恋愛ブログ

世にも不思議な物語。
出会いの数だけドラマがある。
一日一話愛の短編物語。
〜ショートストーリー〜

12.線香花火

2013年07月31日 | ベストストーリー
 トモミとスーパーにより、ビールとつまみと御菓子を買った。レジの横で子供が集まっていたので、覗き込むと花火セットが山のように置いてあり、一人の子供が「パパかってよ」と父親に促している。
 子供ではないが、自分も花火セットをカゴに入れた。
 トモミがなぜか嬉しそうにして、「子供みたいだね。」と呟いた。
 大学に通うトモミは、ちょうど長い夏休みに入ったみたいだった。スーパーを出ると生暖かい夜の風が通過した。
 家に帰るとさっそく縁側で、バケツと花火を用意し、トモミがさっきのビールとつまみを皿に入れて持ってきた。
 花火を袋から取り出し、まず打ち上げ花火をトモミが火をつけて、「きゃー逃げてー」とはしゃいだ。5発ほど打ち上げ花火が上がり、見ていた。
 トモミと付き合って三か月だろうか。社会人と大学生って年齢差がある。歌手の名前や漫画やドラマの話しは、とことん合わない。西野かなってだれだとか思うし、DEENとか知らないだろうし、大変だ。
 だけど、サザンオールスターズとか全世代に通じる歌もあるからいいけど。よく三か月もこのおじさんと付き合っているなと思う。
 ともみが、だいたい花火が終わって、「線香花火しよ」と言った。
 やはり最後は線香花火だよなと思いながら、ライターで線香花火に火をつける。バチバチバチと勢いよく先が燃える。
 その光で、トモミのかわいい顔がボンヤリ輝いて見えた。
 若い子って、心がうつろいやすいのではないだろうか。きっとこの恋もすぐに終わってしまう。
 その時、線香花火の光が落ちた。急に周りが真っ暗になり、ざわざわと木が風に揺れている。
 夏の終わりの切なさが線香花火とともに落ちていた。


 
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2 コメント

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線香花火 (niko)
2013-10-10 00:50:32
はじめまして
「お花とくにさんと私」のブログのnikoと言います、

線香花火がポトリと落ちたんですね、
何だか同じような事が、同じような切なさを感じた事があるような…余韻がステキです。

読者登録有難うございましたm(_ _)m
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nikoさん (キーボー)
2013-10-10 21:01:12
nikoさんコメントありがとうございます。

線香花火と夏の終わりと恋の切なさを短編小説風に書いてみました。

確かに切ないですよね。
秋ってそんな切ない物語を書いていきたいです。
nikoさんのブログも詩で、写真とマッチしてていいですね。
秋の写真が特によかったですよ。
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