牧師の読書日記 

読んだ本の感想を中心に書いています。

11月21日(木) 「渡辺善太全集6<聖書神学論⑬>」

2013-11-21 08:58:32 | 日記

 著者はヨハネの福音書から「キリスト証言」について説明している。

 イエスはユダヤ人たちにこのように言った場面がある。「あなたがたの父アブラハムは、わたしの日を見ることを思って大いに喜びました。彼はそれを見て、喜んだのです。」(ヨハネ8:56)これは「キリスト証言」を考える上で極めて重要な言葉である。

 本からの引用。「ユダヤ人はイエスに「あなたはまだ五十歳になっていないのにアブラハムを見たのですか」(ヨハネ8:57)と抗弁したのに対して、イエスは「まことに、まことに、あなたがたに告げます。アブラハムが生まれる前から、わたしはいるのです。」(ヨハネ8:58)と答えたもうた。この言葉は、キリストの「先在性」を語るととともに、彼のアブラハムに先立つ「先行性」を語る言葉である。」

 「ヨハネの福音書はこの言葉によって、キリストの先行性を語るとともに、アブラハムを旧約の人々の代表的にして、かつイスラエルの太祖として取り上げ、そのアブラハムが、キリストの「日」を見たと主張しているのである。したがって旧約の人々が語りかつ記したのは、このキリストの「日」を見たからであり、その意味において彼らは、「キリスト証人」なのである。」

 他にもイザヤのことがあげられる。ヨハネの福音書12:39-41にこのように書かれている。「 彼らが信じることができなかったのは、、イザヤがまた次のように言ったからである。「主は彼らの目を盲目にされた。また、彼らの心をかたくなにされた。それは、彼らが目で見、心で理解し、回心し、そしてわたしが彼らをいやす、ということがないためである。」 イザヤがこう言ったのは、イザヤがイエスの栄光を見たからで、イエスをさして言ったのである。」

 アブラハムもイザヤも生まれているはずのないイエスを見たと使徒ヨハネは書いている。アブラハムはイエスが生まれる約2000年前、イザヤはイエスが生まれる約700年前の人物だが、二人ともイエスを見たと証言している。すなわちイエスはアブラハムとイザヤよりも前に先行して存在しているということである。あり得ないことだろうか。ユダヤ人たちはそのように考えた。しかし、キリスト教会とキリスト教は違う。イエス・キリストは神として、アブラハムとイザヤよりも先に存在していた。もっと言えば永遠の昔から存在していた。しかし、2000年前に人間を救うために、神の姿を捨てて人間の赤ちゃんとして生まれた。これがクリスマスの意味である。人間イエスだけを基準に考えれば、イエスはアブラハムとイザヤよりも前に存在してはいないと言える。ヨハネの福音書は「キリスト証言」として見る時に、神学的に深遠であると思う。

 教会開拓を来年5月に始めようと今計画している。礼拝説教を福音書からしようと考えている。この冬に福音書を集中して勉強しようと思う。そして地域の人々にヨハネのようにキリストを証言したい。