人生ブンダバー

読書と音楽を中心に綴っていきます。
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第29回かながわゴールデンコンサート2010

2010-05-25 05:08:00 | 音楽

「かながわゴールデンコンサート」という宣伝にひかれ、5月22日(土)久しぶり
に声楽の演奏会に行ってきた。既に29回を迎えるという。(於神奈川県民ホール 
小ホール)

出演者はすべて二期会会員だった。433席の会場は文字どおりの満員。午後2時
過ぎに、下手から左手に杖の、小柄な「老人」男性が右足をひきずるようにして、
ゆっくり登場してきた。
ゆっくりとした話し方--「皆様、今日はようこそお越しくださいました。先ほど
本日の出演は何順ですか?と二三人の方から訊かれました。大体、年令順でござ
います(場内爆笑)。ここだけの話、一番若いのは宮本くんです。」

●浅野美帆子
 さくら横丁
 たんぽぽ
 紙風船
 マリンブルーのドレス。雰囲気のある、メロディー重視の、外へ発散する歌唱だっ
 た。
●山本ひで子
 カーネーションに寄せて
 おかあさん
 うぬぼれ鏡
 メゾかしらん。「カーネーションを母に捧げん」には感動に胸が締め付けられ、
 涙した。「うぬぼれ鏡」ではジェスチャーを交え、尻上がりの熱唱だった。
●宮本益光
 サッカーによせて
 鴎
 「二期会のキムタク」との紹介。芯のあるベルカント唱法。「蹴っ飛ばされてき
 たものは蹴り返せばいい」、「ついに自由は我らのものだ」とメッセージ性のあ
 る歌が見事だった。「鹿鳴館」にも出演される。 
●鵜飼文子
 天使のうた
 ねむの木の子守歌
 あなたと出会うまでは
 おやすみなさい、私の誰かさん
 「ねむの木」は別として、あとは英語の歌。最初は何語かと思った(笑)。どう
 も英語の歌は苦手だ。白にオレンジっぽい柄のドレス。
●田中奈美子
 河のほとりで
 世の中は埃っぽく
 アイガット リズム
 小柄な「オバサン」。勉強家とのこと。本当にいい声、いい響き、お上手だっ
 た。濃いマリンブルーでドレスアップ。
●中村博之
 夕方のお母さん
 公園へ行う
 音戸舟唄
 小さな空(歌唱指導)
 進行役の、杖の「老人」が音符(♪)柄のブレザーでゆっくり登場。一生懸命歌
 う「夕方のお母さん」にはなんともいえぬ味わいが。聴く身に涙がにじむ。半身
 不随の執念のステージ。絶品だった。
--休憩--
●三縄みどり
 最後の陶酔
 霧
 短い物語
 近代イタリア歌曲レスピーギを集めた、気品のある歌唱。会場からは「うーん」
 といううなり声も聞こえた。
●工藤博
 私は愛さない
 ユーカリ
 工藤さんは私が現役時代ワグネルにソリストとしてお招きした。お若く見えるが
 70歳になられるのではないか知らん。クルト・ワイルの作品。いずれもフランス
 語フランスの白黒映画の世界だった。千両役者である。会場全体がひきつけられ
 た。ワイル歌曲のCDを探してみよう。
○早瀬充恵 ショパン「華麗な大円舞曲」(ピアノ独奏)
 「次の安念さんの曲が暗~いので」、飛び入りで華やかな曲が演奏された。
●安念千重子
 無くてはならぬものの無く
 消え失せよ!
 メロディー
 19曲しかないショパンの歌曲から。ロシア語だったのかしらん。青緑のドレスで
 花のある方だ。
●大川隆子
 はすの花
 母が教え給いし歌
 ツェチーリエ
 今や独語の大御所。最後のR.シュトラウスは絶唱だった。
●下野昇
 君の住む町
 静かに広がる闇
 妖精の瞳
 ブルーのシャツに白のブレザー。前2曲はハッキリした日本語による歌唱。ステー
 ジマナーは大ベテランらしさ。
●栗本尊子
 鐘が鳴ります
 ばらの花に心をこめて
 おやすみなさい
 本日のお目当て、栗本さんには登場と同時に大変な拍手。5月9日で90歳になられ
 た。少しお痩せになったかしらん。第一声、声も響きも衰えていないどころが、
 すばらしい。本当に奇跡(畑中先生)である。目隠しをして聴いたら、90歳の歌
 唱と思えるだろうか。想いを込めた歌唱。驚異のブレスに、終わるや盛大な拍手
 とともに会場がざわめいた。しあわせな時間であった。


最後に、出演者も勢ぞろい、「小さな空」の全員合唱。ステージ下ファンからの花
束贈呈があり、「夏の思い出」を皆で歌ってお開きとなった。中村さんは、杖を片
手に最後の最後までステージに残っておられた。来年、第30回も5月開催。(来年の
出演予定者には栗本さんも含まれている。)是非来てみたい。好企画に拍手!


ピアノ;早瀬充惠、深井利枝、新海 節、鳥井俊之、皆川純一
企画・制作;中村博之



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