鍼灸如何に学ぶべきか~科学的鍼灸論の構築のために~

鍼灸の理論と術にかかわる初歩的・基本的な問題を中心に科学的=論理的に唯物論を把持して説(解)いて行きたい、と思います。

有馬温泉のlegendに学ぶ強揉みマッサージ〜対象の構造に分け入ることの効用〜

2019-06-02 17:06:11 | 鍼灸術・手技療法術
 Sさんに強揉みのマッサージを教へていただいた。さすがその道、半世紀以上のベテラン!と感心させられた。

 昨日、有馬温泉で昔ながらの旅館・ホテルへの出張マッサージ店をやっておられるSさんに、数年ぶりにお会いして一緒に60分間のマッサージを行い、その後、マッサージに関わるあれこれを2時間近くも教えていただいた。

 自身の患者(お客さん?)は、背中、特に右側と右上肢の痛み、違和感(特に背中)の訴えがあつた。腰部ヘルニアの既往があり、数日前に灯油の一斗缶いくつか運んで、症状が強く出たということであつた。(全体を診ると左脚重心になつており、左下肢外側(胆経)、右下肢内側(腎経)、右腰部背部(膀胱経)のハリが強いので右側にヘルニアの症状が出ていての、その結果の体の歪みが合わさることによつての、と思えた。)

 同様の症状を訴えての患者への施術は日々行なつているので、当初は軽い気持ちで「60分は時間が余る!どうやって時間を潰すか!?」との思いすら持つて、「どんな調子ですか?」と施術を始めたのであるが、患者の身体に触れた瞬間に「?」「しまつた!これは厄介な患者!?」「手に負へないかもしれない!」と軽い後悔の思いを持つこととなつた。

 理由は端的には、患者の身体の感触が、いわゆる強揉みで何年も何十年も揉み込まれていると思へる、「硬いゴムを抑えているようなもの」であり、圧を加えても、少しも緩んでいく感触の無いものであつたからである。

 それでも引き受けた以上は、少しでも訴えのある症状を軽減せねばと自身の持てる限りの技と術を駆使して悪戦苦闘したのであるが、最後まで右背部の硬さは解れないままに60分間の施術を終えることとなつた。

 その後、Sさんは自身の悪戦苦闘ぶりを見ていたゆゑと思ふが、腰痛の持病のある従業員を台にして施術しながら、腰痛に対する施術のポイント、押し方等を教へてくださつた。
 教へていただいた内容は、特に強揉みで揉み込まれた患者に対しての技と術は、さすが強揉みマッサージ歴半世紀以上の、それのみならず七十七歳の現在も現役で、強揉みのマッサージを行い、それを求めて患者があちこちから指名で有馬温泉まで来る方である(実際に施術中も大阪から明日の予約の問い合わせがあつた)と感心させられた。

 自身が教へていただいたことは、「強揉みで揉み込まれて硬くなつているところは、まともに押しても感じないし効かない、押してる方の手がたまつたものでは無い。だからね、隙間から揉まれたことのないところを押さへてやれば良い。そうすればどんなに身体の硬いお客もヒイヒイいつて痛がる(笑)」「押さえて他へ痛みが通るところが効くんだよねえ。」等々、また逆に、Sさんから教わつたポイントを強く押してしまいがちな自身に対して、「優しくゆつくりと押さえてやると解れるんだよねえ。」とも。
 加えて、押す手の形として、「掌を開いて押すと本当の力の半分も力が出ないんだよなあ。それがこうやつて(親指以外の四指を軽く握る形にして見せて)三味線弾くみたいに押せば、いくらでも強く押せるし、手も疲れないんだ。」と教えていただいた。
 
 実際に自身で、そのように強揉みの施術をしてみると、無理なく今までに倍する強揉みが可能となつただけでなく、痛いだけではない「効いている。気持ち良い。」と相手(患者?)が言う強揉みが可能となつていつた。

 これは要するに、対象の構造に見合つた形での、といふことであると思へる。有馬温泉のlegendの施術の、それ以上に指導の実力にさすが!と感心される。

Sさんが示された手の形。

実際のSさんの親指は、甘手で、かつ画像の自身の親指の倍ほどもある。


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