人生ブンダバー

読書と音楽を中心に綴っていきます。
現在は、暇に飽かして、日々更新。

4/29 「えつこの部屋Ⅹ」(長文)

2018-05-07 05:00:00 | 音楽

私の娘に親友がいる。--小学校時代からのお友達だ。

話せば長くなる(--書いても長い。)が、そのお父様が、ワグネル
で大変お世話になっているピアニスト谷池重紬子先生の同級生(音大
時代ではない。)であることは何年か前にチラッとお聞きしていた。
なおかつ、娘の親友の弟さんはワグネルOBだ。


今年、2月初めだったかしらん、娘と親友さんのLINEを通じて、娘から
私に、4月末に谷池先生が主宰する演奏会がある。今年で最後だが、私
(筆者)がもし聴きに行くならチケットが取れるかどうかお父様が尋ね
てくださるそうだけど、どうする?という連絡があった。
娘には、すぐに「行きたいです」と返信した。


お父様の関係で特別に3枚だけ入手できたので、下田顧問と吉川会長を
お誘いして聴きに行くことにした。その時点ではチラシができておらず、
後から分かったが、ゲストは澤畑恵美さんと福井敬さん他。これで、ド
リンク付き2,500円とは破格のお値段だ。通常は5,000円はするのでは
ないかしらん。


その演奏会が、限定120席のプレミアム・コンサート「えつこの部屋
Ⅹ」最終回(於藤沢市民会館第2展示集会ホール)である。


<プログラム>
1部
<澤畑&福井>
1.花  滝廉太郎作曲 武島又次郎作詞 
<澤畑>
2.たんぽぽ  中田喜直作曲 三好達治作詞 
3.歌をください  中田喜直作曲 渡辺達生作詞
<福井>
4.お六娘  橋本国彦作曲 林 柳波作詞 
5.秋桜  さだまさし作詞作曲 台信 遼編曲 
<澤畑>
6.お菓子と娘  橋本国彦作曲 西条八十作詞 
7.うぬぼれ鏡  平井康三郎作曲 小黒恵子作詞
<福井>
8.死んだ男の残したものは  武満 徹作曲 谷川俊太郎作詞 
9.春なのに  菅野祥子作詞作曲 (チェロ矢部優典)
2部
<藤玲子&谷池重紬子>
10.オブリヴィオン<ピアノ連弾>   A.ピアソラ作曲
11.リベルタンゴ<ピアノ連弾>   A.ピアソラ作曲
<谷池>
12.アリア   F.グルダ作曲
<福井>
13.マリウ愛の言葉を   ビクシオ作曲 ネーリ作詞
<澤畑>
14.私の詩に翼があれば   アーン作曲
15.クロリス   アーン作曲
<福井>
16.オペラ「フェドーラ」より 愛さずにはいられない
<澤畑>
17.オペラ「ファウスト」より 宝石の歌
<福井>
18.オペラ「トゥーランドット」より 誰も寝てはならぬ

ゲスト
澤畑恵美(Sop.)
福井 敬(Ten.)
大藤玲子(ピアノ)
矢部優典(チェロ)
オーナー;谷池重紬子


すばらしい演奏に私の表現が追い付かないだろう(--一般的にはな
かなか「筆舌に尽くしがたい」という言い方になるのかな。)が、さ
さやかな記録をしたためておきたい。

藤沢13時27分着の小田急で待ち合わせ。
13時45分藤沢市民会館に到着。会場は市民会館のどこかしらんとキョ
ロキョロし、開場10分以上前に「こちらが最後尾」という行列に並ぶ。
時間どおり14時に開場。会場に入ると12人掛けの四角いテーブルが10
卓かしらん。--何しろ「限定120席」である。「本日は満席でござ
います」のアナウンスが入る。

14時30分開演に向け、音楽を知るお客様が多いのか、徐々に自然と静
まり返る。


1部
開演時間ちょうどに谷池先生が登場、マイクを握る。「こんにちは、オ
ーナーの谷池でございます。『えつこの部屋』も今回が最後とお二人に
お話したら、スケジュールをあけていただき、特別にお招きすることが
できました」。

<澤畑&福井>
1.花  滝廉太郎作曲 武島又次郎作詞 
お二人がニコニコと登場。さすがに登場するだけで明るくなる。二重唱
で聴く、滝廉太郎の「花」生演奏がまことに新鮮に響く。

福井さん「私と澤畑さんはオペラ研修所第7期の同期ですが、谷池さん
は、私たちの先生です(知らなかった~!)」
澤畑さん「最初は『先生』とお呼びしていたのですが、親しくさせてい
ただいてから、勇気を出して『谷池さん』とお呼びするようになりまし
た(笑)」。

<澤畑>
2.たんぽぽ  中田喜直作曲 三好達治作詞 
澤畑さんは、10年前に津田ホールで開かれた「二期会ゴールデンコン
サート」で聴いた(→こちら)。その時も「たんぽぽ」を聴いたこと
を忘れない。伴奏はやはり谷池先生だった。
さっと曲に没入、左手がゆっくり動く。

3.歌をください  中田喜直作曲 渡辺達生作詞
しっとりと始まり、徐々に高揚する「世界」(澤畑ワールド)がすばら
しい。著作権もあるので、詩は書けないが、「一度しかない人生」にぐ
っと来る。

<福井>
4.お六娘  橋本国彦作曲 林 柳波作詞 
福井さんのお声を初めて聴いたのは、比較的早く、畑中先生とワグネ
ルの演奏によるCD『草野心平の詩から』(のソリスト)だ(平成4
[1992]年録音)。
その10年後には、東京文化会館で『マイスタージンガー』のヴァルタ
ーを聴いた(平成14[2002]年)。

福井さんの「お六娘」は、初めて聴いたが、絶品だ!福井さんの歌唱
(と谷池先生)の伴奏によって、この曲のすばらしさを初めて認識す
ることができた。

5.秋桜  さだまさし作詞作曲 台信 遼編曲 
さだまさしの「秋桜」を格調高く歌う。初めてじっくりと聴く想いだ。
淡々とした「母と嫁入りする私」の物語がじわじわと心に沁み込んで
くる。会場が静まり返り、知らぬ間に、私は目の前のテーブルの一点
を見つめ、動けなくなった。

谷池先生がいったんマイクを握る。
「ごめんなさい。お話(お休み)するつもりじゃなかったんですけれ
ど。涙が出てきちゃって・・・・・・」(ハンカチで涙をぬぐわれる)。

<澤畑>
6.お菓子と娘  橋本国彦作曲 西条八十作詞 
澤畑さんのレパートリーと言っていいのかしらん。10年前のコンサー
トでも聴いている。左手が動き、目の前でブレスが聞こえる。ここで
も澤畑さんの明るい「世界」に引き込まれる。

7.うぬぼれ鏡  平井康三郎作曲 小黒恵子作詞
谷池先生からのリクエスト。前奏から始まる「ジェスチャー」ととも
にコミカルな歌に惹きつけられる。「うふっ」はまさしく「芸」の極
み!

澤畑さんの日本歌曲は、少なくとも歴代プリマドンナ5指に入るので
はないかしらん。
オペラの合間に、好きな日本歌曲を歌うというレベルではない。

<福井>
8.死んだ男の残したものは  武満 徹作曲 谷川俊太郎作詞 
長い歌を「集中心」を切らせず、格調高く歌いあげる。発声を感じさ
せない、バリトンかと思える堂々たる歌唱が見事。間奏も無論すばら
しい。「我を忘れる」とはこのことかしらん。

9.春なのに  菅野祥子作詞作曲 (チェロ矢部優典)
チェロ用のイスが出てきた。「矢部優典さんをご紹介します」(第86
回日本音楽コンクールチェロ部門第2位及びE.ナカミチ賞受賞。桐朋
学園大学3年在学中)。

ピアノ前奏に続き、哀愁を帯びたチェロが入る。「春なのに・・・・・・春
だから・・・・・・」。会場の全員に涙が浮かんだ。

20分のコーヒーブレイク。同じテーブルの方と少しく談笑。--二期
会合唱団の方だった。
お父様には「ブログ取材の方は如何ですか」と話しかけられ、「いや
~、有難うございます。すばらしいですね~」。


2部(15:43~)
谷池先生「2部を始めさせていただきます。今日は(コレペティとし
て)日本で一番オペラを弾いておられるのではないかと思われる大藤
さんをお招きしました。

大藤さんとは、性格がまったく違うのですが、ン十年前からのお友達
です。私が料理を作れば、彼女が片付けてくれます(笑)。
連弾1曲目は色っぽい曲。2曲目は軽快な曲です」。

<大藤玲子&谷池重紬子>
10.オブリヴィオン<ピアノ連弾>   A.ピアソラ作曲
今回新たに教えていただき、忘れられなくなった曲。高音部が大藤さ
ん、低音部が谷池先生の連弾(1 piano)。
地味なモノクロ映画の世界、一人佇む男に女性がゆっくり近づいてく
る(去っていくのかな[笑])。
「オブリヴィオン」とは「忘却」という意味だ。
ご参考→こちら(Solo演奏、テンポは遅め)。

11.リベルタンゴ<ピアノ連弾>   A.ピアソラ作曲
タンゴのリズムに乗って、切れのある音楽がすばらしく、タンゴを踊
りたくなる(--踊れないが)。

途中から申し合わせたかのように(--というのもおかしな表現だが。)
お二人の集中力がガ~ッとなって、すごかった。終わった瞬間、会場か
ら「わ~っ」という歓声が出た。

<谷池>
12.アリア   F.グルダ作曲
谷池先生「グルダのアンコール曲です。昔は楽譜がなくて、ある方に楽
譜に起こしてもらいました。以前、畑中先生にお聴かせしたら、(先生
は)黙って聴いておられて、『あれ~、寝ちゃったかな~』と思ったら、
(顔をあげられ)『うん、もう一回弾いて』ということがありました
(笑)」。
左手がキザミ、右手がメロディーを奏でる。ロマンチックな曲に、「や
り過ぎない演奏」がすばらしい。

<福井>
13.マリウ愛の言葉を   ビクシオ作曲 ネーリ作詞
初めて聴く曲かしらん。ロマンチックな曲。福井さんはステージ(ス
ペース)をいっぱいに使い、思い入れたっぷりに歌いあげる。間奏も
しっとりと。

<澤畑>
「畑中先生もお好きだったフランス歌曲。先生に捧げます」。
14.私の詩に翼があれば   アーン作曲
澤畑さんは黄色いドレスにチェンジ。音楽的な表情が豊かですばらしい。

15.クロリス   アーン作曲
シンプルな歌のメロディーと進化した伴奏(譜)のマッチングがすば
らしい。

<福井>
16.オペラ「フェドーラ」より 愛さずにはいられない
私の大好きな曲。フランス語歌唱だ。福井さんのまさしく「絶唱」に
感動である。

<澤畑>
17.オペラ「ファウスト」より 宝石の歌
同じくフランス語。多少動きのある、迫真のオペラ歌唱。最後の大き
な盛り上げに大拍手となった。

<福井>
18.オペラ「トゥーランドット」より 誰も寝てはならぬ
パヴァロッティで有名な曲。間の前で聴くと、ものすごい声量!最高
音のスピントに大拍手が押し寄せた。

谷池先生「この10年間(のご声援)、本当に有難うございました。プ
ログラムの裏表紙には、今までのスナップも乗せております。(10年
前は)畑中先生もお元気でした。それでは最後に『乾杯の歌』を」

福井さんも澤畑さんもお客様へギリギリまで大接近。これほど身近で
聴けるヴィオレッタとアルフレードはそうそう経験できないだろう。
お二人とも役になりきっていた。

最後に福井さんから「チェロの矢部さんは澤畑さんの息子さんです」
(会場から「え~ッ」)という紹介があった。

全体に、澤畑さん、福井さんの気持ちが入った、そして人柄あふれる
真摯な歌唱がすばらしかった。

谷池先生が、ざっくばらん(フランク)というか、こんなおもしろい
お話をされるとはうかつながら知らなかった。


寡聞にして最終回まで知らなかったが、「一期一会」の演奏を聴くこ
とができ、一生の思い出になるだろう。

貴重な機会を与えてくださった、娘の親友のお父様に感謝し、終演後、
谷池先生のクラス会(たくさん来られていた。)の幹事さんにもあわ
せ、御礼の言葉を申し上げた。有難うございました。


*「ふじさわみらいアーツ」のTwitter、Facebookに記事、写真あり。


プログラム表紙



プログラム


 


12:42 あざみ野駅のホームドア設置工事のお知らせ


12:45 田園都市線あざみ野から


12:59 中央林間着


13:05


13:09 小田急中央林間


13:28 藤沢着



13:44 藤沢市民会館


13:48 1列ずつに並ぶ。


14:02 開場



14:10 急いで正面向きの席をキープ


14:12 プログラムに目を通す。



15:26 コーヒーブレイク


15:29


15:40 まもなく第2部



16:37 お開き



16:50 藤沢駅近くで軽~く一杯


16:55 「や~、すばらしかったですネ~」



17:07


19:53 小田急藤沢駅


19:56


20:18 中央林間


20:21 田園都市線中央林間


20:40 あざみ野に戻る。


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