恋愛ブログ

世にも不思議な物語。
出会いの数だけドラマがある。
一日一話愛の短編物語。
〜ショートストーリー〜

3.告白

2004年10月28日 | 女子高生と恋愛
 それから、電話のやり取りが続き、私のほうからも電話することもあった。電話代が月に五万円くらい使っていた。非常勤講師の給料は、あまりもらえないのに、馬鹿なことをしたと後悔した。生徒の悩みを聞くということでは先生として、いい事をしているんだなという充実感もあった。
 毎日、真夜中に電話するにつれ、気持ちは募るばかりだった。
 急に二人の関係が終わるように感じた。彼氏が夜逃げをするという話しがでていたからだ。
 「彼氏と別れようかな」とNがつぶやいた。私は、聞いた途端、先生という職業を忘れ、思い切って告白をしてしまった。頭で考えるよりも先に言葉が口走ったのだ。
 Nは無言。その後、ショックのため息。
 「先生がそんな風に思っているとは思わなかった。彼氏がいる時になんで告白するの?」
 「ごめん。」電話が切れた。馬鹿なことをしたと思った。先生としてとても馬鹿なことをしたと思った。大人が信じられない子供になんて馬鹿なことをしたと悔やんでも悔やみきれない感情をいだいた。それから、親から電話がかかってきたのだ。
 「変なことを言わないで下さい。繊細な子なんで気をつけてください。二度と電話しないで下さい。する時は家の電話にお願いします」ふられて、親からも忠告を受け、ショックで立ち直れない。繊細な子。繊細ってなんだろう。三十歳の男と付き合うことなのか。三十歳の男よりも私の方が絶対に幸せにしてやれる自信はあった。毎日五時間は電話して相談に乗る気力もあった。なのに私じゃだめだったのか。
 やはり先生として好きだったのではないか。先生って何なんだろう。
 はじめは教育者としてやる気満々で入った学校だったのに、今では全然やる気がなくなった。違う職でも探そうかなと考えている。
 学校でもきまづい雰囲気があって、Nが私の授業を受けてくれなくなった。私の授業があるとすぐにどこか逃げるように教室から出て行った。探しに外に行くと、Nは階段の隅っこで泣いていた。近寄ると、するどい目で睨んできた。Nから睨まれると、足元が動かなくなる。何をそんなに悩んでいるのだろうか。そこまで、私は傷をおわせてしまったのだろうか。悲しい気持ちになって、一筋の涙が溢れた。変に思った他の先生が私に聞いてきて、告白をしたことを白状した。
 すぐに学園長から呼ばれて、信頼関係について一時間くらい説教を食らった。学校でも告白したことが噂になった。先生としての信頼ががた落ちだった。男としての信頼も落ち込んだ。いろんな意味で落ち込んだ。目の前が真っ暗になった。耳の調子もおかしくて、学園長の声が聞こえなくなった。周りの音という音が何も聞こえなくなった。このまま死んでしまってもいいと思った。生きる気力もなくなった。
 何がいけなかったのか。相談を聞いてあげたことがだめだったのか。携帯番号を教えたことがだめだったのか。そうじゃない。私がNを好きだということがだめだったのだ。
 職員室を出て、帰るとき、ピアノの音が聞こえてきた。
 私の大好きな曲「エリーゼのために」だった。Nが弾いていたのだ。とても上手に弾いていた。Nはピアノも弾けるのかと関心した。音楽と共に今日あった出来事を考えて、心の底から涙が出てきた。ベートーベンも恋に悩んだのだろうか。
 

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