2018年7月5日
松江市長
松 浦 正 敬 様
島根原発・エネルギー問題県民連絡会
共同代表 北川 泉
連絡先:松江市浜乃木5-10-25
共同代表 北川 泉
連絡先:松江市浜乃木5-10-25
島根原発3号機の審査請求の事前了解に関する公開質問
松浦松江市長は、市議会の閉会あいさつで「市議会や安全対策協議会(安対協)、住民説明会で出た意見を踏まえ、市として了承したいと考えている」(7月4日付「朝日新聞」)と述べられ、7月5日、適合性審査への「事前了解」を中電に伝えられると聞いています。
島根原発3号機の新規制基準への適合性審査について、中電から「事前了解」を求められた5月22日、松浦市長は「申請に特に大きな課題はないのではないか。早急に審査を受けて、安全性を確認していく必要がある」(5月23日付「山陰中央新報」)と発言されています。そして7月3日、松浦市長は審査申請の容認を表明され、取材記者に「(3号機は)ほぼ完成しているので、速やかに審査を受けてもらう必要がある。このまま放っておくわけにはいかない」(7月4日付「山陰中央新報」と発言されています。松江市の「事前了解」容認等に関してお尋ねします。
福島第一原発の事故に見るように、原発が一たん重大事故を起こせば、広範囲の住民の命と生活を破壊し、未来世代の存亡をも左右します。その重大性に鑑み、市内外の住民の納得と合意が大切であるため、今日の話し合いに加えて、公開質問状を提出いたします。「事前了解」を急ぐ動きもありますので、回答期限を7月13日(金)までとさせていただきます。文書にてご回答をよろしくお願い致します。
問1.適合性審査請求の同意・不同意を判断する前に、3号機の新規増設の社会的必要性・妥当性および企業的必要性・妥当性は詳細かつ十分に検討されましたか。
一般企業の工場新設の場合には、たとえ建設工事が進んでいても、経営見通しが変化すれば工事は中止されます。中電が3号機増設を旧鹿島町、島根県に申し入れてから既に21年余が経過しており、増設計画をめぐる環境の変化も視野に入れて、3号機新規稼働の必要性、妥当性が検討されるべきです。社会的必要性・妥当性がなければ適合性審査の必要もありません。松江市において、この点が検討されなかったとすれば、その理由は何ですか。増設の必要性、妥当性に市民合意が得られてから、新規制基準への適合性審査に移行するのが手順というものです。また、前記発言の「このまま放っておくわけにはいかない」(7月4日付「山陰中央新報」)の理由は何でしょうか。
問2.前掲の「早急に審査を受けて、安全性を確認していく必要がある」、また「安全確認が必要」(7月4日付「朝日新聞」)という松浦市長の発言がありますが、松江市は、原子力規制委員会の審査は安全性の審査であると認識されているのでしょうか。
原子力規制委員会は「適合性審査に合格しても事故は起こり得る」と説明していますが、この適合性審査に「合格」すれば、3号機は「安全」ですか。
問3.3号機の新規制基準への適合性審査請求に対する同意・不同意の意見に関して、松江市は、30キロ圏内の6市、島根県及び鳥取県の意見の軽重の差を置くべきとお考えでしょうか。
松浦市長は、安全協定について「船頭が多いと物事が動かなくなる。原発の安全性や事故の特徴を考えると、立地自治体の意見が最大限優先されなければならない」(5月23日付「日本海新聞」)と述べられています。立地自治体の意見は周辺自治体の意見より優先すべきという考え方の根拠は何でしょうか。
意見が優先されない周辺自治体において、原発政策について住民の意思決定は採用されずに放射線被曝リスクの負担を負う場合がないとは限りませんが、その場合もやむを得ないと松江市はお考えでしょうか。
問4.松浦市長は、市議会の閉会あいさつにおいて「事前了解」の根拠として、「市議会や安全対策協議会(安対協)、住民説明会で出た意見を踏まえ、市として了承したいと考えている」と述べておられます。市政は住民の意見を反映すべきですが、この点に関する質問です。
安対協・住民説明会では反対意見・質問のみであったと取材報道されていますし、参加・傍聴者の一致した感想です。記者の取材に「(安対協では)賛成の人は発言しなかった。反対は原発そのものに反対で我々の立場とは相いれないが、安全性をきちっと踏まえてやるべきだとの意見だと思っている」(7月4日付「朝日新聞」)とも語っておられます。
ここで述べておられる「賛成の人は発言しなかった」を示す根拠データは何でしょうか。また「安全性をきちっと踏まえてやるべきだとの意見だと思っている」の「やるべきだとの意見」は「審査請求をやるべきだとの意見」と思われるが、そう考えられる根拠はどこにあるのでしょうか。明示をお願いします。
以上。