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安全・安心まちづくりハンドブック

2005年04月20日 | 読書感想
 近年の残虐で理不尽な犯罪行為の横行が日常化している中で、安心して暮らせる地域づくりが大きな課題となっています。
 そこで、本書「安全・安心まちづくりハンドブック」(ぎょうせい)を読んでみました。


 以下、本書の要旨と感想です。

 防犯まちづくりは、犯罪の誘発要因を除去して安全で安心して暮らせる生活環境をつくっていくことです。
 本書では、防犯まちづくりの特徴として次の4点を挙げています。

1.防犯の視点を計画段階から取り入れ、効果的でバランスのとれたまちづくり。

2.安心して暮らせるコミュニティづくりと連携して進める。

3.まちの中のあらゆるストックを活かし、低コストでも対応できる身近で小さな取り組みを積み重ねていく。

4.防災や交通安全、福祉などの他の分野と連動し、より高い「安全・安心」をめざす。


 また、防犯まちづくりの基本的な手法として4点にまとめられています。


1.被害対象の回避・強化 → 犯罪の被害対象となることを回避するため、犯罪の誘発要因を除去したり、対象物を強化する。

2.接近の制御 → 犯罪企画者が被害対象者(物)に近づきにくくする。

3.監視性の確保 → 多くの人の目を確保し、見通しを確保する。

4.領域性の確保 → 環境を魅力的にしたり利用を活性化して、市民の防犯活動を推進する。


 防犯まちづくりの進め方としては、各地の先進事例を参考としながら、各種基本計画にその要素を組み込むことをはじめとして、防犯の視点から実際に地域の状況を調べたり、住宅や公園施設などを整備する際には、防犯面での工夫が必要とされています。

 草津市では、今後市内で建設されるコンビニやスーパー、パチンコ店などに対し、主に駐車場を対象とした屋外防犯カメラの原則設置を指導する方針を出しましたが、こうしたことも犯罪抑止のために必要な処置だと思います。さらに、こうしたハード面だけではなく地域の防犯活動を活発にしていくことも大切です。また、市民と自治体と警察が連携して犯罪防止に取り組むことが重要です。各地で生活安全条例の制定が行われていますが、その実効性を上げるためには、理念条例の範疇にとどまらず、罰則規定の明記などによって実際に活用できるもととすることが必要だと思います。

 余談ですが、奈良県平群町の騒音オバハンの事件のようなことや、ゴミ屋敷問題などの迷惑行為についても対応できるようにしなければならないのではないでしょうか。 ▲関連記事▲

 一方で、生活安全条例は監視社会になるとの危惧もありますので、そうした面での考慮も必要です。
  ▲毎日新聞特集(「生活安全条例」の不気味)▲  ▲生活安全条例とは何か▲

 
 次に、防犯まちづくりの実践手法としては、実践上のポイント、実態調査の方法、ルールづくり、実践手法などが分かりやすく解説されています。
 その他、本書では具体的な実践手法や事例紹介がされていますので、安全まちづくりを考える上で非常に参考になります。



 草津市は、刑法犯罪の認知件数が非常に高い状況にあることから、草津市の行政評価 
▲草津市HP▲  対象として、人口1万人当たりの犯罪発生件数を、平成15年度の実績値である261件を平成19年度には235人に低下させるという政策目標値が設定されています。▲草津市行政評価システム(防犯対策事業)▲
 

 今後、安全・安心まちづくりの取り組みを市民と行政が一体となって進めていくことが求められています。