さわやか易

人生も歴史もドラマとして描いております。易の法則とともに考えると現代がかかえる難問題の解決法が見えてきます。(猶興)

(7)栄華を極めたソロモン

2019-12-16 | ユダヤ人の旅

賢王ソロモンの裁き

 聖書のマタイ伝に「栄華を極めたソロモンでさえ、この花の一つほどにも着飾ってはいなかった。」 というイエスの言葉がある。今回はそのソロモンの物語である。王ダビデが家臣の妻バト・シェバと不義の関係を結び、神の怒りに触れ最初の子は早逝した。その後、2番目の子として生まれたのがソロモンである。ダビデの王位継承は異母兄が名乗りをあげ混乱したが、母バト・シェバがダビデに誓わせたこともあり、ソロモンが継承した。ソロモンは王位に着いたとき神に祈りを捧げると、神から「欲しいものは何か?」との声を聴き、「王としての知恵を」と答えた。その言葉を神は喜び、ソロモンに知恵を与えた。

 賢王の逸話としてこんな話が残されている。ある日、王の前に互いに自分の子だと争う二人の女が赤子とともに連れて来られる。ソロモンは二人の話を聞いた上で、「二人とも自分の子だと主張するのだな。私にも判断がつかないから、この赤子を二つに切り裂き、二人で分けたらどうだ。」そう言って家来に剣を運ばせてきた。すると、本当の母は「王様、どうかお許しください。この者に赤子を与えても良いので、どうかお助けください。」と泣いてすがった。偽母は(しめた、これで自分のものだ。)と平然としていた。二人を観察していたソロモンは本当の母親に赤子を抱かせ、偽母には嘘をついた罪でむち打ちの刑とした。

 

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エルサレム神殿

 ソロモンは当時の超大国エジプトとは王(ファラオ)の王女を妻に迎え、安全保障を確立する。軍事面、外交面では、近隣王国と条約をかわし積極的な政略結婚によってイスラエルを強国に育て上げた。大規模な土木工事を行い国内各地の都市も強化した。要塞化された補給基地を建て、隊商路を整備し、外国との貿易を盛んにした。国内の経済を発展させ、統治システムとしての官僚制度を確立して国内制度の整備を行った。イスラエル王国は地中海からユーフラテス川にまで及び、エジプト帝国やバビロン帝国にも匹敵する大国にもなっている。ソロモンは唯一絶対の神エホバを永遠に称えるため、エルサレムに壮大な神殿を建設した。

旧約聖書の中でも「ヨブ記」「箴言」「伝道の書」「詩編」は知恵文学とされ、メソポタミア、エジプト、ギリシャなどの古代オリエント世界における国際的な文学作品と言われている。ソロモンはこの大部分を作ったり編集したりしているとも言われる。神から知恵を授かったとされるソロモンは動物や鳥たち、植物とも会話が出来るという超能力も発揮した。神の御使いをいつでも呼べるとされ、天子や悪魔の力も借りることも出来たとされる。ソロモンの博学と神秘的なパワーは広く国内外にとどろき渡った。

 

ソロモンとシバの女王

 南アラビアのシバ(現在のイエメン)に才色兼備を誇る女王がいた。まだ20歳だったが、ソロモン王の噂を聞き一度会ってその賢者ぶりを拝見したいものと思っていた。内心自分より頭の良い者はいないと自信を持っていた。「私が行って確かめてやるわ。」 シバの女王は多くの香料、金銀、宝石をラクダに積んで大勢の随員を連れてエルサレムを訪問した。女王は賢者の噂をテストしようと、数々の難問を用意して来た。だが、ソロモンは立て板に水のようにその難問に答えた。さすがの女王も感嘆、舌を巻いた。また宮殿の壮麗さ、おもてなしの料理、家来たちの礼儀作法、全てに魅了されてしまった。女王は敬服しソロモンが仕える神を称え、帰っていった。

シバの女王にはもう一つエチオピアでの伝説がある。話は、すっかりイスラエル王国に魅せられた女王は滞在半年に及んだ。ある晩、ソロモン王は「是非、私の子を産んでほしい。」と言い寄る。「いけません王様、無理やりベッドには入らないと約束して下さい。」「解りました。約束します。では、私と賭けをしましょう。女王、この寝室のものを自分の物にはしないと約束して下さい。もし破ったら私の言うことを聞いて下さい。」「結構です。」そう言って女王は横になった。夜半に喉の渇きを覚えた女王は、思わず水差しの水を飲んでしまった。王は「私の勝ちですね。」「私の負けです。王様にはかないません。」そして一夜を共に過ごし女王は身ごもった。その男の子が初代エチオピア王メネリク1世だという話である。

 ~~さわやか易の見方~~

「沢天夬」の卦。夬(かい)は決壊、決裂の決と同意。大河の水が増水し、今正に決壊しようとする状態を想像させる。下から5番目までが陽爻であり、陽のエネルギーが満ち満ちて、ついに爆発寸前なのだ。経済が繁栄に繁栄し、崩壊寸前。バブルの崩壊前兆でもある。

 ダビデ王の時代が40年、ソロモン王の時代が40年。ユダヤ人の国イスラエルが最も輝いた時代である。ユダヤ人たちは今もその時代を誇りに生きている。BC1000年前、今から3000年前の時代である。その後、イスラエル王国は南北二つに分裂する。それからは試練と忍耐の時代が続く。それでもユダヤ人たちは神への信仰を捨てなかった。どんな目に遭っても家族を第一にするユダヤ人の生き方は変わっていない。今の日本はどうだろうか。バブルの崩壊があり、試練の時代が続いている。現在の家族問題、親が子を虐待するとは何を意味しているのだろうか。日本人の本当の試練はこれからではないだろうか。

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