もうこれで「黄泉の国」でのイザナミとイザナギの夫婦喧嘩については終わりにと思ったのですが、意外と、この項に共鳴してくださるお方がいるようですので、もう少し、此の二人の争いについて、どうでもよい事のようですが、書かしていただきますのでご了承を!!!
さて、イザナミがイザナギに云います。
“汝国之人草一日絞殺千頭”
と。
先に説明したように、イザナミは「人」ではなく「頭」と云い放ちます。それだけ、イザナギの住む顕国<ウツシクニ>を「・・・憎けりゃ袈裟まで憎い」の例でしょうか、徹底的に、イザナギの住む国を卑下した言い方をしております。それに対してイザナギは男性です(おっと、これは女性差別になるかな???)。何処までの冷静に対応して、
“吾は一日に千五百の産屋<ウブヤ>を立てて、是持<ココヲモチテ>・・・一日、必ず、千五百人生也<イチホ ヒトナモ ウマセル>”
と、堂々と「頭」ではなく、「人を生ませる」と宣言しています云います。
なお、この事について古事記伝では、
“死<シニ>”
は、「過去<スギイニ>で、「スギ」が「シ」とつづまり「シニ」になり、「シヌル」と変化したもので、この世の総ての「死」は、黄泉のイザナミの「御所為<ミシワザ>」なのです。それに対して
“生<ウマル>”
は「被∨産<ウマル>」で、人がこの世の中に生まれ出るということは、総て、この時のイザナギの願によってなされたことであると説明しております。
なお、この中で本居宣長は言っております。
「世に日々に死る人よりも、生るゝが多かるは、今此の 御言に由れり・・・・」
それが近年になって「その通りですね」と言えなくなってきました。死ぬ人より生まれる人が少なくなています。
「イザナギさんよ。どうしてくれるんですか 」
と、聞いてみたい気もしているこの頃です。