30日(土)の 『照柿』(講談社) は、第二章 帰郷 のp150からp192まで読了。
主人公二人はまだまだ大阪にいるので、有名無名の大阪の地名がポンポン出てきます。
「住道矢田」なんて、一発で読めた方は地元の方でしょうねえ。大方の大阪府民は、まず読めない地名だ(断言)
ちなみにここは合田さん、達夫さん、並びに高村さんの生まれ育ったところ。「すんじやた」と読む。
私は大学生時代にこの沿線(近鉄南大阪線)を利用していたのだが、気付いたのは 『照柿』 と 『レディ・ジョーカー』 を読んでから。・・・何か悔しい。
「住道矢田」への最寄の駅名は「矢田」。各駅停車しかしません。大学生時代は、専ら準急利用だったので、余計に気付くのが遅かった。ああ、悔しいぞ(苦笑)
『照柿』 には登場しませんが、ここで大阪の地名テスト実施。地元の方もそうでない方も、おヒマならやってみて下さい。全問正解であっても、賞品はありません。
1.河堀口 こぼれぐち
2.杭全 くまた
3.放出 はなてん
4.立売堀 いたちぼり
回答はこの記事をドラックしたら、どこかに出ています。
***
★☆★本日の名文・名台詞 からなのセレクト★☆★
今回は「合田さんの(危ない)魅力」特集。(どう「危ない」のかは読めば分かる) 合田さんファンは性根据えて読んで下さいね。今回もかなり力入れて選びました。
★グラスの氷を噛み砕き、最後の一滴を水のように飲み干すと、「もう一杯」とカウンターにグラスを置く。飲むことが好きなのか、アルコールそのものが心地好いのか、それは人に自分も飲みたいという気持ちを起こさせ、アルコールへの飢えをくすぐり、誘惑する飲み方だった。 (p168)
合田さんの「お酒の嗜み方」は、誰に教わったんだろう? 合田さんが高校生の時に、父親は肝硬変で死亡。(『照柿』 p186参照) だから推測と想像を働かせてみると、加納家と付き合いだしてからかなあ、と思う。加納家は「良家」ですし、躾もきっちりしてそうだし・・・。義父や義兄から「正しいお酒の嗜み方」を仕込まれたのでは? 『レディ・ジョーカー』 でも、城山社長が合田さんの飲みっぷりを絶賛していましたしね。(レディ・ジョーカー再読日記を参照)
高村さんご自身もかなりの酒豪だそうで、お酒を飲む場面を描く上手さには定評がありますね。残念ながら私は下戸なので、高村作品に出てくるお酒を飲んで、感想等を述べることは出来ません・・・。
★ともあれ、淡々とアルコールを呷り続ける表皮の下に、びっしり張り詰めた無数の神経が透けて見えるような男を、達夫は十八年ぶりに目の当たりにしていた。雄一郎の後にも先にも、こういう男はいなかった。 (p170)
達夫さんによる合田さん評・その3。そりゃ、こんな男はそうは身近にいないでしょうよ。いたら怖いよ(苦笑)
★雄一郎はおそらく生来、人を観察するタイプの人間だった。人から得たものを租借して自分の血肉にすることはあっても、決して当事者になって自分の身を削ることはない、冷静で狡猾な第三者だったのだ。
しかし、今はどうだろうか。 (中略) 目の前にいるのは、今の今、一人の女と一対一で向かい合っているに違いない男だった。美保子に惚れることで一人称になり、達夫の前に一人称のわが身をさらしていた。表皮の下に、おそろしいほどの自制心と爆発力の双方が透けて見える、生まれ変わったような合田雄一郎だった。 (p171)
達夫さんによる合田さん評・その4。すごい。これはすごい細かい観察と分析だ。幼馴染みで付き合い、培っていた年月がしのばれますね・・・。
★雄一郎の仮面は、いつでもひっくり返る程度の危ういものだし、自分は言うまでもない。俺は未来の人殺しだが、雄一郎もきっとそうに違いない。 (p179)
達夫さんによる合田さん評・その5。ヘタにコメントすると自爆しそうなので、ノーコメント(苦笑)
★達夫を睨みつける目は表情がなく、ただ暗く潤んでいた。達夫は思い出す。そうだ、これが雄一郎の目だ、と。深すぎて足の届かない湯船の縁にしがみつき、身じろぎもしない子供の目。深い湯船に満ちているのは、感情という名の煮え湯だ。 (p181)
達夫さんによる合田さん評・その6。これが 『レディ・ジョーカー』 (上巻p336) で根来さんが評していた、こんな微妙な目で見つめられたら、理屈抜きに殴りつけたくなるか、魅入られるかどちらかだ。 の目なのですね。
★人一倍激しい感情はすべて、雄一郎という一人の人間の中で煮えたぎるだけで、外に溢れることも人を押し流すこともないのだ。外目に見える表情、言葉、仕種は全て、雄一郎という名の壁の姿であって、誰もその内側は覗けないのだが、だからこそ達夫はその壁をぶち壊すことに子供らしい快感を覚えたのだった。 (p183)
★雄一郎は壁の向こうから片手一本を差し延べ、女はおろか、あらゆる人間をつかみそこねて、ひとり壁の内側で悶々としつつ自壊していく。 (p192)
達夫さんによる合田さん評・その7と8。「合田さんの壁」関連は、後の場面にも出てきます。
うーん、義兄よりも合田さんのことを知り尽くしているぞ、達夫さん・・・。
主人公二人はまだまだ大阪にいるので、有名無名の大阪の地名がポンポン出てきます。
「住道矢田」なんて、一発で読めた方は地元の方でしょうねえ。大方の大阪府民は、まず読めない地名だ(断言)
ちなみにここは合田さん、達夫さん、並びに高村さんの生まれ育ったところ。「すんじやた」と読む。
私は大学生時代にこの沿線(近鉄南大阪線)を利用していたのだが、気付いたのは 『照柿』 と 『レディ・ジョーカー』 を読んでから。・・・何か悔しい。
「住道矢田」への最寄の駅名は「矢田」。各駅停車しかしません。大学生時代は、専ら準急利用だったので、余計に気付くのが遅かった。ああ、悔しいぞ(苦笑)
『照柿』 には登場しませんが、ここで大阪の地名テスト実施。地元の方もそうでない方も、おヒマならやってみて下さい。全問正解であっても、賞品はありません。
1.河堀口 こぼれぐち
2.杭全 くまた
3.放出 はなてん
4.立売堀 いたちぼり
回答はこの記事をドラックしたら、どこかに出ています。
***
★☆★本日の名文・名台詞 からなのセレクト★☆★
今回は「合田さんの(危ない)魅力」特集。(どう「危ない」のかは読めば分かる) 合田さんファンは性根据えて読んで下さいね。今回もかなり力入れて選びました。
★グラスの氷を噛み砕き、最後の一滴を水のように飲み干すと、「もう一杯」とカウンターにグラスを置く。飲むことが好きなのか、アルコールそのものが心地好いのか、それは人に自分も飲みたいという気持ちを起こさせ、アルコールへの飢えをくすぐり、誘惑する飲み方だった。 (p168)
合田さんの「お酒の嗜み方」は、誰に教わったんだろう? 合田さんが高校生の時に、父親は肝硬変で死亡。(『照柿』 p186参照) だから推測と想像を働かせてみると、加納家と付き合いだしてからかなあ、と思う。加納家は「良家」ですし、躾もきっちりしてそうだし・・・。義父や義兄から「正しいお酒の嗜み方」を仕込まれたのでは? 『レディ・ジョーカー』 でも、城山社長が合田さんの飲みっぷりを絶賛していましたしね。(レディ・ジョーカー再読日記を参照)
高村さんご自身もかなりの酒豪だそうで、お酒を飲む場面を描く上手さには定評がありますね。残念ながら私は下戸なので、高村作品に出てくるお酒を飲んで、感想等を述べることは出来ません・・・。
★ともあれ、淡々とアルコールを呷り続ける表皮の下に、びっしり張り詰めた無数の神経が透けて見えるような男を、達夫は十八年ぶりに目の当たりにしていた。雄一郎の後にも先にも、こういう男はいなかった。 (p170)
達夫さんによる合田さん評・その3。そりゃ、こんな男はそうは身近にいないでしょうよ。いたら怖いよ(苦笑)
★雄一郎はおそらく生来、人を観察するタイプの人間だった。人から得たものを租借して自分の血肉にすることはあっても、決して当事者になって自分の身を削ることはない、冷静で狡猾な第三者だったのだ。
しかし、今はどうだろうか。 (中略) 目の前にいるのは、今の今、一人の女と一対一で向かい合っているに違いない男だった。美保子に惚れることで一人称になり、達夫の前に一人称のわが身をさらしていた。表皮の下に、おそろしいほどの自制心と爆発力の双方が透けて見える、生まれ変わったような合田雄一郎だった。 (p171)
達夫さんによる合田さん評・その4。すごい。これはすごい細かい観察と分析だ。幼馴染みで付き合い、培っていた年月がしのばれますね・・・。
★雄一郎の仮面は、いつでもひっくり返る程度の危ういものだし、自分は言うまでもない。俺は未来の人殺しだが、雄一郎もきっとそうに違いない。 (p179)
達夫さんによる合田さん評・その5。ヘタにコメントすると自爆しそうなので、ノーコメント(苦笑)
★達夫を睨みつける目は表情がなく、ただ暗く潤んでいた。達夫は思い出す。そうだ、これが雄一郎の目だ、と。深すぎて足の届かない湯船の縁にしがみつき、身じろぎもしない子供の目。深い湯船に満ちているのは、感情という名の煮え湯だ。 (p181)
達夫さんによる合田さん評・その6。これが 『レディ・ジョーカー』 (上巻p336) で根来さんが評していた、こんな微妙な目で見つめられたら、理屈抜きに殴りつけたくなるか、魅入られるかどちらかだ。 の目なのですね。
★人一倍激しい感情はすべて、雄一郎という一人の人間の中で煮えたぎるだけで、外に溢れることも人を押し流すこともないのだ。外目に見える表情、言葉、仕種は全て、雄一郎という名の壁の姿であって、誰もその内側は覗けないのだが、だからこそ達夫はその壁をぶち壊すことに子供らしい快感を覚えたのだった。 (p183)
★雄一郎は壁の向こうから片手一本を差し延べ、女はおろか、あらゆる人間をつかみそこねて、ひとり壁の内側で悶々としつつ自壊していく。 (p192)
達夫さんによる合田さん評・その7と8。「合田さんの壁」関連は、後の場面にも出てきます。
うーん、義兄よりも合田さんのことを知り尽くしているぞ、達夫さん・・・。
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