人生ブンダバー

読書と音楽を中心に綴っていきます。
現在は、暇に飽かして、日々更新。

林望『習近平の中国』

2020-04-15 05:00:00 | 読書

林望『習近平の中国--百年の夢と現実』(岩波新書、2017/5)を
読む。

著者プロフィールは下記参照。随筆・小説家の林望とは同姓同名の
別人。

本書の帯より本書を紹介すると・・・・・・
 そのあいまいさや時間軸の長さは、日本の政治文化や日本人のも
 のの考え方にはあまりないものだ。台頭する大国のつかみどころ
 のなさに周囲の国々は当惑し、振り回されもするが、彼らが目指
 す「百年の夢」という大きな方向性を踏まえ、その文脈の中で目
 の前で起こる一つ一つの現象を見ていくことは、中国を知る上で
 有用だと考えている。(本文より)

2010年代の中国の動き--とくに対外関係を中心としてまとめられ
ており、近年の中国を知る上で便利だ。

以前書いたかしらん、中国というか中国共産党は、分かりやすく言
うと「会社」みたいなものだ。
社長、役員会の方針、指示には従わなくてはならない。会社方針に
そって「手柄」をたてると「出世」する。

一方、中国の新聞社や学者などは、すべて「会社方針」の説明役と
言っていいのではないかしらん(仮説かな?)。


著者は、朝日新聞の北京特派員だっただけに(?)、やや中国には
理解的な記述が散見される(--ホンネは分からないが・・・・・・)。

このあたりは、同じ東京外大中国語学科卒でも、中嶋嶺雄の中国論
とは異なっている。

その中にあって、「第三章十三億人を率いる党-第一節強まる自負
と深まる危惧」(後記目次参照)はなかなかおもしろい。


終章の最後に著者は次のように書いている(少し長くなるが)
 習近平の手腕は中国と世界を瞠目させているが、その政策の多
 くは、共産党政権が積み上げてきた大きな流れにある。毛沢東
 の時代も鄧小平の時代もすべて共産党の歴史であるとして肯定
 しようとする習は、その巨大な振り子が刻む時間を意識し、そ
 の流れの中で自分の仕事が評価されることを深く自覚している
 ように見える。

 「中国の夢」とは、そうした習の使命感を凝縮したスローガン
 だが、今後、厳しく問われていかなくてはならないのは、それ
 がいったい誰のための夢なのかということだ。十三億人の夢で
 はなく、共産党政権の、あるいは習自身の夢でしかないのであ
 れば、これほど危うい話はない。中国の行方にいや応なく影響
 を受ける私たちは、彼らが目指す「百年の夢」がどのような像
 を結んでいくのかを、予断や偏見にとらわれず、曇りのない目
 で見つめていく必要があるように思う。

上記の後段はまさしく正論?


<目次>
序章 習近平の夢
第一章 勃興する大国、波立つ世界
 第一節 米中の攻防
 第二節 海への野心
 第三節 日中の地殻変動
第二章 中国式発展モデルの光と影
 第一節 改革開放のひずみ
 第二節 農民を食べさせる
 第三節 国家の繁栄、市民の憂鬱
第三章 十三億人を率いる党
 第一節 強まる自負と深まる危惧
 ・王岐山とフランシス・フクヤマとの対話
 ・独自の道
 ・結論は「共産党」
 ・黙して従え
 ・エリート主義の行方
 ・中南海の門が開かれた時代
 ・天安門事件と趙紫陽
 ・民主改革の生き証人
 ・「我々の民主主義はなぜウソっぽいのか」
 ・民衆との溝
 ・さまよう文革の亡霊
 ・庶民の心をつかんだ薄の手腕
 ・北京への挑戦
 ・「毛の子ども」のとった道
 ・毛でもあり、鄧でもある
 ・習近平が見入った写真
 第二節 「核心」時代の党大会
終章 形さだまらぬ夢

著者プロフィール(本書による。2017年時)
1972年長野県生まれ。1995年東京外語大学外国語学部中国語学科卒
業。信濃毎日新聞。人民中国雑誌社勤務の後、2001年に朝日新聞社
入社。香港支局長、広州支局長などを経て、2012年から中国総局員
として中国の政治・社会分野の取材を担当。2016年から米戦略国際
問題研究所(CSIS)客員研究員。


林望『習近平の中国』(岩波新書、2017/5)

 --------------------------------------

4/14(火)、前日は雨で一歩も出なかったので、今日は家内と少し
く散歩に(2,000歩)。

風が強い快晴で富士山がよく見える。
前日は積雪だった。


10:44 早くもハナミズキ


10:51 積雪の富士山と丹沢(大場町より)


11:08 新緑のトウカエデ並木

〇4月は演奏会等の中止が相次ぎ、中止に伴う払戻し(予定)が5万
 円に。ちょっと儲かった気分?


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 池上彰『そうだったのか!朝... | トップ | 一橋学院の時代~林忠彦『文... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

読書」カテゴリの最新記事