今日の帰り、特急にギリギリ間に合わず、もう数メートルというところで
ドアが閉まり電車は発車してしまった。
俺は電車の最後尾から走っていってたんやけど、一番後ろに乗ってい
る車掌さんは当然前を見て、ドアを閉めるタイミングを見計らっていた
ので、後ろから駆け寄る俺の姿は全く目に入っていない。それでも、も
うわずか数メートルまで近づいてるんやから、毛はないけど気配とか、
汗臭いけど匂いとか、安物やけど靴音とか何か感じて、振り向いて俺
の存在に気づいて欲しいと思ってた。でもやっぱりそれには全く気づく
ことなく、車掌さんはドアを閉め、電車は無情にも発車してしまった。
でも電車が行ってしまってから思ったのは、あの時俺の存在に気がつく
ような車掌さんでは、逆に前方の扉付近の人の安全確認がおろそか
になるんやろな、ということ。
運行中は当然車内の様子や時間の管理、次駅のアナウンスなど、
さまざまな仕事をこなさないとあかん車掌さんやけど、扉を閉める、と
いうこと時には、それだけに集中することが大切で、あちこちに気を配
っていたのでは、結局一番大切なことができないということになってし
まう。
狭い範囲をしっかり見ること。これが広く物ごとを見るより先であること
を、今日、汗をかいて息を切らせて、体で覚えた。