったら、「まだ、少しくらいなら走れるんじゃないですか」と言われたことをいいことに乗り続け、そして、秋になり冬になった。
その時注文しておけばよかったのだが、春を迎え山陰ツーリングに出かけた。九州ツーリングと違って雨には会わなかったので、毎日念入りに注油をして2800㎞を乗り切った。帰宅後、今年は車検の年だったと思い出し、あわててパーツを注文した。
ネットで注文したのだが、「在庫なし」という表記だけだったので、まさか3か月はかからないだろうとたかをくくっていた。6月に注文したのだが、注文した店からメールが届き「この商品は2~3か月納期をいただきますが、本当に注文しますか」と確認された。仕方がないので「はい」と返信した。
FZX750が発売されたのが1986年で、今年は36年目になる。マイナーチェンジはしているものの、基本的には同じ車体なので、36年前のパーツが今でも使われているということだ。当時一般的であった規格も時代の変化とともに進化してきた。
例えばタイヤサイズをみると、FZX750は前輪に16インチ、後輪に15インチのものが使われているが、現在の主流は前後とも17インチで、交換しようとしても、サイズが合わない。
いろいろな重要なパーツは、時代が変わろうとも使用していけるように標準化を図り、現在の車種に使われているものが流用できればいいと思うのだが、いまでも車種ごとに微妙に異なっている。
これは、バイクだけではなく車にも言えることで、オイルフィルターやエアエレメント、エアコンのフィルターやバッテリー、、、すべてが同じメーカーでも車種ごとに違っていて互換性はない。
その昔、第二次世界大戦が勃発した時、連合国であるアメリカやイギリスは航空機をいろいろな場所で製造するためにパーツの共通化を図り、規格も一段階緩くしたそうだ。厳しい規格では航空機製造工場では作れても、自動車工場などでは作れなくなってしまうが、緩くすることによっていろいろな工場で製造することができ、共通化によって他の機体のパーツを流用することもできる。
しかし、日本では性能を追求するあまり、そういったことは行われず、例えば燃料でもレギュラーではなくハイオクを指定するような、厳格化を実施したそうだ。その結果、試作機では達成できた性能が、女子学生を動員した軍需工場では、熟練工のような精度の部品を製造できず、量産機では出なかった。
そればかりか戦争末期には燃料に松根油のような劣悪なものを使わざるを得なくなり、また部品の共通化もないため故障した機体を修理することもできなかった。
連合軍が零戦を接収して、アメリカ本国で性能の試験をしたところ、日本国内よりも良い成績を収めたという話を聞いたことがあるが、燃料やオイルといったエンジンに不可欠なものが、日本国内のものよりアメリカのもののほうが良かったのだろう。
話がだいぶそれてしまったが、要するに私たちが乗りたいバイクはレーサーではなく、一般道を故障なく長い間走り続けるバイクだ。最高速度や馬力を誇るのではなく、日本中どこのバイク屋でも修理できるような汎用性を備えてほしいのだ。
そういった基本的なパーツは共通にして、デザインを競うことは可能なはずだが、プラグを交換しようにも手が入らない、とかメンテナンス性のあまりにも悪いバイクが多すぎるのが実情だ。
確かに、バイクは趣味の道具なのでオンリーワンが人気があるのはわかるが、それが現在のバイクの退潮の原因の一つになっていることも否めない。値段が高いのもバイクが増えない要因だ。
バイク屋にスプロケットの交換をお願いしたら、純正品は欠品なので、私がネットでパーツを探し、パーツ持ち込みでも修理しますよと言われた。
さっそくネットで調べると、リアスプロケット(ドリブンスプロケット)は530-43という規格だったが、46丁とかはたくさんあるのに、43丁というのがない。メーカーに注文すると3か月待ちだそうだ。でも、仕方がないので注文した。6月に注文して、9月にやっと届いた。
フロントのドライブスプロケットは、530‐17という規格だったがこれはモノタロウで見つかった。納期は1週間ということだった。
チェーンはDIDというメーカーのものを使っているが、値段によってシルバー、ゴールドと2種類あり、現在使用しているのはゴールドだったので、同じものを注文した。
車検が9月16日までだったので、8月の末にバイク屋に持ち込んだが、その時点ではどれもパーツが届いていなかった。車検は古いチェーンでも通るといわれたのでお願いし、パーツが入ったら交換してもらうことにした。
9月になり、待ちに待ったリアスプロケットがメーカーから届き、チェーンも届いたが、フロントスプロケットはモノタロウから納期が1か月かかるというメールが入った。今更、と思いこちらはキャンセルして、ヤフオクで探してみると、使えそうなものが見つかったので落札した。
17丁というもので、送られてきたものをバイク屋に持ち込んで合わせてもらうと、なんと厚さが違うので使えないといわれてしまった。せっかく取り寄せたのに使えないのではリアやチェーンがあっても交換できない。
やはりモノタロウで1か月待つか、と思っていたら、バイク屋で探してくれて使えるものが見つかったと連絡が入った。
これで一安心と思っていたら、リアホイールベアリングも消耗しており交換が必要なことがわかった。またブレーキパッドも残が少ないとのこと。安全にかかわるパーツは2年に1回の整備なので、予防的にすべて行うことにした。
FZX750の泣き所であるプラグキャップも2年半前にリークが見つかり交換したが、山陰ツーリングの際に雨中を走行している時、不発のような感触があったので、きっぱりと交換することにした。
約3週間かかって愛車FZXが手元に戻ってきた。
新しいチェーン
以前のチェーン
新旧のスプロケットを比較してみた。前回交換して5万㎞走行している割には減り方は少ないようにも思えるが、歯車の山が鋭くなっているのは確かだ。今回交換したので、もうFZXを降りるまで交換することもないだろう。
以前は車検から車検までに4万㎞、つまり地球1周分走行したものだが、今回の走行距離は2年で約9000㎞。これからも細く長く走り続けていこう。
ご存じのとおり旧日本海軍には栄・誉という優れた
エンジンがありました。難点はそのエンジンを生か
す手段がなかったことです。
オクタン価の低いガソリンと良質ではないエンジン
オイルではその性能を十分に発揮できません。
また書かれていたように熟練工でなければくみ上げ
ることができない機体では量産には向いていません。
結局は量産できる機体の圧勝というのが歴史の回答
でした。
なんだか少し昔の四輪にも当てはまると思います。
ドライブ中に故障しても町の修理工場やガソリン
スタンドで基本的な修理ができてまた走り出すこ
とができるアメリカ車。
その反対側にあるのが日本車・ヨーロッパ車です。
でもどちらがのって面白いかといえば後者です。
今でも機械の設計思想があまり変わっていないとこ
ろが面白いですね。
FZXの話ではなくて申し訳ありませんでした。
チェーンとスプロケットを交換すると走りが
軽くなり、これが同じバイクなのか?と思う
ほどの違いです。苦労して手に入れたかいが
あったのではないでしょうか。それにしても
部品がないのは困りますね。
RZ250なども40年くらい経っているのでバイク
は長生きです。
CBX400のインボードディスクのパーツなど出
るのかななどと要らぬ心配をしてしまいます。
たぶん、あがりのバイクになる?(それとも
新型をお買いになります?)と思うのですが
車検のないバイクについて、先日のツーリング
時に考えたのですが、この加速感と高速走行
性能、頻繁にギアチェンジが必要ない大型バイ
クの性能に2年間で5万円位のお金を払うのは
贅沢のようで、そうでもないかなと思いました。
私は70くらいまではCBF600を乗り続けようと
思っています。
400㏄の方が実用的なのかもしれませんが、同じ
車検があるのなら500㏄とか600㏄に乗りたく
なるのが人間というもので、かといって隼や
ZZRのような大きなバイクは要らないと思うの
です。
結婚して子供ができるまでの2年くらいバイク
を降りたことがありますが、それ以降はずっと
絶やさずに続けています。
これは病気ですね。
コメントありがとうございます。こういう話題のほうが私も好きですのでお構いなく。
私はまだ乗る楽しさとか、操る楽しさの域には達していませんので、走る楽しさという点では「無事これ名馬」が座右の銘です(笑)。
でも、ビジネス的には一つ一つ違っているほうが儲かるのでしょうか。PCのプリンタインクでも、一体いつになったら世界共通インクカートリッジが開発されるのだろうと、夢のような期待を抱いています。
日常的に使うものは、ある品質に到達したら、それ以上は求めなくてもいいと思うのですが。蓮舫さんでなくても「2番じゃダメですか」と言いたくなるのです。TVでも4Kを超えて8Kなんて意味ありませんよ、バラエティ見るのに。
コメントありがとうございます。
>この加速感と高速走行性能、頻繁にギアチェンジが必要ない大型バイクの性能に2年間で5万円位のお金を払うのは贅沢のようで、そうでもないかなと思いました。
同感です。車検がなかったら楽だろうとは思いますが(財布に)、250㏄の回転数を考えると、長距離は疲れそうだな、と思います。
それよりも、250㏄で安全なら750㏄でも車検をなくせよ!と声をあげたくなります。750が無理でも、せめて400㏄まで無車検なら、バイク人口はもっと増えると思います。
私も16歳で免許を取得以来ずっと二輪に乗っていますが、FZXはあがりではないと思います。たぶん原付(二種かも)に落ち着くのではないかと思っています。