懈怠石

結晶系、屈折率:100、主要産地:東京近郊、つまりそういう日記

安徳天皇漂海記

2007-02-22 20:34:45 | Weblog
宇月原晴明「安徳天皇漂海記」を読みました。
これは面白いっす。
日経の「文学賞メッタ斬り!」で、豊崎由美さん絶賛だったので、うむ読まねばならん、と思って読みました。

息つく間もない面白さですよ。
ホントは吾妻鏡の引用部分で寝たけど。
読み終えると、この作者の今までの作品も読みたくなります。
それ以上に、渋沢龍彦の「高丘親王航海記」を読み直したくなりました。
作中に出ていた天竺の冠者っていうのも、渋沢氏の「眠り姫」に出ていたし、宇月原さんは結構渋沢好きなのかしら。随分と天竺の冠者をヒイキにしていたようですが。

余談ですが、芥川賞・直木賞の季節には「文学賞メッタ斬り!」を見て、面白そうな本は図書館で予約して借りております。
相変わらず本は買わない主義。
で。
芥川賞・直木賞って、取るとソッコーで予約いっぱいになるんですね。
そして他の候補作は、どんなに面白そうな内容でも、がら空き。すぐ予約できちゃう。
まあ、だから賞なんだけど。

受賞しなかった候補作の方が面白いと思うこと多いんだけどな。
「ベルカ、吠えないのか」とか、凄いと思うんだけどな。
大人の事情とかあるのかな。
ちぇ。

やんごとなき夢を見る

2007-02-16 20:19:25 | Weblog
私は良家の子女ばかりが集う、聖○女学院みたいな高校に通っています。

夢です。
憧れじゃなくて、まどろんで見る方のね。

全校ハイキングみたいな感じで、制服で広大な公園の中をぞろぞろと歩いています。
制服は、有名デザイナーのデザインだけどやぼったくて靴下は三つ折り、清楚で上質だけど面白みに欠けて、思春期には嫌悪の対象でしかない感じ。
ちょっと個人的な僻みが入ってますが。

まあ、オシャレとは言いがたいお揃いの服を着て、上品でうら若い乙女が集団で歩いているんです。目的地とかみんな分かってなくて、「学校の行事だから」と盲目的に参加しています。お嬢様は悩み無さそうでいいな。庶民の嫌味ですが。
私は、これが夢だって分かっていて、何かよからぬ目的に向かって歩いていると、漠然と知ります。

そうだ、クラスの半分くらいの子は心臓に小さな爆弾が仕掛けられていて、この公園を歩いているうちに死んでしまうんだ、と気付く。
で、夢だと分かっているんですが、自分の心臓には何か仕掛けられているのかが分からなくて、焦ります。
いつ爆発するんだろう、私は大丈夫なのか、落ち着け自分!
爆弾を仕掛けられる対象に選ばれるのは、クラスの名簿順でカ行とサ行の子、みたいな凄くいい加減な理由であり、自分はよくわからんが名門S家のお嬢さんである、ということがなぜか少しずつ分かってきます。
ビンゴじゃん!爆弾じゃん!

凄く焦る。
周りにいっぱいいるご学友たちは相変わらず何も悩みがないようで、上品に笑いさざめき、のんびり歩いています。
一人焦る私。

夢だとは分かっていますが、さらに、これは夢の中でも現実じゃない、と分かってくる。
だって私お嬢様じゃないもん。名家のやんごとなき生まれじゃないもん。
これはゲームだ。
名門女学校が舞台の、生き残りゲームだ。
まず運試しの第一関門で私は引っかかってしまったんだ。
今回ゲームオーバーになっても、またチャレンジすればいいんだ。
次はカ行とサ行の家を選ばないようにしなくちゃ。
早く心臓の爆弾が作動して、ゲームが終わらないかしら。
次はクリアできる気がする。

まさに現代っ子な思考です。
現実って何?困ったらリセットしちゃえばいいんだよ!ってな!
深層心理の奥底から甘ったれな考えで、正直情け無いっす。

そんなこんなで、バーチャルと分かって覚悟はしたものの、胸の中で何かが小さく破裂してじわりと温かいものが体の内側に滲み広がっていく感覚は、本当に気持ち悪かった。
普段は感じない内臓の表面での、温度の知覚。

あ、血が。

気持ち悪いもんですね。もう結構です。