あるタカムラーの墓碑銘

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「我らが少女A」 第3章 54 (連載第120回)

2018-01-09 23:42:47 | 我らが少女A 雑感
一枚のスナップ写真が特命班の長谷川から合田のスマホに転送されてくる。

その写真を、永久保存する気かなあ、合田さん?

合田は、十二年前の少女Aの記憶が、実はかなりあやふやになっていたことにあらためて気づかされる一方、二十六歳になった少女の、半分死んでいるような薄昏さと、それでも十分に魅力的ではある美貌をどう受け止めればよいのか分からない。少女Aに対するかつての個人的な感情の残滓も、未だに自分のなかに収める場所はない。

「薄昏さ(うすぐらさ)」という単語が頻繁に出てきますが、今回のキーワードの一つですね。

もちろん、もしも十二年前に自分たちが少女を検挙していたら、彼女にはまた違った未来が開けていたはずだという後悔はあるが、いま自分のうちに響いているのはそれよりも、ある種の空洞の音だと思う。三十年も独り身だった人生にあいている空洞を、自分は何で埋めている? そういえば、彼女は恋をしたことはあったのだろうか--?

<三十年も独り身だった人生にあいている空洞を、自分は何で埋めている?>
 だと!?
そりゃあ、公には警察のお仕事、私人としては加納さんでしょうが。違うの?

そういえば、彼女は恋をしたことはあったのだろうか--?

朱美ちゃんの恋の話はおいといて。

文庫版『レディ・ジョーカー』で合田さんは「恋」と自覚しましたけどね。
ついでに「失恋した」と本人は思っているらしいが、真剣な話、実のところはどうなんだ!?
加納さんとは友情のままなのか、失恋は合田さんの勝手な思い込み、はたまた勘違いだったのか、恋情が復活したのかどうか!?

そろそろはっきりした正解が欲しいところです。
あれこれ想像するのも楽しいし、いろんな想像を伺うのも楽しいけれど、そろそろ思い巡らすのもしんどくなってきました。



4 コメント

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確かに! (つるぎ)
2018-01-12 01:04:02
からな様、こんばんはです。
義兄弟の関係を悩ましく思っておられる方は多いと思いますが、本当に、実際のところ、どうなんだ〜!!と、唸りたくなりますね。

そろそろ、しんどくなってこられたお気持ち、お察しいたします。
しかし、毎⚪︎新聞に朝っぱらから、義兄弟のラブシーンが掲載されたら、早朝から度肝を抜かれるだろうなあ…
あったとしたら、文庫化される加筆部分か?と考えると(考えすぎ?)、先がなが〜く感じられます。
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つるぎさんへ。 (からな)
2018-01-14 21:21:38
こんばんは。

>義兄弟の関係を悩ましく思っておられる方は多いと思いますが、本当に、実際のところ、どうなんだ〜!!と、唸りたくなりますね。

この連載では一貫して「友人」が大部分の表記ですからねえ。

>毎⚪︎新聞に朝っぱらから、義兄弟のラブシーンが掲載されたら

いやいや、かつて●経新聞では、ワタナベジュンイチさんの作品の濡場が延々と続いた前科(?)がありますから(苦笑)

○賣新聞でも、男性同士の濡場を描いたヨシダシュウイチさんの作品もありましたし。

朝チュンでもいいから・・・ほのかでささやかな、淡い望みを叶えて欲しいものですが、合加か加合かで、波乱がありそうですよねえ。
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永い道のり (あき)
2018-02-07 17:03:06
ご無沙汰しております。

『失恋』、『恋』というと、
レディー・ジョーカーに引き戻されますよね。

あの文章は、本当に永遠の謎。。。
今までの人生で一番知りたい事です!!
毎晩あの文章を見直して、どれほど悶々としたか。涙
高村先生、お恵みを。

高村先生
この度の毎日芸術賞、受賞のお言葉が
『この身体で生きて、この身体で書いていく』と。

深いお言葉。
清い覚悟というか、どうなろうとも自分であり続けるという
生きる者として誰とて不安な未来を生き抜くおつもりなのでしょうね。
はぁー、覚悟はあるのか、私。笑

朝でも夜でも、●れ場、読みたいよー。
でも、マークスの山でバッチリのBLありましたよね。
合田と友人と書かなくていいから、
ある男たちの褥、、とかいって書いて欲しい!

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あきさんへ。 (りあん)
2018-02-10 00:42:37
こんばんは。

>あの文章は、本当に永遠の謎。。。
>今までの人生で一番知りたい事です!!
>毎晩あの文章を見直して、どれほど悶々としたか。涙
>高村先生、お恵みを。

本当にお恵みが欲しいです。
加納さんへの恋心を自覚した合田さんは、手術後の傷口が破れるくらい動転してましたが、私たちも考えて、悩んで、悶々としますよねえ。

>『この身体で生きて、この身体で書いていく』と。
>深いお言葉。
>清い覚悟というか、どうなろうとも自分であり続けるという
>生きる者として誰とて不安な未来を生き抜くおつもりなのでしょうね。

同意します。
煩悩だらけの私たちには、まだまだその境地には達しませんね。

>朝でも夜でも、●れ場、読みたいよー。
>でも、マークスの山でバッチリのBLありましたよね。
>合田と友人と書かなくていいから、
>ある男たちの褥、、とかいって書いて欲しい!

まだまだ先でしょうが、連載最後の最後でお願いしたいですね。
今までの<合田シリーズ>は、ラストを加納さんがもっていってしまうので、今回もぜひそのパターンで。

但し、死んじゃうのはイヤ! 

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