恋愛ブログ

世にも不思議な物語。
出会いの数だけドラマがある。
一日一話愛の短編物語。
〜ショートストーリー〜

12.晴れと雨

2007年07月25日 | ベストストーリー
 勝ちと負け。富と貧。強と弱。陰と陽。月と太陽。プラスとマイナス。晴れと雨。そして男と女。
 全ての出来事が反対で世の中うまい様に出来ている。
 それが重なる時、どちらかが上にいこうとして争いが起きる。
 新一と佳奈子は、大声を出して道路の真ん中で別れ話しをしていた。行き交う人々が何事かとおもい目を向けている。
 言い争って大分時間が過ぎていた。何がきっかけだったのかは、真夏の暑さでとっくに忘れていた。
 多分、新一が家に買って置いたアイスを佳奈子が食べたか食べてないかの話しから、気がきかないヤツと言われて腹がたったのが始まりだった気がする。
 「もう絶対別れるから。」
 「こっちこそ。お前なんかと一緒にいられるか。」太陽がこれでもかと照らす炎天下の中、更にケンカがヒートして、額から汗が噴き出していた。
 付き合った当初からケンカばかりして、どこからどう見ても性格の不一致だった。
 だけど、なぜかいつの間にか仲直りして、お互い惹かれる部分があるのだ。
 まるで月と太陽みたいだ。
 「よし。これからこの横断歩道を渡りきったら、二度と逢わないからな。」
 「えぇ。望む所よ。」二人は、お互い横断歩道を背中を向けて歩き出した。
 一歩ずつ反対の信号機に近づく。
 その一歩一歩が重い。二人の絆が足にまとわりつく。思い出が走馬灯のように駆け巡る。
 一度も振り返る事無く、反対の信号機にたどり着いた。
 それで、安心したのか。後ろを振り返ると、佳奈子がせつない目で見ていた。
 やはり新一には佳奈子しかいないし、佳奈子には新一が必要なのだ。
 お互い変に見つめ合っている姿に笑みが零れた。
 カチッカチッと横断歩道が青に変わると二人は走り出して、真ん中で激しく抱き合った。
 さっきまでのケンカが嘘のような熱々ぶりだ。
 調度その時、青々とした空から小雨が降って来た。二人を包むようにキラキラと輝いていた。昔の人が言う狐の嫁入りとはこの事だろう。
 二人は、抱き合う事に飽きると、晴れの中の雨に目を向け、近くにあった喫茶店の屋根で雨宿りをした。
 その前を晴れと雨を楽しむかのように黒い折りたたみ傘を持った老人がスキップをしながら華麗なダンスを披露していた。
 
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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
素敵(*^。^*) (ぽゆ子)
2007-07-28 09:40:23
あなたはやはり天才です。
もう、最高の作品で感動しまくりです。

わたしのことを書かれたかと思ったけど
あなたの頭と心に描かれた画像を
言葉にしたのね?かとお察ししますが^^

「その前を晴れと雨を楽しむかのように黒い折りたたみ傘を持った老人がスキップをしながら華麗なダンスを披露していた」っていうのは
モデルがいるのかな?

素敵な終わり方です。あー・・ほんと最高!!(*^。^*)
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嬉しいです。 (キーボー。)
2007-07-28 20:00:54
ぽゆこさん。天才って、凄いほめかたですね。私はただの失恋男です(T-T)みなさんが明日への活力になってくれれば私はそれで報われます。

これでラストに…思い付いたらまた書きますね。

だれか~愛をくださ~い。

返信する
傘を持った老人。 (キーボー)
2007-07-31 20:24:35
このラストで相応しい人は誰かなと思っていましたら、ぴったりな人がいました。

私が大好きな藤村しゅんじさんです。

オヒョイと通りそうで、想像にぴったりです(笑)
返信する
なるほどー^^ (ぽゆ子)
2007-08-01 12:10:47
うんうん。わたしも何人か想像してました。
あと、チャップリンとかもね^^
俊二さん、ぴったりですね^^
お答えありがとう(^。^)
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