車の中で、ミドリがどういう生活を送っているのか聞いた。ミドリは大学生で、バイトをしながら通っているという話しだった。
40分くらい話していると、明りがボンヤリついているクラブの前に着いた。このクラブには、友達とよく踊りに来ると言っていた。
俺は車を駐車場らしいジャリ道に止めて、ミドリと店に入る事にした。
だぼっとしたパンツを履いて、バンダナをはめている愛想いい男がドアの前に立っていて、金を払うと、手にスタンプを押された。
これが通行手形と言うわけか。店内に入ると、ラップ系の音楽が騒音のように響いていた。
周りを見渡すと人だらけで、何が何だか分からなかった。
踊っている奴もいれば、ドリンクを飲んでいる奴もいる。ファッションも奇抜な感じだった。
ここはどうやら若者しか来たら駄目な所らしい。
立ち止まっていると、ミドリがドリンクを持って来ると合図したので、「踊ってなよ」と耳元で囁いて、代わりに俺がドリンクを取りにカウンターへと行った。
ミドリは、音楽に合わせて楽しそうに踊っていた。かわいい子が踊ると絵になっていた。
俺は、カウンターのゴツイ男に適当に酒を注文をした。ありとあらゆる酒が置いてあるように感じた。
頼んでいると、ふと、カウンターの椅子に座っている女性に目が行った。赤い帽子をかぶっている女性。どこかで見覚えがある顔だった。うつむいているが、確かにノリコだった。こんな所で何をしているのか気になった。
隣に座って話しかけた。
「ノリコ。こんな所で何をしてるだ?男とどこか行ったんじゃなかったけ?」
「ふられちゃってね。」酒を飲んでいるせいか普段のノリがいい彼女ではなかった。
「ノリコでもふられる事があるんだね。知らなかったよ。ふる男は見る目がないんだね。」
「それって、なぐさめているの?」
「そうだよ。俺、ノリコが好きなんだぜ。知らなかったのか?」
「本当?今日はそのまま受け止める事が出来そうね。」
「どんどん、受け止めちゃっていいよ。」
「それにしても、私達いつもどこかで逢っているわね。運命って事かしら。」
「そうだよ。運命の赤い糸さ。たぐり寄せれば、あら不思議ぴったりとノリコと俺の小指がくっ付くという訳さ。」俺は小指を立てて見せた。ノリコも合わせるように小指を立てていた。小指を見つめると、遠くを見つめていた。
「そうかもね。今日は、何から何まであなたに甘えられそうだわ。今から、どこか行かない?」
「うむ。どうしたもんかな。」ミドリの方を向くと、知らない男がミドリと仲良さそうに踊っていた。そこだけステージが切り取られたかのような繊細で激しいダンスをしていた。
ここはどうやら、俺が来る様な所ではないらしい。
「別にいいかな。」と呟くと、ノリコの手を握り外に出た。
「今振り向いた彼女と来てた訳じゃないの?」
「来てたけど、俺には若すぎだ。ノリコの方がやっぱりグッと来るんだ。」
「私はなぐさめられているって訳ね。」
「今まで出会った中で、ノリコが一番だ。」
「ありがとう。」ノリコが大きな目から涙を流していた。あのノリコが泣いているのだ。あれほど高飛車な女が泣くとは、よほど辛い事でもあったのだろうか。
俺達は、騒音がうるさいクラブを後にして、静かなBARで飲み直すことにした。
40分くらい話していると、明りがボンヤリついているクラブの前に着いた。このクラブには、友達とよく踊りに来ると言っていた。
俺は車を駐車場らしいジャリ道に止めて、ミドリと店に入る事にした。
だぼっとしたパンツを履いて、バンダナをはめている愛想いい男がドアの前に立っていて、金を払うと、手にスタンプを押された。
これが通行手形と言うわけか。店内に入ると、ラップ系の音楽が騒音のように響いていた。
周りを見渡すと人だらけで、何が何だか分からなかった。
踊っている奴もいれば、ドリンクを飲んでいる奴もいる。ファッションも奇抜な感じだった。
ここはどうやら若者しか来たら駄目な所らしい。
立ち止まっていると、ミドリがドリンクを持って来ると合図したので、「踊ってなよ」と耳元で囁いて、代わりに俺がドリンクを取りにカウンターへと行った。
ミドリは、音楽に合わせて楽しそうに踊っていた。かわいい子が踊ると絵になっていた。
俺は、カウンターのゴツイ男に適当に酒を注文をした。ありとあらゆる酒が置いてあるように感じた。
頼んでいると、ふと、カウンターの椅子に座っている女性に目が行った。赤い帽子をかぶっている女性。どこかで見覚えがある顔だった。うつむいているが、確かにノリコだった。こんな所で何をしているのか気になった。
隣に座って話しかけた。
「ノリコ。こんな所で何をしてるだ?男とどこか行ったんじゃなかったけ?」
「ふられちゃってね。」酒を飲んでいるせいか普段のノリがいい彼女ではなかった。
「ノリコでもふられる事があるんだね。知らなかったよ。ふる男は見る目がないんだね。」
「それって、なぐさめているの?」
「そうだよ。俺、ノリコが好きなんだぜ。知らなかったのか?」
「本当?今日はそのまま受け止める事が出来そうね。」
「どんどん、受け止めちゃっていいよ。」
「それにしても、私達いつもどこかで逢っているわね。運命って事かしら。」
「そうだよ。運命の赤い糸さ。たぐり寄せれば、あら不思議ぴったりとノリコと俺の小指がくっ付くという訳さ。」俺は小指を立てて見せた。ノリコも合わせるように小指を立てていた。小指を見つめると、遠くを見つめていた。
「そうかもね。今日は、何から何まであなたに甘えられそうだわ。今から、どこか行かない?」
「うむ。どうしたもんかな。」ミドリの方を向くと、知らない男がミドリと仲良さそうに踊っていた。そこだけステージが切り取られたかのような繊細で激しいダンスをしていた。
ここはどうやら、俺が来る様な所ではないらしい。
「別にいいかな。」と呟くと、ノリコの手を握り外に出た。
「今振り向いた彼女と来てた訳じゃないの?」
「来てたけど、俺には若すぎだ。ノリコの方がやっぱりグッと来るんだ。」
「私はなぐさめられているって訳ね。」
「今まで出会った中で、ノリコが一番だ。」
「ありがとう。」ノリコが大きな目から涙を流していた。あのノリコが泣いているのだ。あれほど高飛車な女が泣くとは、よほど辛い事でもあったのだろうか。
俺達は、騒音がうるさいクラブを後にして、静かなBARで飲み直すことにした。
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