なちゅらる

自然に生きていきたい

安堵

2008-05-22 | 絵画




小学生の時 時々学校に名画のポスターを売りに来ていた業者がありました

暗い廊下で 木の枠の中に並べられてあり

もの珍しく立ち寄る子どもは何人かいましたが 買って行く子どもは少なかったと思います

そんな中 一枚のポスターを手にしていた私 

ミレーの「落ち穂ひろい」だったか「晩鐘」だったか・・・

お金はどうしたんだろう 持ってなかったような気がします


            


家に一枚の絵皿がありました

その中には とても優しい女の人が座っており

小さかった私は その女性がとても好きでした

それが 小磯良平さんの絵だと知ったのは 大人になってからでした


           


兵庫が生んだ巨匠「小磯良平 東山魁夷展」

神戸大丸で開かれていると聞き 懐かしい神戸に足を運びました

大好きなお二人の絵画を同じ場所で一緒に観られるなんてこんな贅沢なことはありません

それも 神戸で・・・

お隣に住んでいるのに なかなか行く事ができなくて。。。

でもやっぱり 帰ってきたって思うのです








船旅

2008-01-12 | 絵画


長い長い船の旅を終えて日本にやってきた陶磁たちに会いに
京都国立博物館に行ってきました

憧れのヨーロッパ陶磁と日本との出会いは、すでに400年近くに及んでいます

今回、ヨーロッパ各国との修好通商条約締結150周年を記念して開催されている
「憧れのヨーロッパ陶磁」~マイセン・セーヴル・ミントンとの出会い~

どの作品もただただ溜息が出るものばかりです






日本で唯一の宮廷建築家と言われる、片山東熊氏(かたやまとうくま)の代表的な建築である博物館は
フランス17世紀の華麗なバロック様式を取り入れながら
日本的な叙情性や繊細な感覚が表現されています


 フランス セーブル

1878年のパリ万博でこの一対の壷を入手するためだけに
日本はなんと69点もの古陶磁を引き換えました
それだけ、セーブル焼は高価な物だったのですねもちろん現在でもですが


 

1907年ドイツのホッホベルク伯爵がアジア、オセアニア地域を巡る旅の最終地に日本を選び
2ヶ月程の滞在ですっかり日本びいきになった伯爵が、帰国後母国の誇るべき工芸品として
マイセン等の作品群を現在の国立博物館に贈りました

40点を超える寄贈品は、100年前に日本を旅したドイツ貴族の厚意を今に伝えています




この猿達もマイセンですが、面白いコメントが添えられていました
「寄贈品のお礼状に、船旅で何点か壊れていたことを書くと
        伯爵から同じものが贈られてきました」


  

ヴィクトリア女王の時代に活躍した工芸デザイナーのクリストファー・ドレッサーが選び
日本へもたらしたイギリス陶磁の数々も時を越えて、目の前に現れました

ドルトンとウエッジウッド


今回六つのスペースに分かれて展示されてあり
マイセンの磁器で、当時を再現するテーブルコーディネイトもありました

私達が今憧れるヨーロッパ陶磁、そのデザインの源流となったのが
東洋のやきものであったこと、マイセンが有田焼に学んだことなど
実際に見比べることができ、少し嬉しくなったki-rinでした

ふわり

2007-12-18 | 絵画


青の色が印象的なシャガールの絵


生誕120周年記念「シャガール 愛と自然の賛歌」を観てきました

ユダヤ人として生まれ、歴史の波に翻弄されながら各地を転々としたシャガール

第二の故郷、パリに移り住んでからの絵画は暖かさを感じます





今回のチケットに使われている「誕生日」

婚約者のベラがシャガールの誕生日に、花やタペストリーでお部屋の飾りつけをしようとしているところ
シャガールがあまりの嬉しさに空を飛んでベラにキスをします

独特な構図と色彩で一度観たら忘れられないシャガールの絵ですが

恋人達や花束、動物、サーカス、聖書といったモチーフは深い愛情にあふれ

生命の喜びと平和への希望を感じさせられます


シャガールの絵はただ鑑賞するだけでなく、その1枚に込められた想いを知って観た方がいいような気がして

分厚いタッシェン社の「CHAGALL」の本を買って来ました

読破するのはなかなかですが少しずつ読んで行きたいと思います

その横にこんな可愛い本がありました小学館あーとぶっく

本につけられたサブタイトルがとっても可愛いです

シャガールは「空にふわり」



ロートレック

2007-10-18 | 絵画


天保山サントリーミュージアムで開催されてる「ロートレック展」に行ってきました
お隣に海遊館、その前の広場では大観覧車がゆっくりと時を刻んでいます



会場に入って最初に目に飛び込んでくるのが、ロートレック本人の写真

南仏の名門貴族、伯爵家に生まれたロートレックは
生まれつきの虚弱体質もあり、少年時代に両足を骨折してから下半身の成長が止まってしまいます

元々絵を描くことが好きだったロートレックは最初動物(特に馬)を好んで描き
やがては、パリ・モンマルトルに住みつき、毎晩のようにステッキをついては
芝居小屋、酒場、キャバレー、娼家に出かけて行きます

そこで、踊り子や娼婦たちを描くのですが、彼の絵は華やかな表の世界ではなく
裏の日常の様子が多く描かれています


それに、彼の描く女性は皆お世辞にも綺麗とは言えず
ある踊り子が自分のポスターを依頼した時、ロートレックの描く下絵を見て
あまりの醜さに途中で断ったと言うお話もありました


今回、いくつかのポスターの横に本人の写真が小さく貼られていて
確かに、これでは可哀想だわ~と思ったのは私だけではないはずです
それでも惹かれてしまうのは、きっと絵の中でその人が生きてるからなのでしょう
・・・と一人納得したki-ri♪でした






今回のポスターは2種類あって、こちらは当時の「ムーランルージュ」
ロートレックが毎晩のように通った場所ですね





こちらは、女道化師が舞台裏で衣装を直している所
「彼ったら、何枚も私の絵を描いているのに、もっと綺麗な所を描いてほしいわ」
と彼女のコメントが添えられていました





ロートレックと言えば、このムーランルージュのポスターですね
たった4色しか使われていないとはとても思えません


37歳の若さで他界してしまうロートレックですが
晩年は若い頃に描いた馬の絵や、親しい人の肖像画を好んで描いたそうです

その中の1枚に椅子に座ってくつろいでいる女性がいました
ほとんどの女性は彼の描く自分の姿に驚いて途中でいなくなってしまうというのに
この女性は自分がどう描かれているかなんて気にもしていない様子です

一番綺麗だったあなたは、ロートレックの良き理解者だったのでしょうか






今でも沢山の画家の卵たちが、写生をしているモンマルトルの丘
もう一度、訪れてみたくなりました

主張

2007-09-17 | 絵画


開催されてから早く行きたいと思っていたフィラデルフィア美術館展に行ってきました



 ドガ「14歳の小さな踊り子」

最初に目に留まったのが、ドガのブロンズ像
本物のチュチュとシルクのリボンをつけています

絵本「ドガと小さな踊り子」のマリー
パリのオペラハウスでバレリーナになることが夢だったマリーの家は貧乏で
マリーは学費のために、ドガのモデルになります

少し哀しげに見えるマリーの顔は
夢を諦めないといけなくなったから・・・



 

今回、観終わった人から聞こえてくる声は「可愛かったね~
その言葉の向こうにいるのは「ルグラン嬢の肖像」ルノワール

青いリボンとスカーフが、瞳の色と同じです
まだ8歳のルグラン嬢の左手薬指にはゴールドの指輪が輝いていました


ルグラン嬢の横で優しく微笑んでいるのは、ルノワール夫人です
そこだけが、柔らかな空気に包まれているように感じたのは私だけでしょうか





柔らかい作品が並ぶ中、面白い1枚を見つけました

「ベンデルの春のセール」フローリン・ステットハイマー

セールに夢中になってるご婦人方を、お行儀良く座って待ってるワンちゃんがいます





左下にちょこんと座っているワンちゃんの服には「S」の頭文字が
ステットハイマーの頭文字ですね




この日のランチはちょっと贅沢に「八坂圓堂」の天ぷらで




黒い絵

2007-07-31 | 絵画


マドリッドには「プラド美術館」「ソフィア王妃芸術センター」「ティッセン・ボルネミッサ美術館」と言う
三大美術館があります

今回は日程の関係で全部を観ることはできませんでした

ソフィアはピカソの「ゲルニカ」だけはどうしても観たかったので
短時間で廻りましたが、ティッセンは諦めました


プラドだけ時間を取って観ることに・・・
午前中いっぱいでしたが、それでも駆け足で時間が足りません


プラドには入り口がいくつかあって、私達は「ゴヤ門」から入ります
上の写真は正面のヘラケレス門です

ゴヤ門の前にはゴヤの像




  時間がないと解っていてもゆっくりと観たい。。。 





ゴヤの「着衣のマハ」と「裸のマハ」は並べて展示されています
カルロス4世の宰相ゴドイの依頼で描かれたといわれているこの2枚は
同じ時期に描かれ、宗教裁判所の調査対象ともなった「裸のマハ」
ゴヤはその真意を明らかにすることはなかったそうです

一緒に鑑賞していた友達のご主人に「どちらのマハが好きですか?」と聞いてみたら
「やっぱり、裸のマハですね」となんとも正直なお答えでした
ちなみに私は、着衣のマハの方が表情がリラックスしているようでいいなって思いました


ゴヤは不治の病で40歳を過ぎてから聴力を失ってしまいます
「聾の家」と名づけた住家の壁に描かれた絵は「黒い絵」と呼ばれています

ナポレオン軍のマドリッド侵略で、戦争とその中に置かれた人間の残酷さ無力さ
ゴヤの内面に存在する恐怖と不安が表れている絵です

プラドの一部屋にそれらの絵が展示されています
その中の「我が子を食うサトゥルヌス」興味がある方はポチッとどうぞ





ムリーリョは同じ「無限罪の御宿り」と言うテーマで沢山の絵を描いています

『神の子イエスを宿る聖器として選ばれたマリアさまも、
原罪(性交)なしで生まれた汚れなき存在でなければならない』とされていたそうです

今回観たのは「無原罪の御宿り -ベネラブレス-」(左側)でした

一番完成度が高いと言われている作品ですが
私は個人的には、日本に来た「-エル・エスコリアルー」(右側)の方が好きだな~

ムリーリョは続けて子どもを病気で亡くし
5番目の女の子が耳が聞こえなかった事から、その子を思ってマリアさまを描いたとも言われています
ムリーリョの描く子どもの表情はとても優しく、可愛らしい


プラドは広い中でも、時代と画家によって展示されているのでとても観やすいと感じました
もっとゆっくり観たかったなぁ~






楽しみ方

2007-05-20 | 絵画
大阪中ノ島の国立国際美術館で開催されているベルギー王立美術館展に行ってきました
ここは前にもご紹介しましたが、完全地下型の美術館です

東京で開催され、その情報から今までと違った楽しみ方ができるのかな~
とワクワクしながら足を運びました




今回の目玉でもある「イカロスの墜落」 ブリューゲル(父)?
 
 神話を題材とした作品で、幽閉されているクレタ島から脱出するため、父は翼を作り、
 息子イカロスに高すぎず、低すぎず飛ぶように指示しますが
 若いイカロスは大空高く太陽に近づこうとしたので、海に墜落してしまいます

 無謀さや愚考への警告と同時に、農民や羊飼いの姿が、勤勉と労働の美徳を示しています

 作品の右下、船の手前にイカロスの足が見えますか




「婚礼の踊り」ブリューゲル(子)

 「イカロスの墜落」はブリューゲル親子の父の作品であろう・・・と言われていますが
 「婚礼の踊り」は間違いなくブリューゲル(子)の作品です
 後方机で祝福されているのが花嫁ですが、主役の彼女が踊ってないのは妊娠しているからだとか




「シューマンを聴きながら」
 音楽を聴く情景ではなく、音楽に没入する姿が描かれています


「イタリア絵画ギャラリーのネーデルランド総督レオポルト・ウィルヘルム大公」
 とても一度では読めない作品名です
 大公のコレクションが描かれていますが、凄いですね~
 当時、特に貴重な絵にはカーテンをかけて保護していました
 グリーンのカーテンがかかった絵は、ラファエロの「龍を退治する聖マルガリータ」です




「陽光の降り注ぐ小道」
 
 今回、油彩画誕生の地がベルギーだと初めて知りました
 一つの絵の中の物語を解る範囲で楽しみ
 最後は暖かい光に包まれて帰ってきました
  

対比

2007-04-25 | 絵画


ロダン展~創造の秘密~を観てきました
久しぶりにゆっくりとした時間が過ぎて行く事に、とても幸せを感じながら・・・



兵庫県立美術館で開催されています
美術に興味のない方でも、この場所は楽しめる場所だと思います



建物自体が素敵で、外には大階段があり、ここに座ってゆっくりと海を眺めることができます
レストランやカフェもあって、そこからも海が見えます




六甲山が間近に感じられ



隣には海の見える公園もあります


 

今回、ポスターやチケットに使われている「私は美しい」

ロダンはアサンブラージュと言って、最初は無関係に置かれていた作品を組み合わせて
一つの作品にする方法で、数多くの作品を産み出しました
「私は美しい」もそうして出合った二人です

右は駐車場からの螺旋階段です

  

今回のテーマでもある「白と黒」
白は大理石や石膏、黒はブロンズ。全部で146点の作品が展示されています

中でも私が惹かれたのは、ブロンズの「カテドラル(大聖堂)」
どうして手が大聖堂?と思いながら、くる~っと一回りしてみると
なんともいえない優しさを感じ、なんとなく解ったような気になりました

そしてもう一つは、大理石の「眠り」
ポスターに載ってる、石膏の「眠り」も素敵ですが
硬い大理石なのに、触りたくなるような、柔らかさを感じました




今日のランチは、とあるマンションの1階にあり、外からでは解らない「去来花」



デザートが9種類もあり好きなだけ選べます
もちろん、9種類全部でもOKです~



女性たち

2007-04-03 | 絵画
京都市立美術館で開催されている「大エルミタージュ美術館展」
ロシア国立美術館で300万点とも言われる膨大なコレクションの中から
今回はルネサンス以後のヨーロッパ絵画の歴史をめぐる80点が展示されています

その中で、何人かの女性にスポットを当ててみました



「果実を持つ女」ポール・ゴーギャン
実際に女性が持っているのは、果実ではなくカボチャですが



左下に書かれた「エウ・ハエレ・イア・オエ」と言うメッセージは
「どこへ行くの?」と言う意味なのだそうです
タヒチへ逃れたゴーギャン自身への、問いかけなのでしょうか




「野原の少女」ルートヴィヒ・クナウス
今回、一番のお気に入りです



女の子のしぐさがとっても可愛い



「窓辺の婦人(変わりやすい天気)」「散歩の後」 
   どちらも ギュスターヴ・ド・ヨンゲ           

窓辺の婦人は、ランデブー前のお天気が気になっているようです

   白いドレスの女性は気持ちよさそうにうたた寝・・・



「18世紀の女官たちの水浴」フランソワ・フラマン (の一部)
 ドレスがとても綺麗です開放的ですね  



「カフェにて」アルフレッド・ヘンリー・モーラー (の一部)
 ご婦人達の帽子とお店のお花が楽しいです
 上からの角度が面白い 


前に「不完全」でも登場した、女帝エカテリーナが収集した名画の数々
会場に入って最初に飛び込んでくる「聖母子」作者不詳から、どんどん引き込まれていきます

エルミタージュに行ってみたいなぁ~