けた外れに友達の多い友達がいる。
いつやったか、そいつと飲みに行った時やけど、繁華街に必ずいる
いわゆるサロン系への客引きのお兄ちゃんにつかまったことがあった。
俺はそういう時はほとんどダンマリを決め込んで目も合わさず無視
するんやけど、その友達は、頑張ってるのぉ!とかなんとか適当に
話をしながら、結果は断る訳やけど、うまくはぐらかしよる。でもそ
の言動でその友達になぜ友達が多いのかが後でわかった。
そのお兄ちゃんを振り切ったあと、友達と飲み屋に入ろうとしてたん
やけど、どこも一杯で入れず、ウロウロと店を探してたらまたさっき
のお兄ちゃんにまた会ってしまった。するとさっきのお兄ちゃんが、俺
の友達にどうしたんすか!とニコニコしながら話かけてくる。友達が
店がどこも一杯で入れない、というと、そのお兄ちゃん、どこそこの
なんとかという店はおいしいし、安いし穴場でたぶん空いてると思い
ますよ!と教えてくれた。とにかくウロウロするのに疲れてもいたし、
騙されたと思って彼の教えてくれた店に行くと、確かに安くておいし
くて、しかも入れてしまったのよね。
最初に声をかけられた時、俺のように無視をしていたのではそうい
う情報は得られなかったと思う。その友達はそんなことを意識してい
つも愛想よくしている訳じゃないやろけど、なんかちょっとしたコミュニ
ケーションの取りかたがものすごくうまいんやね。
人生50年近く、友達から教わることって未だに一番多い。
そのものすごく友達の多い友達の中の一人でよかったわ。