今日も仕事だと言うのに、夜更かししたせいで眠い・・・。なので、現時点では簡単に。明日時間があれば、加筆修正します。
本日は、第二章 のp183から、第三章 一九九五年--事件 p226まで読了。
犯行グループは日之出ビールとその社長に目をつける。グループ名は、<レディ・ジョーカー>に。
その理由が、まあ、何と言いましょうか・・・。ネタバレになるので詳しくは書けません。明日時間があれば(以下省略)
半田さんは、合田さんと再び出会うことに。その時に盗み見と盗み聞きした、合田さんの奏でるヴァイオリンの音色に、身も心も奪われてしまう。
そして事件の起こった夜の直前。ヴァイオリンを弾く合田さんの脳裏によぎる、義兄の影。義兄とはもちろん、加納祐介さんのこと。本文には、まだ名前が出てこないんですよねー。『マークスの山』(単行本)の表記では「加納:義兄=5:5」の割合なのに、『LJ』になると「加納:義兄=2:8」くらいになっている。しかも『LJ』の合田さんがらみだと「加納:義兄=1:9」は確実だ。
最後にタイトルに書ききれんかったが、東邦新聞社の遊軍長・根来史彰さん、初登場。『マークスの山』でもちょこっと出ているんだけど・・・別人みたいだ(苦笑)
圧巻は、スクープが入った時の新聞記者たちの描写の凄さ。臨場感がひしひしと感じられた。もちろん新聞社の現場を高村さんは取材なさっているからだが、それでもあれだけのものを描ききるなんて、さすがとしか言いようがない。だから某毎日新聞社の記者さんの中には、「あの記者は俺がモデルだ」と主張しているとか、いないとか。
***
★☆★本日の名文・名台詞 からなのセレクト★☆★
眠くてアップし損ねた分です。前日分は犯行グループばかり取り上げましたが、読んだ都合上、一人抜けてましたので、それを追加。
★《俺の引いたジョーカーが消えない限り、答えは変わらんと思う》
「ジョーカーというのは、レディのことか……」
《ああ。俺たち夫婦は千人の赤ん坊に一人か二人混じってるジョーカーを引いたんだ。ほかに言いようがあるか》) (『LJ』上巻p186)
★「レディ・ジョーカーというのは、どうだろう」
「どういう意味だ……」
「布川が先日、娘のことをジョーカーを引いたと言ったんだ。そのとき、ふと思いついた名前だ。異論はあるだろうが、人が望まないものをジョーカーと言うんなら、爺さんたちこそジョーカーだろう」 (『LJ』上巻p198)
★あいつは何者だ。突然目の前に現れ、大根を自転車のカゴに入れて、ヴァイオリンを弾きに行くと言って消えてしまったあいつは、まるで面を切って行くように、いきなり横っ面を張り飛ばしていくように、一瞬ほくそ笑むように、俺の前をかすめていきやがったのだ。 (『LJ』上巻p200)
★そうか。おれはいずれ、あの男に苦汁をなめさせることになるのか。あの顔が青ざめるのを見るのか。
よし。ついに<何か>が見つかったぞ、と半田は思った。警察という妄想の糧を自分で食い潰してなお余りある<何か>が、四年ぶりに顔を合わせた刑事一名だったというのは、予想もしなかった結果だったが、運命とはこういうものだろう。もはや一つ一つは意味をもたなくなっている憎悪や鬱屈の巨大な靄が、たった今自分を横切っていった一人の男に向かって急激に収斂し始める中、半田はこれまでにない生々しい気分を味わった。
警察にしろ企業にしろ、個々の顔がないものをいくら苦しめても、得るのは抽象的な自己満足だけだったが、苦しむ奴の顔が具体的に見えるというのは、何よりの御馳走だった。間もなく左遷された先の小さな所轄署の刑事部屋で、いかにも端正な優等生の男が一人、挫折と屈辱と敗北感にまみれてすすり泣くのだ。
(・・・略・・・) 半田は悶絶した。これだ。この俺が犯罪をやるのは、この感覚を味わいたいからなのだ、
と思った。 (『LJ』上巻p201)
ここの半田さん、むっちゃ好きや~
余談だが、私の持っている初版に読者はがきが挟み込まれていたのが、この見開き2ページの間だった。誰が挟んだのかは知らないが、『LJ』上巻中、前半の一番の山場に、よくもまあ・・・と感心、ため息。
本日は、第二章 のp183から、第三章 一九九五年--事件 p226まで読了。
犯行グループは日之出ビールとその社長に目をつける。グループ名は、<レディ・ジョーカー>に。
その理由が、まあ、何と言いましょうか・・・。ネタバレになるので詳しくは書けません。明日時間があれば(以下省略)
半田さんは、合田さんと再び出会うことに。その時に盗み見と盗み聞きした、合田さんの奏でるヴァイオリンの音色に、身も心も奪われてしまう。
そして事件の起こった夜の直前。ヴァイオリンを弾く合田さんの脳裏によぎる、義兄の影。義兄とはもちろん、加納祐介さんのこと。本文には、まだ名前が出てこないんですよねー。『マークスの山』(単行本)の表記では「加納:義兄=5:5」の割合なのに、『LJ』になると「加納:義兄=2:8」くらいになっている。しかも『LJ』の合田さんがらみだと「加納:義兄=1:9」は確実だ。
最後にタイトルに書ききれんかったが、東邦新聞社の遊軍長・根来史彰さん、初登場。『マークスの山』でもちょこっと出ているんだけど・・・別人みたいだ(苦笑)
圧巻は、スクープが入った時の新聞記者たちの描写の凄さ。臨場感がひしひしと感じられた。もちろん新聞社の現場を高村さんは取材なさっているからだが、それでもあれだけのものを描ききるなんて、さすがとしか言いようがない。だから某毎日新聞社の記者さんの中には、「あの記者は俺がモデルだ」と主張しているとか、いないとか。
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★☆★本日の名文・名台詞 からなのセレクト★☆★
眠くてアップし損ねた分です。前日分は犯行グループばかり取り上げましたが、読んだ都合上、一人抜けてましたので、それを追加。
★《俺の引いたジョーカーが消えない限り、答えは変わらんと思う》
「ジョーカーというのは、レディのことか……」
《ああ。俺たち夫婦は千人の赤ん坊に一人か二人混じってるジョーカーを引いたんだ。ほかに言いようがあるか》) (『LJ』上巻p186)
★「レディ・ジョーカーというのは、どうだろう」
「どういう意味だ……」
「布川が先日、娘のことをジョーカーを引いたと言ったんだ。そのとき、ふと思いついた名前だ。異論はあるだろうが、人が望まないものをジョーカーと言うんなら、爺さんたちこそジョーカーだろう」 (『LJ』上巻p198)
★あいつは何者だ。突然目の前に現れ、大根を自転車のカゴに入れて、ヴァイオリンを弾きに行くと言って消えてしまったあいつは、まるで面を切って行くように、いきなり横っ面を張り飛ばしていくように、一瞬ほくそ笑むように、俺の前をかすめていきやがったのだ。 (『LJ』上巻p200)
★そうか。おれはいずれ、あの男に苦汁をなめさせることになるのか。あの顔が青ざめるのを見るのか。
よし。ついに<何か>が見つかったぞ、と半田は思った。警察という妄想の糧を自分で食い潰してなお余りある<何か>が、四年ぶりに顔を合わせた刑事一名だったというのは、予想もしなかった結果だったが、運命とはこういうものだろう。もはや一つ一つは意味をもたなくなっている憎悪や鬱屈の巨大な靄が、たった今自分を横切っていった一人の男に向かって急激に収斂し始める中、半田はこれまでにない生々しい気分を味わった。
警察にしろ企業にしろ、個々の顔がないものをいくら苦しめても、得るのは抽象的な自己満足だけだったが、苦しむ奴の顔が具体的に見えるというのは、何よりの御馳走だった。間もなく左遷された先の小さな所轄署の刑事部屋で、いかにも端正な優等生の男が一人、挫折と屈辱と敗北感にまみれてすすり泣くのだ。
(・・・略・・・) 半田は悶絶した。これだ。この俺が犯罪をやるのは、この感覚を味わいたいからなのだ、
と思った。 (『LJ』上巻p201)
ここの半田さん、むっちゃ好きや~

余談だが、私の持っている初版に読者はがきが挟み込まれていたのが、この見開き2ページの間だった。誰が挟んだのかは知らないが、『LJ』上巻中、前半の一番の山場に、よくもまあ・・・と感心、ため息。