さわやか易

人生も歴史もドラマとして描いております。易の法則とともに考えると現代がかかえる難問題の解決法が見えてきます。(猶興)

「水天需」(爻辞)

2024-09-11 | さわやか易・講座

「初九、郊(こう)に需(ま)つ。恒を用ふるに利し。咎无し。」

初九は未だ身分も低く、要職にはついていない。険難からは遠ざかっている立場である。そういう者は平常心を忘れずにいることである。そうすれば、何の咎めはないだろう。孔子の解説によれば、「難を犯して行かざるなり。」とある。わざわざ、険難の中に入っていこうとしないことだ。

「九二、沙(すな)に需つ。小しく言有り。終に吉。」

九二は武士の立場で中を得た陽爻である。険難(水)には少し近いが、じっと需つべきである。少し非難されることはあっても、事なきを得るだろう。「沙(すな)に需つ。」とは河の砂地という意味だが、現場にいるという意味である。

「九三、泥に需つ。寇の至るを致す。」

九三は「泥に需つ。」険難(水)の間近にいる。位置は危険な位で陽爻であるので、つい行動に出てしまう。そこで、「寇の至るを致す。」禍を招くことになった。自ら招いたものである。

「六四、血に需つ。穴より出づ。」

六四は危険な位であるが、陰爻としての位置にある。「血に需つ。穴より出づ。」それ故に険難の最中にはあるが、幸運にも危険から脱出出来た。初九に応じているし、九五とは比している。そのお陰でもある。

「九五、酒食(しゅし)に需つ。貞にして吉。」

この卦の主爻である。卦辞に「需は孚有り。光に亨る。貞にして吉。大川を渉るに利し。」とあったが、この九五のことである。険難の中にあるが、陽爻として位正しく、中を得ている。「酒食(しゅし)に需つ。」険難の中にいるにしては、意外な言葉ではあるが、この九五は周りの仲間を信じて、心を落ち着かせ、ゆったりと需つことにしたのである。そこで、酒を飲み、食べ物を食べながら、毅然としている。それが「貞にして吉。」となる。

「上六、穴に入(い)る。速(まね)かざるの客三人来る有り。之を敬すれば終に吉。」

上六は坎(水)の卦の上爻。「穴に入(い)る。」穴は艱難のこと。穴の中に陥っている。「速(まね)かざるの客三人来る有り。」そこに、上六を救い出そうと、3人の客がやって来る。3人の客とは、初九、九二、九三のことである。特に、九三は陽爻どうしで正応ではないが応じている。その3人の客を敬するならば、救われるだろう。「之を敬すれば終に吉。」である。上六は穴の中に窮まっていた。易には、「窮まれば則ち変ず。変ずれば則ち通ず。」(繋辞伝)

全体を通して、この「水天需」が教えることは、待つことの大切さ。時期を待つことが出来ず、軽挙妄動して失敗しないようにすることである。

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