染織工房きはだや 「店主の独り言」

きはだや店主が今日の出来事を語る。喚く。話す。切る。
でも日記は苦手。
皆様の気軽なコメントをお待ちしています。

everything!

2024年02月08日 | 店主の一日
いくつかの加工先や加工方法を見て今回のオーダーを済ませた三日目の午後は市内観光をしました。
ドライバーの付いたレンタカーで市内を回ってもらいました。
「一人で行ってもらって構わない。但し車からは降りない事。どうも君は一人で異郷の地に降りると興味のままにどこにいってしまうかわからない。今回はビジネスのために来たはずだ。私たちはビジネスパートナーの安全を守らないとならない。君がこの街に魅力を感じたのは嬉しい事だけれど、それを肌で感じたいのならば私たちの知らないところで来て欲しい。その代わり、安全は保証できない。でも、仮にそんな時であってもビジネスパートナーがトラブルに巻き込まれるのは本意ではないけれど。」
バレバレだ。

彼らには言葉が全くできない僕にこの三日間を費やしてもらった。これ以上の手間をかけさせる事などできるはずはない。
二日間、方々の工房に行くために様々な街を通ってきた。とてもエキサイティングな街だった。
ラフカディオ・ハーンが先生から言われた様に、第一印象は全てに勝るのかも知れないけれどそれを封印する必要などない。 
コースは既にビジネスパートナーが決めてくれていた。のだと思う。実はそれすらもわからない。ただドライバー氏がコースを選んだとは思えない。
運転手氏はありがたい事に少し英語ができた。
「これからあの橋を渡るんだ。」
「これはキリスト教教会」「クリケット場」「ヒンドゥー寺院」
様々、ガイドをしてくれた。残念ながらいくつかはわからなかったけれど、Google mapを見ながら回った。
でも途中からそれを止めた。目の前にある構造物の名称を知る事よりも目に映る事、そのものの方が大切だ。或いはドライバー氏が説明しようとしてくれている気持ちを受け止める事の方が大切だ。
車が渋滞するバザールを通る。世界一の人口になったこの国の人混み、圧倒的な物量の商品。
ドライバー氏は言う「果物、バッグ、ウェア、花、ここでは何でも売っている!なんでもあるんだ!everything!」彼は力を込めて何度も「everything!」と強く言った。

深夜特急の中で沢木耕太郎は「カルカッタには全てがあった」と書きます。
フィクションかどうかは別にして僕はそんなにタフな旅行をしたわけではないし、今はネットには凡ゆる情報があります。
ドライバー氏が力を込めて言ったのは「バザールでは何でも売っているいるんだ!」と言うだけの事でしたが、それでも僕には十分でした。
今回、こんな体験ができたのはとても幸せな事でした。
全ての人に感謝をしないとなりません。






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ラフカディオ・ハーンの教え

2024年02月07日 | 店主の一日
ラフカディオ・ハーンの「日本の面影」の好きな文章がある。
来日したハーンにイギリス人の教授は日本の第一印象を早く書き留めるように勧めます。
第一印象は薄れやすく、一度薄れてしまうと戻ってこない。この先にどんなに心を動かされても、その感動は第一印象には敵わないと。
コルカタに着いたのは深夜だった。ただ混雑してけたたましい空港の空気は何か感じ取ろうとする力を完全に奪い取っていた。

コルカタを見たのはその翌日から。
街を行き交う色とりどりの美しいサリー。プリミティブな生活。喧騒。山になったゴミ。
耳と目から入ってくる情報の全てに強く感情を揺さぶられた。
三日目の朝、散歩をして少しづつこの喧騒に慣れてきているのを感じる。
ハーンが言われたようにあの鮮烈な感情はもう次第に薄れていって、もう戻らないのかもしれません。









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朝の散歩

2024年02月06日 | 店主の一日
京都に行っても札幌に行っても朝早く散歩に行く事はない。
大抵、ギリギリまで寝ている。実に怠惰だ。
コルカタではそうではない。
日本と程よい時差がある上に朝食も少し遅い。
明け方にはカラスの声がやかましくて、しばらくすると車がけたたましくクラクションを鳴らして過ぎて行く。
何よりもこのエキサイティングな街を、仮に朝の穏やかな時間であっても静かに一人部屋で過ごすのはあまりにも惜しい。
道に迷うとどうにも戻って来れなくなりそうなのなので、角を曲がる回数と角度を決めて歩いてみる。
ちょうど皆が家の前を掃いて掃除をしている。
昨晩も街を歩いたがインドは飲酒できる店が限られるためか街に酔っ払いがいない。
これはなかなかいい感じだ。
道に吐瀉物があることもない。
さっき「おや」と驚いたが吐瀉物ではなくてひっくり返した炒飯だった。
ゴミ捨て場なのか勝手にみんなが同じ場所に捨てているのかわからないけれど、ゴミの山があってここにカラスが食事に来る。
七時からは各店の前で掃除が始まる。簡単な箒を持って掃くだけ。歩道の隅にゴミの山ができるのでだけど、あれはあれで誰かが集めるのだろうか。そんな様子は見えないけど。
昨日見た周辺の集落もそうだけれど、ものすごいゴミの山が放置されている。
多分昔は土に帰るのもばかりだったのだろうけれど、今はどこにでもビニールやプラスチックが溢れる。
この国の国民の思想がどこに行くのかわからないけれど、早晩ゴミは大きな問題になるのだろう。

こっちは放り投げられたゴミだけど、多少の秩序あり。

こっちは掃き集められたゴミ。この後、どうなるのか。


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コルカタの空気

2024年02月06日 | 店主の一日
インドと日本の時差
は三時間半。
程よい時差です。
ガチャガチャに見えるこの町にも人が動き出すサイクルがあるみたいで21時になると開いている店舗が減り23時を回ると歩く人も格段に少なくなる。
朝は5時になると時折、車のクラクションが聞こえるようになる。もしかしたら0時から5時までは単に前後不覚になるくらいに寝ているのかも知れないけれど。
まだ暗い中、カラスがその辺りのゴミに集まって啼く声がします。
ニュースを見ると東京は大雪らしく。
こちらは温かで湿度の高い空気がねっとりと纏わりつくようです。エアコンのある宿ですが、こんな空気の中でコルカタの空気を感じてみるのは実によいです。
ふと林芙美子の「浮雲」を思い出してみたのです。




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コルカタ!

2024年02月05日 | 店主の一日
コルカタにきました。
今回は帯とショールの加工オーダー。
街の色を見ているとなんだか全然違う感覚の色出しをしそうです怖くなります。
エキサイティングな街は実によいです。







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店主、コルカタに着く

2024年02月05日 | 店主の一日
コルカタに着きました。
いきなりの報告ですいません。
日本時間なら朝の5時半。
そろそろ起きる時間ですが僕は寝ます。
今日のところはおやすみなさい。
#コルカタ #カルカッタ #インド更紗 #きはだや店主 #きはだや #更紗名古屋帯 #ブロックプリント





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気恥ずかしい青

2024年02月03日 | 店主の一日
万年筆は字を書いていて使いやすいです。
複写のものには使えないし、インクの吸い取りが悪い紙には使いにくいし、乾きも悪いのですが好きなアイテムです。
長らく使っていた万年筆の先が傷んでしまい、買い替えました。
ペリカン社のおもちゃみたいな万年筆を長く使っていました。
今回も同じシリーズに買い替え。ちょっと軸が細くなってスタイリッシュになりました。
早々に付属のインクを挿れて使ってみましたが、インクの色が真っ青です。
普段は替えインクに「Blue Black」を使っていたのですが、付属のものは随分青いです。
もちろん、捨ててしまえばそれでいいのですが、それも勿体無い気がします。
なんだか万年筆の青は華やかすぎて気恥ずかしい感じです。
悪字ですいません。


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