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お城でグルメ!

ドイツの古城ホテルでグルメな食事を。

ラインフェルス城

2021年06月06日 | 旅行

ライン河を見下ろすローレライの近くにあるザンクト・ ゴアという河岸の町に、ラインフェルス城がある。ライン岩塊城とでも訳せようか。

この城塞ホテルの歴史を見ると、1973年に開業した、とあるから、私が近隣のボッパルトに住んでいたときにはもう存在していたことになる。おそらく小規模のものであったらしく、その後少しずつ部屋数を増やしたり、スパ、レストラン、カフェ、そしてセミナールームを充実させながら今日に至っている。

もちろん、このライン渓谷で当時最大のラインフェルス城の歴史はホテルのそれよりもずっと古く、13世紀中頃まで遡る。1245年に建造された城塞は1527年にルネッサンス様式に建て替えられた。そして1794年にフランスの革命軍によって破壊され、城下にあるザンクト・ゴアの町は1813年までフランスの管理下に置かれた。その後プロイセン(今日のドイツ)に属することが認められた。

 

 

 

城塞 ・ 展望台から見るライン河

 

城塞と城壁の廃墟の部分は郷土博物館になっていて、その入り口の脇に小さな展望台があり、足元にライン渓谷を見下ろせる。素晴らしい景観である。

 

さて、城内広場から中世の趣きあふれる木橋を渡って20m程行くと、セミナールームと客室が入っている白いユーゲントスタイルの建物がある。この建物がホテル&レストランで、1977年からこの城塞ホテルの一部になっているそうだ。本館には私の望むダブルルームがなかったので、この建物の部屋を予約していた。建物の中は明るく、非常にモダンな造りでエレベーターもある。複数のセミナールームがあり、天気の良い日はライン渓谷を見下ろす裏庭でセミナーが出来るように設えてある。2007年にはドイツで最も良いセミナーホテルに選ばれたそうだ。

  

城塞とホテルをつなぐ橋 ・ ホテル

私の部屋は広くて明るい。東面には天井から床までの窓があり、ライン河と、対岸の山の中腹にある俗名 “猫城” と呼ばれる古城が手に取るように見える。部屋の南面には細長いガラス戸があり、こじんまりとしたテラスに出られるようになっている。室内の設備や家具調度は豪華でもなく骨董品でもないが、シンプルで清潔であって好感が持てる。

 

私の部屋

レストランは東側が広いウィンターガーデンで、私の部屋からよりももっと広角の壮大な景色が見られる。天井は白く真ん中が山高になっていて、黒い木の張りがアクセントを与えている。別荘風とでもいうのだろうか。

„城での休暇“ という名のプランを予約していたので、2泊で朝夕の2食付である。

最初の日の夕食では、まず厨房からの挨拶として、マグロ燻製のわさびクリーム添え、が出た。“わさび“ などの日本の食材を使うのが今欧州で流行っていて、これまでも複数のレストランで経験したことがある。

コースの最初は白と緑のアスパラガスを使った春のサラダと子羊の肉のハム。

次は粗びき麦のニョッキ(団子)が入ったビーフスープ。

続いては焼いた子鴨の胸肉にリンゴ・ハチミツソースをかけて、ネギと椎茸、そしてマッシュポテトを小さく丸めて焼いたものを添えてある。

デザートはイチゴのタルトと各種果物であった。

2晩目は5品メニューのキャンドルライトディナーで、まずキッチンから駒切れメロンにハムが少し。

1品目として、マッシュルームのサラダにマリネードに浸けた肥育鶏の胸肉の細切りをのせた料理が出た。

2品目は煎ったココナッツの切片を浮かべたココナッツ・カレー・クリームスープである。

そして次は白ワインリゾットの上に焼いたバーブ(鯉の一種)の切り身をのせてある。

4品目の肉料理は上にカリカリのチーズをのせた豚のひれ肉の、砂糖の衣がけにしたニンジンとバター風味のヌードル添え。

デザートは花形のビスケットにこの地方のワインを使ったワインクリームであった。

食事に関しては2日とも不満足であった。食事をして空腹が満たされた、というだけで、芸術を楽しんだ後のような心の充実感がない。もちろんミシュランの星を持っているわけではないのだが、それにしても、4つ星のアッパークラスを標榜しているホテルのレストランとしてはまことにお粗末である。

この辛口の評価は、サーヴィスに対する不満にも起因している。

1晩目に私のテーブルの担当だった “チビ・デブ・ハゲ“ のおじさん給仕は、チョコチョコガチャガチャしていてサーヴィスの態度が良くなかった。まず、客である私に笑いかけることがないばかりか、きちんとこちらの顔を見て話をしない。食器を片付けるときに、皿とナイフとフォークがぶつかる音を最小限に抑えようとしない。通りがかりに他のテーブルの椅子にガタッとぶつかる。一品食べ終えるごとに食器を取りにくるのだが、普通サーヴィススタッフは「美味しかったですか。」とか、「御満足ですか。」とか声をかけるのに、このおじさんはいつでもつっけんどんに、「OK?」と尻上がりに発音するだけであった。

2日目の若い女性は飾り気のないごく普通の接客態度であったが、きちんと給仕の教育を受けていないのか、たとえば気を付けていて水やワインを注ぎ足すなど、テーブル上でのサーヴィスがおろそかであった。私の受けた印象が決定的になったのは、最後のデザートになっても皿の受け皿となる銀食器を出したままにしていたときであった。

どうも、世界遺産であるライン渓谷中流域にあるこのホテルは必然的に、旅行者である一見の客が利用する宿泊所となっているようで、私のようにホテルライフを楽しもうとする客には不都合な運営をしているようである。

2日とも朝食のときに窓際に座った。ザンクト・ゴアの町も対岸のザンクト・ゴアズハウゼンも朝もやの中に静止しているが、間を流れるライン河は多くの貨物船の往来で混雑している。その間を縫ってフェリーが頻繁に両岸の道路を結んでいて、飽きさせない光景である。ライン河のほぼ90度の蛇行がなければ、ここから数100m 河上の対岸にローレライが見えるはずである。

ビュッフェ形式の朝食の内容は、特に果物が豊富でなかなか結構であった。各種のヨーグルト類は大きな鉢に入れて、底をクラッシュ・アイスで冷やしてある。パンはここの厨房で焼いたらしく、パリパリで旨い。ただ、朝食のときもサーヴィスの細やかさや、サーヴィススタッフの心遣いが感じられなかった。

〔2009年6月〕〔2021年6月 加筆・修正〕

 

 

 


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