芦原やすえの気まぐれ便り

原発のない町つくりなど、芦原やすえの日々の活動をご紹介します。

ちょっと長文ですが、市庁舎建て替え問題について

2021-03-26 21:59:10 | 政治
 松江市役所の建て替えを巡っては、建設費が当初120億円と言われていたものが150億円まで膨れ上がり、その後は市民への説明がコロナ禍を理由に行われなかったために、市民から”待った!”がかけられていました。
市民が集めた住民投票条例の直接請求署名は議会から否決され、市長からは「権利の乱用だ」といった民主主義を無視する乱暴な発言も飛び出し、多くの市民から怒りを買っていました。現在、建て替え工事は着工され、庁舎の目の前にある公園の一部が臨時の駐車場にされています。すでに工事が着工されていることから、「この問題は終わった」と認識する市民もいらっしゃるかもしれません。
 しかし、様々な市民と対話していると、やはり建設地の変更やテラスを設けるデザインの変更などを求める市民の声は絶えていません。なにより、150億円という建設費はこれからもずるずると膨らむことが予想され、いくら国が借金の一部を支払ってくれるとしても、多くは長期に亘って市民の税金で返済しなければならないことは確かです。もちろん、市はこれを計画的に返済する予定でいるわけですが、市民生活に必要な事業を押さえ、借金返済の原資をねん出することになるのではないでしょうか?現在の庁舎が老朽化しており、建て替えなければならないことには、誰も反対してはいません。一定程度の借金が生じ、返済が必要だということも市民は理解していると思います。問題は、コロナウイルス感染症が広がり、その対策に多額の費用が必要となっており、原資となる税収も収入が激減する市民が後を絶たない状況では、多くは見込めないのが現状です。市民の命や健康を守り、困窮する市民への生活支援が最優先されるべきだと、市民が考えるのは当然です。
 また、市庁舎は税金で建設され、市民が暮らす松江市の行政を執行するために必要な場所です。その主権者は住民であり、住民から負託された範囲内で公共の福祉を実現するものです。そうであれば、市民が納得できる形で執行されなければなりません。市民の声に「いまさら何を言うか」とシャッターを下ろすのは、私たちの町に民主主義が根付いていない証拠!恥ずかしいことではありませんか。
 国の施策もそうですが、一度決めたことは途中でやめるという決断をすることに、とても消極的です。そういう硬直した考えのもとに進められる施策は、いつか民意や実態とかけ離れ、失敗の元となる危険性が生じます。未来を見据え、変更が必要な時には、「いまさら何を言うのか」という感情はマイナス効果しか生みません。
 市庁舎問題から学ぶべきことは、市民の意見を聞き、反映させる民主主義のシステムを、今一度、再構築していく必要があります。市民の理解が得られるまで工事は一旦止め、市民と協議する開かれた場を設けるべきと考えます。その際、様々なケースごとに、メリット・デメリットの両方の情報が市及び市民からも提供され、市民自身が比較しながら検討できることが必要です。さらに言えば、これまで市が行ってきた市民参加だというワークショップは、行政の「やりました」というアリバイづくりのような位置付けになっていないでしょうか?これを「審議会」と同等の位置付けにして、公民館単位で自治会の役員以外の住民にも呼びかけ、広く参加を呼びかけることを徹底すべきではないでしょうか?そして、行政も住民も双方が納得できる結論を導き出すのです。時間はかかるでしょうが、禍根を残すことはないと思います。