私の町吉備津

岡山市吉備津に住んでいます。何にやかにやと・・・

イザナギはやっと黄泉の出口に

2016-12-25 10:46:22 | 日記

 ひたすら逃げに逃げたるイザナギですが、やっとの事、追手である八雷神と千五百<イチホ>の黄泉軍に捕まることなく、黄泉国と顕国<ウツシクニ>の境目にある黄泉比良坂<ヨモツヒラサカ>の「坂本」にまで逃げ帰る事が出来たのです。そこは、まだ黄泉の国の領分ですが、その坂の下で、イザナギは、大変貴重な命の宝物が、そこにある事に気が付きます。何だと思いでしょうか?????

                     “取在其坂本<ソノサカモトナル>桃子<モモノミヲ>三箇<ミツトリテ>”

 と、古事記には書かれております。(なお、書紀には、「一説に云」として、イザナギが大樹に向かって放尿が川となって追手から逃げ果せたと。)此の桃子を見て、とっさに、それを三箇取って、今までは「逃げるが勝ち」とばかりに「逃行」「逃来」でしたが、三つを手に取ると途端に、どうしたことでしょうか、イザナギは八雷神たちに向って

                     “待撃者<マチウチタマイシカバ>”

 “来るものを待ち受けて打つなり”と「古事記伝」は云います。逃げるのではなく、初めて鬼たちに立ち向かったのです。その原因が“桃子<モモノミ>にあったのです。この「桃子」が、どうして、そんなにもイザナギの態度を変えさせたのでしょうか???宣長も何の説明もしておりません。どうでしょうか。イザナギが桃を手にしただけで

                    “悉逃返也<コトゴトク ニゲカエリキ>”

 今まであれほどの勢いで追い掛けた鬼たちですが、桃の実を、それも、たった三箇見ただけで、場面が、急転して、全員が逃げ帰ってしまったのです。

 桃には鬼たちを怖がらせる何かの霊力があったのではないでしょうか???そうとしか考えられません。そう言えば、我が吉備津の伝説の「桃太郎」ですが、わざわざ「桃」と云う名を付けた若者が登場して鬼たちを退治するのです。そこら辺りに「桃」と「鬼」とが何か関係がありそうな気がしまするのですが、よく分かりません。