車や人通りが多い四つ角の交差点がある。信号が赤に変わると人や車は立ち止まり、信号機の真正面にある店に目がいくのであった。
店の名前は「ピエロ」人形屋敷なのか。喫茶店なのか。よく分からないが、誰一人として店の中に客はいなかった。
それは、窓越しに見える椅子に座っている奇妙なピエロが目立っているからだ。ピエロは、小学生くらいの身長で、中から照らされているライトでボンヤリと光り輝いて、いつも不敵な笑みを浮かべている。
「お父さん。ピエロがこっち向いて、笑っているよ。」店の前で少女が立ち止まり父親に話しをしていた。
「みきちゃん。あれはライトで照らされて、笑っているように見えるんだよ。」父親は言い聞かせていた。
「だって、私の方を見て笑ったよ。」みきちゃんは、首をかしげた。
「そうだ。ピエロで思い出した。ピエロの物語を聞かせてあげようか。」父親は思い出した素振りをして、話し出した。
「うん。聞きたい。」みきちゃんはワクワクしながら耳を傾けた。
「目をつぶって聞いてごらん。ピエロの話し声が聞こえて来ただろう。」
「うん。聞こえてきた。」
「さぁ。みきちゃんこれから君の好きな場所へ連れて行きましょう。」店の中にいたピエロが目の前に現れていた。はっきりとした口調で言うと、へんてこに踊って見せた。踊りが終わるとみきちゃんの手を引っ張ってつれて行く。
「どこに行くの。」みきちゃんは不思議に思って聞いた。
「夢がかなう所です。」ピエロが引っ張っていくと目の前に馬が現れた。ピエロは馬にみきちゃんを乗せると、自分も乗りこんだ。どこからかムチを取り出して、叩くと同時に走り出した。
暗い道を進むと、見たこともない綺麗で不思議なお花畑があった。そこの中を通って行くと大きな門が見えてきた。
門の前でピエロが呪文みたいな事を叫んでいた。すると、ギィギィと大きな門が開いた。中に入ると同時に、乗っている馬がしゃべりだした。
「ようこそいらっしゃいました。私はみきちゃんと共にするダイヤでございます。」馬ダイヤはみきちゃんを背中から降ろした。
「あなたは、ダイヤさんて言うの。」驚くというよりもみきちゃんはとても楽しかった。
「ここは、あなたが好きなように遊べます。」ダイヤが言うと、パッと明るくなった。よく見ると、大きな太陽が出ていて、その周りをジェットコースターや観覧車が囲んでいた。他にも乗り物がたくさんあった。
みきちゃんはハシャイで、色んな乗り物に乗った。次は、ダイヤとピエロのサーカスを見に行く事にした。
「みきちゃん楽しんでますか。私はサーカスを見せる事にしましょう。」ピエロは笑うと、ムチを一回ならした。奥の方からライオンが出てきて、ステージにあった炎の輪をくぐった。
「ガハハ。どうだピエロ。その程度だとみきちゃんから笑われるぞ。」ライオンが自信ありげに言った。
「では、これはどうかな。」ピエロは更に炎が強い輪を取り出した。
「そんなのでいいのか。行くぞ。」ライオンはみきちゃんを横目で見ると、助走をつけて燃え盛る炎の中を見事にくぐった。
「すごい。ライオンさん」それを見たみきちゃんは拍手をした。
「まだまだ、こんなもんじゃないぜ。」ライオンは次々に芸を披露して見せた。その間にも、像が玉乗りしたり、サルが踊ったり、あらゆる動物達が芸をしていた。
「さぁいかがでしたか。もうすぐ太陽が沈んでしまいます。この世界は太陽の出ている時にしか動かないのです。また、遊びに来てください。」ピエロは綺麗な紫の花を取り出すと、みきちゃんに渡した。
「綺麗な花をありがとう。」みきちゃんは花を受け取るとダイヤの背中に乗った。
「いつでも来てください。その花はここにしか咲かない花なのです。その花が目印なので今度からは絶対持ってきてください。」ピエロは笑うと、動物達もよってきてダイヤとみきちゃんを見送った。
「本当に楽しかった。」みんなに手を振ると、ダイヤの背中で眠ってしまった。
「あれ。お父さん。ピエロはどこに行ったの。」父親の背中に乗っているみきちゃんは、目をこすりながら聞いた。
「ピエロ。あのピエロはいつもの店の中にいるよ。」父親は戸惑いながら答えた。ピエロの話しを父親と語りながら家へとついた。
「お母さん。ピエロと遊んだんだよ。」みきちゃんは興奮が覚めず、家に帰ってからも母親に話していた。
「あら。そうなの。ピエロと言ったら、あの頃を思い出すわよね。」母親は話し出した。
「みきちゃん。また来てくれましたね。」ピエロが目の前に現れて優しい口調で言った。
「うん。ピエロさんと会いたかった。」
「今度は、お話を聞かせてあげましょう。確か二十年ほど前、みきちゃんのようにこの世界に入り込んで来た女の子がいたんです。はじめは女の子だけだったかな。女の子の後を男の子がついて来て、二人一緒に入って来てしまったのです。」ピエロは、相変わらずの口調で話していた。
「別にいいじゃないの。」みきちゃんは首をかしげた。
「それが駄目な事なのです。二人一緒に入って来てはいけないという決まり事なんだよ。」ピエロは強い口調で言った。
「それでどうしたの。」
「どちらかにお仕置きを与えなくてはならなくてね。お前らどちらかに罰を与えると言ったら、二人ともお互いをかばいあってね。仕方なくキングは二人とも許可を出したんだよ。」ピエロは、深刻な顔をした。
「キングって誰なの。」
「ここで、一番偉い人なんだよ。この人だけには逆らえなくてね。」ピエロはウィンクをした。
その時、空の上の方から声が聞こえてきた。
「おいピエロ。無駄話はいいから、みきちゃんと遊んでやれ。」
「キング様すいません。」ピエロがオドオドとして頭を下げた。
「それから男の子と女の子はどうしたの。」みきちゃんは疑問に思ってどうしても聞きたかった。
「二人は大人になって、結婚してみきちゃんが生まれたんだよ。」キングに聞こえないように小さな声でピエロが話していた。
「うそ。それじゃ、お父さんとお母さんはここに来た事があるの。」みきちゃんは驚いた。
「結婚するとここには来れないんだ。だから、みきちゃんだけは来られたんだよ。」
「そうなんだ。」みきちゃんは納得した。
「静かに寝ているわね。」母親は、みきちゃんのおでこをさすった。
「今頃、ピエロの夢でも見ているんじゃないか。」みきちゃんの嬉しそうな寝顔を見て父親が言った。
「そうかもね。」母親と父親が見つめ合って笑っていた。
「この近くにピエロという店があるらしいよ。店に入るとキングという大男が出迎えて、占いをしてもらえるんだって。私の友達がその占いで恋人が出来たと言っていたよ。だけど、変な決まりがあるとかないとか言ってた。男と女二人で入ったら駄目なんだって。店の人がやきもちやくんじゃないかしら。」
「その店面白そうだな。行ってみようよ。」交差点の信号を待っている若いカップルが話しをしていた。
その会話を聞いているかのように、店の中の座っているピエロが二人を見て笑っていた。
店の名前は「ピエロ」人形屋敷なのか。喫茶店なのか。よく分からないが、誰一人として店の中に客はいなかった。
それは、窓越しに見える椅子に座っている奇妙なピエロが目立っているからだ。ピエロは、小学生くらいの身長で、中から照らされているライトでボンヤリと光り輝いて、いつも不敵な笑みを浮かべている。
「お父さん。ピエロがこっち向いて、笑っているよ。」店の前で少女が立ち止まり父親に話しをしていた。
「みきちゃん。あれはライトで照らされて、笑っているように見えるんだよ。」父親は言い聞かせていた。
「だって、私の方を見て笑ったよ。」みきちゃんは、首をかしげた。
「そうだ。ピエロで思い出した。ピエロの物語を聞かせてあげようか。」父親は思い出した素振りをして、話し出した。
「うん。聞きたい。」みきちゃんはワクワクしながら耳を傾けた。
「目をつぶって聞いてごらん。ピエロの話し声が聞こえて来ただろう。」
「うん。聞こえてきた。」
「さぁ。みきちゃんこれから君の好きな場所へ連れて行きましょう。」店の中にいたピエロが目の前に現れていた。はっきりとした口調で言うと、へんてこに踊って見せた。踊りが終わるとみきちゃんの手を引っ張ってつれて行く。
「どこに行くの。」みきちゃんは不思議に思って聞いた。
「夢がかなう所です。」ピエロが引っ張っていくと目の前に馬が現れた。ピエロは馬にみきちゃんを乗せると、自分も乗りこんだ。どこからかムチを取り出して、叩くと同時に走り出した。
暗い道を進むと、見たこともない綺麗で不思議なお花畑があった。そこの中を通って行くと大きな門が見えてきた。
門の前でピエロが呪文みたいな事を叫んでいた。すると、ギィギィと大きな門が開いた。中に入ると同時に、乗っている馬がしゃべりだした。
「ようこそいらっしゃいました。私はみきちゃんと共にするダイヤでございます。」馬ダイヤはみきちゃんを背中から降ろした。
「あなたは、ダイヤさんて言うの。」驚くというよりもみきちゃんはとても楽しかった。
「ここは、あなたが好きなように遊べます。」ダイヤが言うと、パッと明るくなった。よく見ると、大きな太陽が出ていて、その周りをジェットコースターや観覧車が囲んでいた。他にも乗り物がたくさんあった。
みきちゃんはハシャイで、色んな乗り物に乗った。次は、ダイヤとピエロのサーカスを見に行く事にした。
「みきちゃん楽しんでますか。私はサーカスを見せる事にしましょう。」ピエロは笑うと、ムチを一回ならした。奥の方からライオンが出てきて、ステージにあった炎の輪をくぐった。
「ガハハ。どうだピエロ。その程度だとみきちゃんから笑われるぞ。」ライオンが自信ありげに言った。
「では、これはどうかな。」ピエロは更に炎が強い輪を取り出した。
「そんなのでいいのか。行くぞ。」ライオンはみきちゃんを横目で見ると、助走をつけて燃え盛る炎の中を見事にくぐった。
「すごい。ライオンさん」それを見たみきちゃんは拍手をした。
「まだまだ、こんなもんじゃないぜ。」ライオンは次々に芸を披露して見せた。その間にも、像が玉乗りしたり、サルが踊ったり、あらゆる動物達が芸をしていた。
「さぁいかがでしたか。もうすぐ太陽が沈んでしまいます。この世界は太陽の出ている時にしか動かないのです。また、遊びに来てください。」ピエロは綺麗な紫の花を取り出すと、みきちゃんに渡した。
「綺麗な花をありがとう。」みきちゃんは花を受け取るとダイヤの背中に乗った。
「いつでも来てください。その花はここにしか咲かない花なのです。その花が目印なので今度からは絶対持ってきてください。」ピエロは笑うと、動物達もよってきてダイヤとみきちゃんを見送った。
「本当に楽しかった。」みんなに手を振ると、ダイヤの背中で眠ってしまった。
「あれ。お父さん。ピエロはどこに行ったの。」父親の背中に乗っているみきちゃんは、目をこすりながら聞いた。
「ピエロ。あのピエロはいつもの店の中にいるよ。」父親は戸惑いながら答えた。ピエロの話しを父親と語りながら家へとついた。
「お母さん。ピエロと遊んだんだよ。」みきちゃんは興奮が覚めず、家に帰ってからも母親に話していた。
「あら。そうなの。ピエロと言ったら、あの頃を思い出すわよね。」母親は話し出した。
「みきちゃん。また来てくれましたね。」ピエロが目の前に現れて優しい口調で言った。
「うん。ピエロさんと会いたかった。」
「今度は、お話を聞かせてあげましょう。確か二十年ほど前、みきちゃんのようにこの世界に入り込んで来た女の子がいたんです。はじめは女の子だけだったかな。女の子の後を男の子がついて来て、二人一緒に入って来てしまったのです。」ピエロは、相変わらずの口調で話していた。
「別にいいじゃないの。」みきちゃんは首をかしげた。
「それが駄目な事なのです。二人一緒に入って来てはいけないという決まり事なんだよ。」ピエロは強い口調で言った。
「それでどうしたの。」
「どちらかにお仕置きを与えなくてはならなくてね。お前らどちらかに罰を与えると言ったら、二人ともお互いをかばいあってね。仕方なくキングは二人とも許可を出したんだよ。」ピエロは、深刻な顔をした。
「キングって誰なの。」
「ここで、一番偉い人なんだよ。この人だけには逆らえなくてね。」ピエロはウィンクをした。
その時、空の上の方から声が聞こえてきた。
「おいピエロ。無駄話はいいから、みきちゃんと遊んでやれ。」
「キング様すいません。」ピエロがオドオドとして頭を下げた。
「それから男の子と女の子はどうしたの。」みきちゃんは疑問に思ってどうしても聞きたかった。
「二人は大人になって、結婚してみきちゃんが生まれたんだよ。」キングに聞こえないように小さな声でピエロが話していた。
「うそ。それじゃ、お父さんとお母さんはここに来た事があるの。」みきちゃんは驚いた。
「結婚するとここには来れないんだ。だから、みきちゃんだけは来られたんだよ。」
「そうなんだ。」みきちゃんは納得した。
「静かに寝ているわね。」母親は、みきちゃんのおでこをさすった。
「今頃、ピエロの夢でも見ているんじゃないか。」みきちゃんの嬉しそうな寝顔を見て父親が言った。
「そうかもね。」母親と父親が見つめ合って笑っていた。
「この近くにピエロという店があるらしいよ。店に入るとキングという大男が出迎えて、占いをしてもらえるんだって。私の友達がその占いで恋人が出来たと言っていたよ。だけど、変な決まりがあるとかないとか言ってた。男と女二人で入ったら駄目なんだって。店の人がやきもちやくんじゃないかしら。」
「その店面白そうだな。行ってみようよ。」交差点の信号を待っている若いカップルが話しをしていた。
その会話を聞いているかのように、店の中の座っているピエロが二人を見て笑っていた。
キーボーさん、
こういうお話を
大切な人にたくさん読んでもらえるといいと思います。
もしわたしが
もっと若くて、まだ結婚していなかったら、
迷わずあなたに即刻プロポーズしちゃうんだけど。。。。。
ピエロは、その中でもよく書けている自信作だったので皆に見てもらいたくてブログに載せました。
喜んでくれたらうれしい限りです。
最近、父親と母親が子供に言い聞かせる物語が少なくなったように思います。
この物語を子供に読み聞かせてくれたらうれしいなと思います。
チョット怖いけど(笑)
このお話のポイントは、昔ピエロという占いの店の占いで父親と母親が出会ったという事です。
父親がピエロの物語を思いつくのも、母親との出会いがあったからだと思います。
最後に若いカップルも占いの店に行くような感じで終わってます。
恋愛ってひょんな所から始まる物なのかなと思って書きました。
読めば読むほど味がある物語だと思いますので、皆さん感想よろしくお願いします。
パプ子さんからプロポーズをされたら嬉しいですね。だけど、旦那さんから殺されそうなので、他の人を探しに行かないと(笑)
パパとママのすてきな出会いをこうやって子供に語れるのは、その子にとって、これからのすてきな人生を約束してるみたいで、理想ですね。
キーボーさんも、早くこうなれるといいですね!!