午前中に、山口地域まちづくり協議会(愛知県瀬戸市)の視察がありました。
同協議会は、学区を単位としていますが、各自治会から推薦された方が協議会の委員として活動されていて、現役世代の方々が中心でした。
こんな雰囲気の活動なら参加してみたいと思えるような朗らかで、かつ溌剌としアクティブな姿勢に、学ぶべきものが多いと感じました。
さて、今日はこれからの新しい公の領域やその担い手について考えていきたいと思います。
わが国では、国と地方が抱える長期債務残高は2005年度末には774兆円(対GDP比151.2%)を超えます。 ▲国及び地方の長期債務残高(PDF)▲ ▲リアルタイム財政赤字カウンター▲
また、犯罪・災害被害の増大、ごみ・環境問題や少子高齢化社会の進展、グローバル化に伴う様々な問題への対応やニート問題や社会保障制度の破綻状況の打開など、公共的課題が増大する一方です。
そうした中で、国と地方の役割を再編する地方分権が進んでいますが、このことに伴って地方自治体の業務範囲を根底から見直す必要が出てきています。
地方自治体は、財政や運営方法を再編成していく上で、新しい公共のありようが根本的に問われると同時に、地域を構成する様々な主体との機能・役割分担が求められています。そういう意味で、地方分権は自治体内における分権をも伴うものです。
増大するパブリックな領域を誰が担っていくのかということの分析について、三重県総合計画(県民しあわせプラン)では、次のように整理しています。▲県民しあわせプラン▲
増大するパブリックの領域を、かつてのように行政のみが担っていくことはできません。そこで、多様な主体が相互に連携しながら新たなパブリックな領域を担っていくことが求められているのです。
行政が主に担う領域の具体例
行政が主に担う領域には、法制度上必要なものと市場社会において必要とされる処置に関するものなどがあります。
1 法令制度・行政制度
① 法令等に基づく権限行使に係る事務事業(例:許認可、免許取消し、是正命令、税の賦課等)
② 首長が自らの名において行うのでなければ成立しない事務事業(例:表彰)
③ 住民の生命・身体・財産等の保護に係る事務事業(例:災害危機管理)
2 経済原則の観点から
① 公共財
不特定多数の者に受益があり、価格に換算不可能なもの。市場ベースでは、その費用を回収することが困難なもの(例:道路、公園、文化施設等)
② 外部性
(市場原理の)外部性が存在(市場取引が成立せず、価格付けを行うことができないもの。
(例:環境問題への対応)
③ 市場の不完全性
市場の情報が偏在していることにより、適切な選択が行われないなど、市場のメカニズムが働かないもの
(例:消費者保護のための規制、情報提供)
④ 公平(シビルミニマム)の確保
地域間・産業間・世代間の公平を確保するため、産業の保護育成事業や所得再配分等を行うもの
住民が健康的で文化的な生活を享受するために不可欠な最低限の基準を確保しようとするもの
(社会的弱者への支援等)
⑤ 独占
市場で特定の企業が独占力を持っている場合に、価格や供給量が適正か行政が監視し、規制や指導を行う必要があるもの
3 その他
① 社会生活のルールづくり
条例、規則、要綱等の制定等
② 政策・施策の立案・決定
道路ルート、税の減免等
③ 行政機関の存立のために必要な内部事務等
予算・決算・人事・組織等
行政と市民の役割の区分や協働の領域について、次の図に分かりやすく示されています。
以上のとおり、「公(=パブリックな領域)」は行政だけではなく、自治会やNPOなども含めた多様な主体で担うことが求められている中で、実際に誰がどのように担うのか、またその担い手づくりのためにどのような施策が有効なのかということを本格的に論議することが必要となっています。
(つづく)
同協議会は、学区を単位としていますが、各自治会から推薦された方が協議会の委員として活動されていて、現役世代の方々が中心でした。
こんな雰囲気の活動なら参加してみたいと思えるような朗らかで、かつ溌剌としアクティブな姿勢に、学ぶべきものが多いと感じました。
さて、今日はこれからの新しい公の領域やその担い手について考えていきたいと思います。
わが国では、国と地方が抱える長期債務残高は2005年度末には774兆円(対GDP比151.2%)を超えます。 ▲国及び地方の長期債務残高(PDF)▲ ▲リアルタイム財政赤字カウンター▲
また、犯罪・災害被害の増大、ごみ・環境問題や少子高齢化社会の進展、グローバル化に伴う様々な問題への対応やニート問題や社会保障制度の破綻状況の打開など、公共的課題が増大する一方です。
そうした中で、国と地方の役割を再編する地方分権が進んでいますが、このことに伴って地方自治体の業務範囲を根底から見直す必要が出てきています。
地方自治体は、財政や運営方法を再編成していく上で、新しい公共のありようが根本的に問われると同時に、地域を構成する様々な主体との機能・役割分担が求められています。そういう意味で、地方分権は自治体内における分権をも伴うものです。
増大するパブリックな領域を誰が担っていくのかということの分析について、三重県総合計画(県民しあわせプラン)では、次のように整理しています。▲県民しあわせプラン▲
私たちが自主的に地域に関わり、地域をつくっていく地域主権の社会においては、地域の課題解決を行政だけに任せておくのではなく、県民自ら取り組むことが重要になってきます。 これまで「公的領域は行政が担うもの」と考えられてきましたが、これからは、県民も行政と共に「公」を担う主体となるという考え方が、新しい時代の「公」の考え方です。新しい時代の「公」のあり方のもとで、「行政が担う『公』」の内容を見直すとともに、県民、行政など多様な主体が担う領域についても、社会全体で支えるしくみを整えていくことが必要となります。 「行政が主に担う領域」は、社会基盤整備、制度・しくみ・環境の整備など行政が整備した方が効率的であることや県民では担えないような公共サービスの提供などを県民の付託に基づき、行政が主となり担当する公的領域を表します。「行政が主に担う領域」においては、国、県、市町村が役割分担のもと、個々の取組に応じた県民などの参画・協力を得て、業務に従事します。 「多様な主体で担う領域」は、行政も含めた地域の多様な主体が、役割分担のもとで、協働しながら共に担う公的領域を表します。具体的には、自然環境を守り育てる活動、子どもたちが健やかに育つための地域での取組など県民が主となって行い、行政が支援する地域のための多様な「公」の活動が考えられます。 多様な主体とは…県民一人ひとり、NPO、地域の団体、企業、市町村、県など地域のために活動する個人、団体などのことを総じて、「多様な主体」と表しています。 |
増大するパブリックの領域を、かつてのように行政のみが担っていくことはできません。そこで、多様な主体が相互に連携しながら新たなパブリックな領域を担っていくことが求められているのです。
行政が主に担う領域の具体例
行政が主に担う領域には、法制度上必要なものと市場社会において必要とされる処置に関するものなどがあります。
1 法令制度・行政制度
① 法令等に基づく権限行使に係る事務事業(例:許認可、免許取消し、是正命令、税の賦課等)
② 首長が自らの名において行うのでなければ成立しない事務事業(例:表彰)
③ 住民の生命・身体・財産等の保護に係る事務事業(例:災害危機管理)
2 経済原則の観点から
① 公共財
不特定多数の者に受益があり、価格に換算不可能なもの。市場ベースでは、その費用を回収することが困難なもの(例:道路、公園、文化施設等)
② 外部性
(市場原理の)外部性が存在(市場取引が成立せず、価格付けを行うことができないもの。
(例:環境問題への対応)
③ 市場の不完全性
市場の情報が偏在していることにより、適切な選択が行われないなど、市場のメカニズムが働かないもの
(例:消費者保護のための規制、情報提供)
④ 公平(シビルミニマム)の確保
地域間・産業間・世代間の公平を確保するため、産業の保護育成事業や所得再配分等を行うもの
住民が健康的で文化的な生活を享受するために不可欠な最低限の基準を確保しようとするもの
(社会的弱者への支援等)
⑤ 独占
市場で特定の企業が独占力を持っている場合に、価格や供給量が適正か行政が監視し、規制や指導を行う必要があるもの
3 その他
① 社会生活のルールづくり
条例、規則、要綱等の制定等
② 政策・施策の立案・決定
道路ルート、税の減免等
③ 行政機関の存立のために必要な内部事務等
予算・決算・人事・組織等
行政と市民の役割の区分や協働の領域について、次の図に分かりやすく示されています。
以上のとおり、「公(=パブリックな領域)」は行政だけではなく、自治会やNPOなども含めた多様な主体で担うことが求められている中で、実際に誰がどのように担うのか、またその担い手づくりのためにどのような施策が有効なのかということを本格的に論議することが必要となっています。
(つづく)