最近読んだ小説の一言レビュー第13弾。
今回は冊数が少ないですが、来週からしばらくネパールに行くので、
きりのいいところでご紹介。
4冊のうち、癒し系でじんわり心に響いて泣ける物語が3冊入っています。
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■光の帝国 [恩田陸]
特別な力を持ちながら、それを隠して静かに暮らす、不思議であたたかな常野一族の物語。短編集だが、それぞれのお話で一冊くらいの物語ができるのではないかと思うくらいギュッと圧縮されている。逆に言えば、それぞれの「それまで」や「その後」が気になるとも言えるだろう。最後はツル先生の願いが叶ってよかった
---あらすじ---
膨大な書物を暗記するちから、遠くの出来事を知るちから、近い将来を見通すちから―「常野」から来たといわれる彼らには、みなそれぞれ不思議な能力があった。穏やかで知的で、権力への思向を持たず、ふつうの人々の中に埋もれてひっそりと暮らす人々。彼らは何のために存在し、どこへ帰っていこうとしているのか?不思議な優しさと淡い哀しみに満ちた、常野一族をめぐる連作短編集。優しさに満ちた壮大なファンタジーの序章。
■阪急電車 [有川浩]
派手目な物語が好みなので、あまり期待して読まなかったが、これが予想に反してかなり面白かった。通勤途中では笑いががまんできず一人でにやけてしまったり、会社の休み時間には涙をこらえずに鼻をすすったり、静かに深く心に響く物語だった
---あらすじ---
隣に座った女性は、よく行く図書館で見かけるあの人だった…。片道わずか15分のローカル線で起きる小さな奇跡の数々。乗り合わせただけの乗客の人生が少しずつ交差し、やがて希望の物語が紡がれる。恋の始まり、別れの兆し、途中下車─人数分のドラマを乗せた電車はどこまでもは続かない線路を走っていく。ほっこり胸キュンの傑作長篇小説。
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旅をする木 [星野道夫]
アラスカを舞台にした、限りなくあたたかい物語。星野さんの目を通した壮大なアラスカの風景とそこに住む人たちの息遣いが、心の中に直接響いてくる感じ。アラスカには常々行ってみたいと思っていたが、一番最後にとっておきたくなった。読んだ後に優しくなれる一冊
---あらすじ---
広大な大地と海に囲まれ、正確に季節がめぐるアラスカ。1978年に初めて降り立った時から、その美しくも厳しい自然と動物たちの生き様を写真に撮る日々。その中で出会ったアラスカ先住民族の人々や開拓時代にやってきた白人たちの生と死が隣り合わせの生活を、静かでかつ味わい深い言葉で綴る33篇を収録。。
■白銀ジャック [東野圭吾]
表紙の雪山に惹かれて思わず買ってしまった。しかし、期待したほどの迫力もスリルもなく無難に終わってしまった。山岳小説などを連想すると肩透かしをくうかも
---あらすじ---
「我々は、いつ、どこからでも爆破できる」。年の瀬のスキー場に脅迫状が届いた。警察に通報できない状況を嘲笑うかのように繰り返される、山中でのトリッキーな身代金奪取。雪上を乗っ取った犯人の動機は金目当てか、それとも復讐か。すべての鍵は、一年前に血に染まった禁断のゲレンデにあり。今、犯人との命を賭けたレースが始まる。圧倒的な疾走感で読者を翻弄する、痛快サスペンス。
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