あるタカムラーの墓碑銘

高村薫さんの作品とキャラクターたちをとことん愛し、こよなく愛してくっちゃべります
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「新しい言葉で読む『罪と罰』」 手抜きレポート

2009-07-12 23:11:33 | 何となく、タカムラー気分(お知らせ含む)
中之島は今日も暑かった!
と、どこかのムード歌謡のタイトルをもじってみました。本当は「中の島ブルース」にすべきでしょうけど(笑)
木陰でも、ちっともひんやりしてないんだもん。でも、まだまだこんなもんじゃないぞ、大阪の夏は。

というわけで、光文社古典新訳文庫トークセッションin大阪 毎日文学フォーラム「新しい言葉で読む『罪と罰』」に行ってまいりました。



前日の土曜日に、最新号の「ダ・ヴィンチ」で、亀山郁夫さんの『罪と罰』の翻訳完成に関する記事が載っていたので、立ち読み。私の予習はそれだけでした(笑)

日曜日。午前中は「ハゲタカ」の映画鑑賞して(何度目かは訊かないで・笑)、昼食後、淀屋橋駅で降りて、大阪市中央公会堂へ向かいました。ここへ入るのは生まれて初めてです。

以下、簡単な覚え書き・・・というより思い出し書き。例によってメモしてませんし、後方の席だったので、ちょっと聞きづらいところがありました。発言内容は正確ではないかもですが、主旨が伝われば・・・。不完全なのはご了承下さい。思い出したら追加します。もしも間違いがありましたら、ご指摘お願いします。

定員800名ですが、約1400名の応募があったそうです。
毎日新聞社の方と光文社の方からの挨拶があった後、亀山さん、高村さんの順で入場、着席。

・高村さんと亀山さんの「初めて読んだ時」の違い
高村さん・・・「初めて『罪と罰』と読んだのは、中一の時。こんな人たちがいるんだ、こんな境遇の人たちがいるんだ、と客観していた」
亀山さん・・・「中二の夏休みに読んだ。ラスコーリニコフに同化してしまった。警察に捕まるんじゃないかと思った」

・『罪と罰』の翻訳について
高村さん・・・「米川正夫さんの翻訳されたもので読んだ。米川訳できゅっと詰まった息苦しい感じが、亀山さんの翻訳では風通しがいいように感じられた」

・『カラマーゾフの兄弟』の翻訳の発売が遅れた理由
亀山さん・・・「ちょうど第四巻を翻訳している頃、『照柿』(注・文庫版です)の解説を書いた沼野(充義)さんが、「高村薫は日本のドストエフスキーである」と書かれていた。『照柿』を読んで、高村さんの文体に衝撃を受けて、翻訳の校正をやり直した」

・「作家」の眼差し
高村さん・・・「(主観と客観について) 小説を書く時は「主観」はいれません。あくまで「傍観者」です」
「(お金について) 100万円持っている人と1万円持っている人とでは、生活やお金の使い方や価値観が違う」
「(『黄金を抱いて翔べ』について) 彼らは「生活に困って銀行強盗する」のではない。ならばなぜかと言えば、「大阪の夏の熱帯夜だから」としか言えない。これが「桜の季節」では成り立たない」
「(小説や登場人物について) 何年何月何日の、いつ、どこで、ということは必ず決めます。決めないと書けない。場所が人間を作る」

・ドストエフスキーが日本で読み継がれていることについて
高村さん・・・「日本人の培ってきた(「読む」ことについて)圧倒的な素朴さ」
亀山さん・・・「『カラマーゾフの兄弟』の翻訳が出た頃に、「ドストエフスキーの役割は終わったのではないか」と言う人がいたが、それは違うと思う」


その他、ドストエフスキーの構想について、また、地下鉄サリン事件や9.11のことなど、『太陽を曳く馬』にもかかわることについてもお話しされていました(ネタバレになりそうなので、挙げません)
私の頭ではちょっと整理不可。手抜きなので、これくらいでご勘弁下さい(苦笑)


さてタカムラーとしては、これだけはツッコミ入れねば気がすまん。

『照柿』は 「てるがき」でなく 「てりがき」よ!

亀山さんもコーディネーターの重里徹也さんも「てるがき」「てるがき」って発音するんだもん・・・シクシクシク。


トークセッションが終わった後、アンケートを書いて提出。
亀山さんに「宝塚歌劇団」からのお花が届けられておりました。昨年末から今年にかけて、亀山さんの翻訳の『カラマーゾフの兄弟』を雪組で上演したからでしょうね。

上記の写真を撮影していたら、高村さんが関係者さんたちにご挨拶しているお姿が見えました(写ってないけど写真の左側でした)。本当に90度の角度で深々とお辞儀されているんですよ。
その後ファンの方につかまり、撮影を(いいな~!)

そうしたら亀山さんがいらして、「高村さん! ご一緒に写真撮りましょう!」と再び中へ戻られて、タカラヅカからのお花と一緒に撮影されたのかな・・・?(よく見えんかった)

表に出られると、また別のファンの方と撮影。「東京から夜行で来た」と聞かされて、高村さん「えーっ!」と驚愕されてました。

私? そんなもう、高村さんと撮影だなんて、とてもとても。そんな度胸も勇気もありません。好きすぎて近寄りがたい気持ちって、ありますでしょ? 

それから高村さんはマネージャーさんたちとタクシーに乗って帰られました。お疲れ様でした。

最後に、亀山さんの名言(あるいは迷言)でこの手抜きレポートを締めくくりましょう。(主旨が伝わるといいですが・・・)

(前段階でドストエフスキーの影響を受けた作家として、村上春樹さんについてちょっと話があった後)
「村上さんの「女性」は、村上作品のための典型的な「女性」。
高村さんの男性は、本当に「男性」としてよく書かれているので、高村さんは男性ではないかと思いました(会場笑)
「作家ですから、男性になって書けます」と高村さんは仰ってました。
高村さんは「男性」になって書けますが、村上さんは「女性」にはなれない」

よく言った!! 何かもう、すーっと溜飲が下がりましたわ。ありがとうございました。



5 コメント

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突然失礼します (東京から夜行で)
2009-07-15 13:26:59
はじめまして。こんにちは。
この講演会で、高村先生が亀山先生の問いの中で
「ドストエフスキーのキャラクターにたとえると自分は○○」
とおっしゃっておられましたね。そのときの○○がよく聞き取れず、
だれかブログなどに上げていないかと検索してこちらへたどりつきました。



そして……………すいません!!!
その、「東京から夜行で来た」のは私ですww
そう言った瞬間、高村先生が両手で私の右手を取ってくださり、
顔をのぞき込んで「ありがとう」と言ってくださりました。
涙が出るほどうれしかったです。

写真ですが……最初は友人と高村先生のツーショット予定だったのが、
たぶんマネージャーさんだと思うんですが、が、
「ごいっしょにどうぞ」と声をかけてくださり、
舞い上がった私はなぜか「私、友人、高村先生」という、
謎のスリーショットを仕上げてしまいました(涙)。
高村先生を囲めばいいものを(笑)。


亀山先生の、「頭の形は(他人とは)違うんだろうか」と、
真剣に高村先生を「観察」してしまってすいません、
というシーンもうれしくなりました。

初めてなのに長文、失礼いたしました。
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いらっしゃいませ! (からな)
2009-07-15 22:07:25
東京から夜行でさん、はじめまして。コメントありがとうございます。
(よろしければ正式(?)なハンドルネームを教えて下さいね)

東京からお疲れさまでした。大阪は暑かったでしょう。疲れは取れましたか?

>「ドストエフスキーのキャラクターにたとえると自分は○○」

ああー、これは私も聞き取れませんでした。
バラしますと、実は私は、あなたがたお二人とは一列違いで座っていたのです・・・。
高村さんが「ポルフィーリィ」のことを発言した時や、亀山さんが「『照柿』は恋愛小説」と発言した時のお二人の反応を見ておりました。
「あ、これはタカムラーさんだな」と。

>謎のスリーショット

そう、見ていた私も不思議に思ってました(苦笑) どうして高村先生を真ん中に撮影しなかったのかな、と。

>「頭の形は(他人とは)違うんだろうか」

ああ、そんな発言もされてましたね。すっかり忘れてました。
やっぱり延べ2時間半は長いです~(苦笑)

よろしければまたお越し下さいませ。ありがとうございました。

返信する
あわわわわわわ… (ゼロケイ)
2009-07-16 14:44:21
すいません、通りすがるつもりで適当な名前を…。
夜行バスで参加したものです、
以降、ややこしいので「ゼロケイ」でお願いします。

>一列違い
ああっ、私たちの挙動不審っぷりが…、
ほんとにすいません(涙)。

A4×3枚にメモとりながら聞いていたクセに、
肝心なところをがうろ覚え……。
27日の毎日夕刊を待つことにします。

あの後、友人と中之島周辺をタカムラービジョンで
散策したもので、おかげさまで昨日までに「黄金」文庫を
人生何度目かの再読読了、今は「神の火」ハードを、
これまた人生何度目かの再読中です。

こちらの再読日記も楽しく拝見させていただいております、
あ、ハゲタカ日記も(笑)。

また、ちょくちょく寄らせていただきます。
今回も長文失礼いたしました。
返信する
失礼致します。 (solla)
2009-07-16 20:58:30
こんちには。はじめまして。
上記ゼロケイのいうところの「友人」のsollaと申します。

先日の高村先生の講演会の様子がアップされているblogがあるよ!
と聞かされて飛んできたら、私たちの一つ後列の方の方でびっくりしました。
そんなにわかりやすくタカムラーでしたでしょうか?
先生の「ポルフィーリィが好きです」のコメントにすごく嬉しくなって、帰ってからマークスの山を読破してしまったくらい、あのコメントにテンションあげてしまいました(笑)

あと、私もサイン会の整理券の予約とれました。
もうしかしたら、当日また後列にいらっしゃる…なんてこともあるかもですね。

それではお邪魔いたしました。
返信する
まとめてお返事 (からな)
2009-07-16 23:24:34
ゼロケイさん、sollaさん、改めましてこんばんは。ご訪問とコメントありがとうございます。

>ほんとにすいません(涙)

>そんなにわかりやすくタカムラーでしたでしょうか?

そんな恐縮されなくても(苦笑)
どうも私たちの席の周辺が、『罪と罰』メインの方々ばかりのような気がしてたので、お二方は一服の清涼剤みたいなものでした、はい。

亀山さんが「高村さんは男性かと思った」の発言に、私の後方で「私もそう思ってた」と発言していたおばちゃんがおりましたからねー(苦笑)

余談ながら今回の直木賞のニュースで、未だに混乱している方々も多いみたいですね。

>中之島周辺をタカムラービジョンで散策

某銀行や某商事はご覧になりましたか? 川沿いですから湿度高くて大変だったでしょう。
冬は寒くて大変ですが(苦笑) あんなところで偵察の野宿をして、一夜明かした幸田さんやモモさんは丈夫ですよね~。

>「ポルフィーリィが好きです」のコメントにすごく嬉しくなって

私たちにとっては「ポルフィーリィ=ペコさん」ですもんね。林原を詰問するペコさんと合田さんの絶妙のコンビネーション、私は好きです。

>サイン会の整理券の予約とれました。

それはよかったですね♪ どれほどの人数が詰めかけるか分かりませんが、お会い出来たらいいですね。

どうもありがとうございました。よろしければ、またお越し下さいませ。

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