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情報化社会におけるメディアの役割

2005年02月28日 | コ ラ ム
フジ買収の可能性に言及 ライブドア堀江社長 (共同通信) - goo ニュース

 ライブドアによるニッポン放送株購入による支配権の行方をめぐっては、マネーゲーム的な側面ばかりが注目されているように思いますが、先ほどまで放送されていた朝日ニューススター(CS)の「放送の『公共性』とは?」と題して立教大教授の服部孝章氏をゲストに招いて行われた番組は、非常に勉強になりました。

 昨日、当ブログで問題提起したとおりこの問題は一般企業の買収をめぐって行われている訳ではなく、放送メディアは国民の知る権利を保証するパブリックな主体である放送メディアをめぐっての問題であることから、メディアそのもののありようについてもっとみんなが注目していくべきだと思います。また公共があって市民があるのではなく、市民が公共を自らつくっていくという基本があるということから考えても、放送メディアを自分たちの問題として真剣に考える必要があるのではないでしょうか。
 NHKの番組改編問題でもそうでしたが、国民の知る権利を保障するべき主体自身が、国民の知る権利を保障していない(運営に関する情報公開や説明責任が果たされているとは思えない)し、フジテレビが何を死守しようとしているかという中に、放送のあるべき姿が語られていない、また同時にライブドアが考えるメディアのありようについても、手法としてのインターネット活用は分かるとしても、私たちが知りたい新しいメディアのありようやその役割についての情報があまりにも少なすぎるように思います。これでは、これまで日本を支えてきた層(経営者というよりも、日本型社会主義の中で既得権益を受ける官僚的な感じの人たち)と時代の申し子(鬼っ子?)とでもいうような部分のどちらに軍配が上がるのかということにだけ流されるのも無理ありません。

 放送に関わる人が、その公共性とは何かということや、現在の放送メディアをめぐる課題とは何か、また今後のありようについてもっと語る言葉を持つべきだし、それが無いのは非常に怖い感じもします。 特に、ニッポン放送の亀ちゃん(亀渕昭信社長)が「企業価値の維持・向上が目的だ。フジサンケイグループから離脱を余儀なくされた場合には、企業価値に甚大な悪影響がある」「フジサンケイグループの一員であることが企業価値、株主価値を高めるベストの方法だ」とする発表は、ちょっと怖い感じがしました。(メガメディアのように垂直・水平統合も必要だとする考えもありますが・・・)公共性を保証するためには、少なくとも組織としての独立性を保つ必要があるし、これって普通の商取引だと独占禁止法になるんじゃないの?という感じです。独占ではなく多様性や連携こそが必要であり、それを拒絶する体質から本来の主役である国民との関係性は期待できないように思います。

 とにかく、情報化社会においてはメディアの社会的役割は非常に大きいものですから、「公共性」「公益性」を顧みずに一人歩きしてほしくありません。今テレビメディアは、コマーシャル収入だけに頼ることは難しい時代になってきている中で、ITメディアとの融合も含めた戦略を考えていくことが必要ですし、国や企業に支えられたメディアではなく、市民に支えられたメディアを是非とも実現していただきたいと思います。
▲放送法▲

株式会社とは?

2005年02月27日 | 学習ノート
 ライブドアのニッポン放送株取得問題が注目されています。正直、これまで株式制度のことをあまり考えたことが無かった(というか、あまり必要では無かった)のですが、基本的なことを知っておかないと時代に乗り遅れそうなので、自分なりに整理してみました。
 

【会社は誰のものか?】

 株式会社は、基本的には株主のものなんでしょうね。(持ち株比率によって、株主総会の議決権の割合などが違う。)

 ところで、その他の法人は誰のものなんでしうか?
 例えば、国や行政、政党、特定非営利活動法人、任意のNPO、NHK、学校などです。これは、またの機会に考えていきたいと思います。

 
【責任は誰がどのように取るのか?】

 市場社会においては、基本的には出資者が経営権を持っていると思いますが、実際の運営はその筋のプロフェッショナルな人たちが行わなければ成功しないので、経営権を持っている人がそういうプロを選任して運営をまかせるということになります。日産のゴーン社長みたいな立場の人たちかな。でも、経営に失敗したりルールに反したことをやると、経営権を持っている人たちから解任されたり訴訟されたりするので、とても厳しい立場のようです。

 株主の出資は、すべて設備資金や運転資金に投下されます。このことから、株は返済が必要な債権では無く、その元本が保証されているわけではないもので、逆に言うと株主はその出資の範囲内で責任を負だけの有限責任になります。例えば、多額の負債を抱え倒産した場合は、株主は最悪その出資金額の全てが回収不能となるだけであり、債権者は株主からその負債を回収することはできません。


【株式会社の問題点は?】

 西武の堤氏によるグループ支配の問題を見ていても、運営に関する問題は色々あるみたいですね。
 例えば、経営権を持った人が変わると大きな問題が生まれる危険性があるので、株式を譲渡するには取締役会の承認を得なければならないとすることもできるそうです。また、小さな会社は外部から資金を調達する必要が無いため株式を公開しないものが多く、そうした会社のことを「同族会社」とも言われています。
 株は、法人でも保有することができるので、法人が相互に持ち寄って安定的に運営することも多いようです。

 ところで、会社の意思決定は経営権を持っている株主による総会で行われるのですが、ここにも色々な問題があります。
 その一つが総会屋問題。
 総会屋とは、株主として株主総会に出席資格を有することを利用し、総会の議事進行に関し、会社が金をくれれば会社に協力して、逆に会社が金をくれなければ会社を攻撃するという行動に出ることによって会社から株主配当金以外の金員を収得している者をいうそうです。
 NPOでも、個人の経済的利益とは言えないけれども、個人的情念で総会の本来目的をぶち壊してしまう総会屋的な人の対応に困ることがありますが、みなさんの会はどうでしょうか?

 総会屋が暗躍する背景として、日本独特の根回し主義やサラリーマン社長・重役による事なかれ主義体質、さらには意識の相違や利害関係の異なる不特定多数人の人たちが集まる場であるため本来的に意見がまとめにくいという理由があるみたいです。

 今日はこれから図書館に行きますので、ここまでにしておきます。

すまいる

2005年02月26日 | コ ラ ム
 本日の京都新聞に、「地域通貨『すまいる』経済効果600万円」との見出しの記事が掲載されていました。

 「すまいる」は、NPO法人エコロジカル ヤス ドットコム が発行している地域通貨です。
 しくみは、地域の環境保全のために1000円を寄付すると1100円相当分のすまいる券が交付され、地域の加盟店で使用できるというもの。

 詳しい情報は、▲すまいる市▲ を見れば分かります。

(読書)公益とは何か

2005年02月25日 | 読書感想
 今、世間で最も注目されている? ライブドアのニッポン放送買収問題をめぐって、「メディアの公共性という観点から疑問だ」とする自民党の森喜朗元首相が新聞に出ていました。それとは逆に「自分達の利益のためにグループ支配の構造を続けておきながら、放送の公共性を持ち出し、視聴者や国民のことを考えた番組づくりが行われていない」とするインタビュー記事も記載されています。
 NHK放送の教育テレビの「シリーズ 戦争をどう裁く―第2回 問われる戦時性暴力」の改変問題では、毎日新聞の「記者の目」で、「実はくせもの 公平・公正 錦の御旗に政治的色彩」(2月3日)とのタイトルで書いているように、公共性という形式の元で、実際には一部の人たちの意向が強く働いていたりすることも実際にはあるようです。
 ちなみにNHKは国が設立した「公共法人」という分類になるのですが、地方自治体などが設立する財団法人や社団法人は「公益法人」と呼ばれています。また、私たちNPO法人も民法以外の特別法に基づいて設立される公益を目的とする法人として位置づけられています。 

 ここでいう「公共」とか「公益」とはいったいどういう意味なのでしょうか。
 社会・経済構造の大きな変化の中で求められる新しい「パブリック」の概念や実践のありようを考えるため、「公益とは何か」(著者:小松隆二)と題した本を読んでみました。
 
 まず本書は冒頭で、「小学修身訓 高等科用 巻之三」(1892年)に掲載されている公益に関する教えの引用をしています。

「公益とは、国の為め、世の為めに、幸福を謀りて、己れ一人の為めにせざるをいふなり。人たるものは、忠孝の道を守り、君父に仕ふべき事勿論なれども、又進んでは公衆の為めに、其の便益を増さん事を思ふべし。家計の少しく余裕あるに至らば、則ち公衆の便利を謀るべし。ただ私欲に耽りて、己れが耳目・口腹を楽しましむるは、志士仁人の行ひにあらず。公益の事業甚だ広し。国家の為めに財を損て、力を尽すは公益なり。倉を開きて、窮民を救ふも公益なり。荒地を開き、水利を起すも公益なり。」

 次に、「小学修身訓 高等科用 巻之四」の次の文章も紹介しています。

 「会を立て、社を結び、公益を図らんとせば、ひろく衆人の言を聞き、我が徳器大にして、衆人と共に心力を戮すべし/ 世には、公益を名として、ひそかに私利を営むものあり。遂に公利・公益を害して、我が身を破るに至る。返す返すも、是れらの行ひあるべからず。」
 
 この文面を見て、随分昔の時代のものなのに公益ということの本質的ものに迫っているなぁと正直関心しました。しかし、この終身訓は教育勅語に基づき作成されたものであり、国家による価値観の統制や天皇への忠君愛国、国体の精華という神話の強制などとセットになっているものなので、非常に評価しづらいものであでることも確かです。(言葉と実際の目的とは違うということを常に考えておかないと、今の世の中で真実を見抜くことはできません。)
 同じように、日本では結いという助け合いの良き文化があるのですが、江戸時代には幕府が5人組という隣保組織をつくって町人・百姓を統制するために使いました。また戦前は町内会を戦争への国家動員の道具として利用するなど、儒教の良い意味での道徳・精神性、公共的な意識や組織を政治的に利用するという歴史があるので、冒頭の引用を読んで筆者の真意を理解するのに苦労しました。

 ところで、本書では公益のキーワードとして、〈ニーズ〉〈サービス〉〈ソーシャル〉の三点を挙げています。

 ニーズという点に関しては、かつて極貧など極度に劣悪な状況にあるものを救済するということからはじまり、対等の関係において協力し合うという形態に変わったとしています。また、上からの救済を必要とするニーズや、見返りなどを求めない一方的な貢献の役割も重要ではありますが、現在の公益活動の軸は「参加・協力・連携」であると記述されています。
 この考え方には、大いに共感を覚えます。たとえば、ボランティアの人たちの考え方も色々ありますが、「博愛」「奉仕」だけでは無いことを理解していない方もいらっしゃるので、そういう方とは一緒に活動しにくい分野もありますよね。

 本書を読んで、「世のため、人のため」という志は公益の出発点ではありますが、「そのために何をどのように行う?」ということを今の時代背景や社会状況を掌握しながら実践しなければ本当の意味でのパブリックは見えないのだと思いました。

 * * * * * *

 現在の話題になっているメディア問題も、公共性一般を論じても意味がありません。

 今日の京都新聞に井上ひさし氏の次のコメントが載っていました。

 「かつては各局とも、優れた娯楽性や話題性などを番組づくりで競い合っていた。ところが今は当たった他局の番組のまねが大すぎ、内容も幼稚。衰えかかったメディアを『新しく使えるぜ』と殴り込んだライブドアに、フジテレビ側はテレビをどのように新しく使えるのか議論しながら攻防してほしい」

 本当、そうですよね。結局、「公共」や「公益」を言葉だけで言ってみたり、逆にそれを表面的に信用するというのでは駄目なんです。実際の現状や課題などを広く議論し、本来のありようを探求し実践していく姿勢こそが必要なのではないでしょうか。


経済界の構造改革

2005年02月24日 | コ ラ ム
 昨年から始まったプロ野球界の再編で、鉄道やデパート業界(近鉄、ダイエー)のチームがIT関連(ソフトバンク、楽天)に変わったり、その途中で巨人軍の渡辺オーナーが引責辞任したりしました。また、ダイエー中内功氏の失脚に続いて、「神様が普通の人になった」と西武関係者がニースで語った堤義明氏は、価証券報告書虚偽記載問題で東京地検特捜部の取り調べに対して違法性を認め、刑事事件へと発展するのも時間の問題となっているようです
 さらに、最近のニッポン放送を巡る株問題を通じて、産業構造や経営手法、競争ルールなどの再編がものすごい勢いで起こっているのが素人の私たちでも手に取るように分かる時代になりました。
 しかし、こうした経済構造の大きな転換期の中で、制度の整備や政治が全く機能していないのではないでしょうか・・・・。

現場はどう変わる?

2005年02月23日 | コ ラ ム
 京都新聞の朝刊「凡語」に、TBSテレビの「ヤンキー母校に帰る」というドラマになって話題を集めた北星学園余市高等学校の義家弘介教諭が教壇を去ることに関する論評が掲載されていました。 ▲公式サイト▲  ▲ブログ▲ 
 退職の理由は、講演や執筆活動に対する同僚や保護者からの批判が大きな要因とのこと。またNHKソフトウェアのDVD・ビデオ「夜回り先生・水谷修のメッセージ~いいもんだよ、生きるって」の水谷氏も同様の理由で「無念です」との言葉を残して学校を去らざるを得なくなったそうです。▲公式サイト▲
 
 教育改革が求められている今、「やっかみで、教職に情熱をかける先生を潰してはならない」との論評に共感するのは多くの方も同じ気持ちではないでしょうか。(かつて地域通貨おうみ委員会の活動でも、草津コミュニティ支援センターでスタートした当時から全国からの問い合わせや視察・講演などが殺到し、周りから迷惑がられたためセンターでは活動できなくなった状況と同じような感じがします。)
  
 また、朝日新聞の記事で「『署長起訴』再び挑む」と題された記事も非常に気になりました。
 これは、明石歩道橋事故で当時の明石警察署長が業務上過失致死傷で書類送検されながら不起訴になったことに対して、遺族が神戸検察審査会に申し立てて「起訴相当」の議決を得ると共に、神戸地裁の判決でも「警察が十分な警備体制を構築できなかった責任のかなりの部分が元署長の責任にある」との異例の指摘があるにも関わらず、全く裁かれていないことに対する再審査請求をしたというものです。 責任を負うべきTOPが裁かれなければ警察の体質も変わらないし、検察も法を守るための現場のはずが、その責任を果たすものにはなっていないということがこの記事で読み取れます。

 ところで、私は大方の見方と違ってライブドアのニッポン放送株取得で、今のマスメディアの体質やありようが大きく変わることに期待しています。
 放送法では「~放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること。」(第1条) などとされていますが、今の新聞・放送などが本当にその機能を果たしていると言えるのでしょうか。 ▲放送法▲ 特に産経新聞は駅売り100円という手軽さがある反面、その独特の「家父長主義の頑固おやじ風論調」は経営手法や今回の一般株主不在の対応を見ていてもちょっとどうかなと思うところもありますが、みなさんはどのように感じていらっしゃいますか? 

当ブログの活用方法

2005年02月22日 | 活動日記
 今日は仕事が終わってから、知り合いの方がパソコンを購入されたので設定のお手伝いをしました。
 無線LANによるブロードバンドを導入したいとの希望だったのですが、それまでISDN回線で電話機もデジタル回線専用機だったため、事前にアナログ用の電話機を購入しアナログ回線への変更の手続きもしておきました。
 つい最近まではインターネットをやるというとISDNだったのに、IT技術は恐ろしい程早く進んでいますね。また新しい電話機を交換しないといけないというのも、理不尽な気もします。家族の方は、きっと「余計なことをして」と思っているだろうな。

 ところで、数日前から当ブログのデザインを改良してきましたが、先ほど若干手直ししました。
 これで、おうみ委員会のHPとの連続性が保たれ随分見やすくなったと思います。  
 
 【当ブログの見方や使い方について】
左側のメニューは下記のとおり構成されています。

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《記事の内容》
 タイトルの右側は、記事の分類と投稿日時が掲載されています。
 記事は基本的には毎日書くことにしていますが、都合により勝手にお休みする場合もありますのでご了承ください。
 なお、記事はその日の気分によって「コラム」「活動日記」「読書感想」などに分類していづれかを書きます。

 文中の▲--▲は、関係HP等へのリンクになっており、基本的には別ページに表示しますので見終わったら閉じてください。画像は、同一ページでの拡大表示になりますので、開けた後はブラウザの「戻る」ボタンで戻ってください。×で閉じると、元ブログも消えてしまいます。

 最後の右下の部分にコメント(0)とあるクリックをおすと、意見等の投稿ができますので、どしどし書き込んでください。(ご意見・質問については、できるだけお答えするようにしますが、こればっかりにかまっていられないので、回答できない場合もあります。また、不適切なものは削除することもあるかもしれませんので、あらかじめご了承ください。)

 Trackbackの使い方は、Googleなどで詳しくは調べてみてください。(実は私もよく分からないので)


 明日は、読書感想として「公益とは何か」(小松隆二著)を書こうかなぁと思っていますが、もしかして気が変わるかも?
 

マニフェストの背景

2005年02月21日 | マニフェスト
 本日(2月21日)の日本経済新聞に「『地方』という言葉と決別」と題したコラムが掲載されています。このコラムでは、筆者の田勢氏が「ローカル・マニフェスト推進首長連盟」 ▲HPはこちら▲ の結成大会に出席した際、将来の首相候補かと思われていた北川正恭氏が知事選に出た時に非常に驚き、更に知事を二期で辞めたことに対してその意味が今までの固定概念では推し量ることができなかったけれども、ローカル・マニフェスト活動を実際に見てその真意が理解できたと語られています。
 まちづくり本舗でも、昨年3月に行われた草津市長選挙を契機にローカル・マニフェストに関する取り組みを展開してきました。 ・・・というよりも取り組もうとしてきましたが、その意義を一般的に理解されるになるには、まだまだ時間がかかりそうです。
 そこで、12月19日に開催した「まちづくりトーク」でのローカル・マニフェストに関する内容を活用しつつ、私自身が勉強しながらこのコーナーで少しずつ解説していきたいと思います。
 今回は、その第1回目として何故マニフェストの必要性が問われるようになってきたかについての時代背景や政策の意思決定に関する課題について考えてみたいと思います。
 
 1月5日の日本経済新聞「経済教室」コーナーに掲載された「統治機構を再構築」と題した本間正明氏(大阪大学教授)の小論文では、公共的意思決定システムの再構築が必要であるとの観点から、現状や改革の必要性を次のように解説しています。

(以下、論文の主旨を私なりに噛み砕いたもの)
  経済の成長が続きバブル経済が崩壊するまでは、政府は「分配」をどのようにするのかによって動いてきた。国会議員は派閥や族、地域・職域を代表するものとして私益・共益の代理人の役割を果たし、各省庁の官僚はそうしたものに公益という要素をブレンドして積み上げ、財務省が査定を通じて総合調整をする。一方、内閣と与党は二元的に並立し各省庁の官僚は分権的で縦割りの中で大きな裁量権と自立性を保ってきた。
 そうした状況において、政策の意思決定において各議員・官僚の自由度の高い「二元」「分散」「分権型」体制はそのあいまいさが逆に個別利益の反映させるシステムとして機能し、今まで自民党が政権の座に付き続ける背景ともなっている。

 こうしたシステムは、経済が右肩上がりで成長を続ける間は問題が顕在化しにくいが、経済・社会のグローバル化、成長率の低下や少子高齢化、国の財政破綻問題、パブリックな価値の多様化、地球環境問題、テロ・災害・リスクマネジメントなどへの早急な対応が求まられ、大きな構造改革が必要とされている現在では機能不全となっている。これが、失われた10年(15年)の背景にある。

 そこで、政策の意思決定をスムーズに行うと同時に意思決定したことが的確に実施されるようにシステムへと転換する必要がある。橋本行政改革の柱であった1府12省庁制や経済・財政諮問会議などはそうした観点から行われたものであるが問題が多い。今後、内閣府の役割や機能を強化、中長期的展望にリンクした政策決定、諮問会議の役割強化(知恵袋、分析評価、意思決定、説明責任と情報公開)を図る必要がある。



 このように、権限の集中と強化が必要とされている一方で、その権限を主権者である国民がコントロールするしくみを作り上げていくことが不可欠となっています。そこで政策の基本となる指針を事前に承認し、またその活動を監視し評価するしくみやプロセスにおいて、マニフェストが非常に重要なものになっているといえるのではないでしょうか。
 同時に、こうしたプロセスへの参加を通じて問題の本質を見極め、また行動できる主権者が形成され、それが健全な政治を支える基盤となるのです。     (つづく)



攻略本を完全公開しました!

2005年02月18日 | 活動日記


 おうみ委員会が発行している冊子「地域通貨(おうみ)とNPOの攻略本」の全文を、PDFファイルにて公開いたしましたのでご活用ください。
 
 ▲公開HPはこちら▲

 内容についてのご意見は、この記事へのコメント又は e-メール(ohmi@kaikaku21.com)にて山本までお寄せください

手段の目的化

2005年02月17日 | コ ラ ム
 最近、ITについて色々と調べています。
 ITは今の時代には非常に大切な要素であり社会的に書くことができない存在となっていることから、蒸気機関の発明による軽工業、石油・電力といったエネルギー源を利用した重化学工業の時代に次ぐ第三次産業革命とも呼ばれています。ITはグローバル社会において不可欠なツールではありますが、最終目的ではありません。ITを使ってどのように経済や組織の改革や人と人との関係が変わっていくのかという視点で見ていくことが必要です。行政におけるIT化についても、それによって事務の効率化や住民サービスの向上、情報公開とアカウンタビリティ、市民参加やデジタルデモクラシーを促進していくのかが問われているのであり、その視点を常に意識しておかないといくらお金をかけてすばらしいシステムを構築しても効果は上がらないし税金の無駄になってしまいます。
 同じように、地域通貨は新しいコミュニティガバナンスの道具であり、人と人、人と組織をつなぐ道具として有効に活用できるのではないかと期待されているのであって、地域通貨そのものを目的化しても良い結果は生まれません。

 自分たちの暮らしているコミュニティに、今どんな課題があるのか? 
 地域経営・自治体経営で求められているものは何か?
 その問題解決のためにどのような協働関係が必要なのか? 
 実際にどのようなニーズがあり、それをマネジメントするしくみやプロセスとはどのようなものか?
 といったような問題設定の中で、本当に効果的な手段としての地域通貨の形が見えてくるのではないでしょうか。
 

(読書) eガバナンス 

2005年02月17日 | 読書感想
副題:「戦略政府+革新企業」による日本再生

●著 者:白井 均/古橋 智保/城野 敬子/石井 恭子/高畑 和弥
●出版社:日刊工業新聞社

本書のアウトラインは以下のとおり

第1部 問い直されるガバナンスの意義

 冷戦の終結によって、モノ・カネが自由に移動するようになると共に、IT革命や市場のグローバル化が進展した。 
 この変化の中で、社会経済システムの再構築が求められている。そこで、新たな環境に対応した様々な経済主体のガバナンスのあり方について問題提起することが本書の主眼。

 グローバリゼーションは、政治(国家)・経済・文化の再編を伴う複雑なプロセスであり、eガバナンスはITを単なる効率化の手段としてではなく、政府・公共部門、企業、市民など多様な経済主体が参画し、相互に緊密な関係を築くための基盤としての役割を果たすことに意義がある。
 
コーポレートガバナンスにおけるIT活用の意義は次の3点。

1.戦略設定・アクションプランの構築・進捗管理・結果の評価などを企業全体で行う。

2.ステイクホールダーズとの関係再構築
株主・従業員・取引先・地域社会・消費者
 →共通の利益を目指す関係へ
3.リスクマネジメント

     
第2部 政府・公共部門のガバナンス再構築と「戦略電子政府」

 ガバメントの内部マネジメントを改革するだけではなく、政府・公共部門の役割やステイクホルダーズ(利害関係者)との関係の見直しなど、ガバナンス再構築が求められている。

 1980年代初頭(イギリス=サッチャー政権、アメリカ=レーガン政権)における改革では、財政赤字の縮小や住民に対する行政サービスの質の向上を目指し次の3点をガバナンスに取り入れた。

1.結果主義 評価の明確化

2.市場メカニズムの活用 政策形成と実施を分離し、実施についてはアウトソーシング化

3.顧客中心主義 受益者の満足度を追及

こうした流れを受けてクリントン政権では、GPRA法により「顧客中心主義」「結果主義」「市場主義」が三原則とし具体的目標設定と指標を使っての結果説明の義務化した。


 現在の日本の政策課題は、次の4点。

1.競争抑制的な規制が日本企業の国際競争力向上の阻害要因

2.中央集権的体制の弊害の顕在化(多様な市民ニーズへの対応ができない)

3.官僚による省庁縦割り政策の限界

4.高度経済成長の終焉によって、国の財政が逼迫。

次に、各国における電子政府の取り組みの目的は次の3点。

1.効率向上
業務改革と生産性向上
例)バージニア州 eVA(電子調達ポータル)

2.情報公開 透明性を高め、情報を幅広く活用できる環境を構築する
 例)連邦政府 First Gov(行政ポータル)http://www.firstgov.gov/

3.利便性向上 

①経済的で実用的なサービス提供 
②時間や場所に制約を受けない 
③ワンストップサービス(1ヶ所で、1回の手続きで処理できるしくみ)

 例)イギリス UK Online 住居引越時の住所変更当の手続きの一元化サービス
 例)アメリカワシントン州 Eligibility Calulator 社会給付に関する受給資格判定サービス
 例)タンバ市 eメールで寄せられた要望や質問の処理状況がHPを通じて確認できるサービス


政府・公共部門のガバナンスの再構築の方向性は、次の3点。

1.戦略性
 最小のコストで最大の効果をあげることが基本だが、政策そのものが適切でなければ効率性だけ追求しても意味が無い。そこで、政策の質を向上させることが決定的に重要となるため、政策形成のプロセスにITを活用する。

2.透明性
 情報の公開によって、政治的圧力や特定の利益集団の圧力を弱めること、また説明責任を課すことによって適切な政策が選択され結果が検証されるようになる。評価を明確にすることによって、次の政策に反映させることができる。

3.ステイクホルダーの参加促進
 市民を顧客という視点ではなく主権者(当事者)としていくことによって、市場(競争原理)を導入することができる。

 ITを活用した参加によって、市民の主権者・責任主体としての意識向上と同時に政策選択の幅を広げることが可能となる。また参加のプロセスをつくることによって、政策を実行する際に理解と協力を得やすくなり実現性を高める効果もある。
こうしたデジタル・デモクラシーの効果に関して、アメリカの第3代大統領トーマスジェファーソン(1801年3月就任)は、「情報は民主主義の貨幣である」との明言を残している。
 情報を持つことは、意思決定に参加するための必要条件である。

電子政府の機能は、次の4点。

1.情報共有支援

①既存の情報を共有
②住民ニーズに関する情報の充実
③政策の知識やノウハウの共有化
④外部組織との情報共有化

2.政策立案の支援

①情報の分析とその開示
②現場での活用促進
③市民ニーズの分析と政策の高度化

3.政策決定支援

①間接民主主義の補完
②デジタルデモクラシーの制度整備

4.政策評価支援(デジタルアカウンタビリティ)

①具体的目標の設定
②予算・人事への反映
③政策形成過程の評価

村上ファンド

2005年02月16日 | コ ラ ム
 西武鉄道とニッポン放送の株をめぐって「M&Aコンサルティング」が一躍注目されるようになりましたね。仮に、ライブドアと連携すれば、ニッポン放送株のおよそ55%を握り、実質的に経営権を握ることになるそうです。
 しかし、会社の意思決定は株主の意向とは違ったところで決められているようです。フジテレビは、堀江社長を番組では一切出さないというNHKの朝日新聞への対応と同じようなやり方をやっています。
 株式の問題には全くの素人なのでよく分からない(だからこの機会に勉強しようと思っている)のですが、今のメディアは警察や行政や学校と同様、自らの社会的役割と責任を果たしていないようなので、この機会に構造改革してほしいと願っています。
 
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京都議定書 > 地球温暖化を防止するための国際条約である京都議定書が本日ついに発効しました。  2005/02/16 23:25

別のパワー > 自分たちで何ができるかということと、アメリカと中国というストーブのスイッチを切るための知恵と戦略が必要です。   2005/02/16

盛りだくさん

2005年02月15日 | 活動日記
今日は仕事が休みですが、色々な人に会う約束をしています。
 昼は、コンソーシアム京都の山口氏。NPOや地域通貨に関して意見交換する予定です。その後、大阪で2件の用事があります。

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解明の途中経過 > 資本主義の原理を理解するのも難しい。新「西武」は堤氏の影響力を排除するために、旧コクドの株式保有額を20%以下とする方針を固めたそうだ。株式会社は株主が出資しているので、経営方針や役員は株主総会で決まるし、その影響力を公使するために株の保有率を高める。しかし、メディアは一般の株式会社と違い、国民の知る権利の一翼を担い社会的影響力を持っているため、単に資本の原理だけで動いてもらっても困る。そういう意味で信頼が置ける新聞社などがテレビ局の大株主になっていることが多いのだそうだ。  2005/02/15 10:43
続き > 今、最終電車で大阪から帰ってきました。解明の続きはまたあした