
前回まで3回にわたって「食とは何か?」「どのように発展してきてのヒトの、人類の食へとなっていったのか?」を<生命の歴史>に尋ねてきた。それは大きくは3つのことであった。
1、その原点としては、地球から(相対的)独立を遂げた生命体が、「地球との一体性を保つための、地球そのものの(直接的な)摂取」
2、そこから発展していっての「他の生命体を対象としての食」、これは別の言い方をするならば、地球そのものの(媒介的な)摂取。
3、哺乳類→サル→ヒトへと進化するとともに(その進化を促す要因としての)植物性雑食と動物性雑食、特に魚食の誕生。
さて、では我々は、人間は、植物性雑食+動物性雑食(特に魚食)という「食」を食べていればそれでいいのか ?それだけで良いのか? という問題。
別言するならば、民族の食、具体的には、和食、洋食、中華等々をどう考えていくべきか?地球との繫がりを持っての植物性雑食+動物性雑食であれば、日本人が、例えば洋食を食べ続けて健康に生きていけるのか?という問題。
我々人類は、アフリカを起源として、北へ、そしてアジアへ.....と全世界へと広がっていった(これには異論、異説もあるであろうが)、そして、それらの地域に定住し(定住しないという形を持つものもあったが)その土地土地に見合った形での生活を作り出していった。(例えば狩猟民族、農耕民族、遊牧民族等々)
その中で「食」は、その土地、地域と一体のものとして創り上げていかれた。
端的には、その当時は、その地域にないものは基本的に食べようがなかったのだから。
そのような食と人間との相互浸透とともに、食(文化)というものは発展し、その食で人間も創られていくことになる。
例えば、日本人は短足胴長、小柄で、欧米人は手足が長くて大柄でと成り、これは外見のみならず、米と野菜等、植物性主体の食の日本人は腸が長く、肉食中心の欧米人は腸が短いとか、精神的にも(狩猟民族)肉食人種である白人は、情熱的・攻撃的であるとか、(農耕民族)主に植物食である日本人は、おとなしく・協調性が強い、我慢強いとかの、が食と共に創られている面がある。
ことほどさように、人間とその「食」は一体のものであるだけに、日本人は日本人の食( = 日本の伝統食)を食べるべきなのではないのか? ということに思い至る。
そういう問いかけで、現状を見渡すならば、例えば、日本を不健康な国にしている「生活習慣病」というものの大きな原因として、欧米や中華等の外来の「食」の一般的普及ということがあるのではないのか ? との思いとなる。
具体的には、肉や小麦、乳製品、(種子)油(特に揚げ物)等の、これまで日本人が稀にしか食べてこなかった(=その食との相互浸透の過去を持って来なかった)食材の大量摂取が、日本人の不健康を齎しているのでは無いのか?ということ。
また、逆の観点から「日本の伝統食」というものを視ると、地球とのつながりをしっかりと保ってくれる(例えば加工しすぎない、煮たり焼いたり、あるいは刺身に代表される生)食であり、日本食の特徴とも言える「発酵食品」は(もちろん他国にもあるけれども)、生命体の原点である単細胞体そのものの食でもあり、貝や魚、鶏、牛、豚等々と、しっかりと<生命の歴史>全体を食べる「食」となっており、かつ植物性雑食 + 動物性雑食(特に魚食)というものになっている。
(少し脇道に外れるが、<生命の歴史>全体の摂取ということについて。「可能な限り、人類から種としての遠いものから優先的に食べるべき......」と、南郷先生がどっかで説かれていたと記憶しているが、自身では、人類に近い種は、食べるとしても稀に、例えば動物性の食を摂るのに、日々は魚、鳥は週1レベル、牛や豚は多くても月1、できれば年に数回レベルで、と心掛けている。ここはまた改めて説きたい。)
つまり、日本の伝統食は、ヒトの食として理想的「食」であり、かつその「食」との相互浸透において日本人は創られている、創られてきたのであるから、日本人が健康に生きるためには、しっかりと日本の伝統食を日常の「食」とすべきである、と思う。
では、洋食は中華はダメなのか ? といえば、たまの外食レベルならば、あるいはおやつレベルならば、その害も最小であろうし、精神的な楽しみとしては、それはそれで良いと思う。ただ、これとても、植物性雑食+動物性雑食ということは、なるべく外さないようにとは思う。
ついでにいえば、近頃、訪日外国人旅行者が、「日本食美味しい!ヘルシー!」と賞賛しているとYouTubeやtiktok等で見かけるが、美味しいということには別に異論は無いけれども、ヘルシーということについては、「肉と乳製品、小麦等の食」と何千年にもわたって相互浸透して来た彼等にとって、日本食は本当にヘルシーなのだろうか?とは思える。
例えば、彼等には、海藻類特に生海苔を分解して利用するための腸内細菌が無いから、おそらく食べ過ぎると下痢するだろうし、魚の生食についても、食中毒を起こしやすいのでは?(これは実際に中国人やフランス人の知人から聞いた記憶がある。)と思える。これは逆に、日本人には乳糖不耐症=乳製品が合わない人が一定数いたり、肉を多く食べると身体が重い怠いとなったりがあるのと同様に......。
以上で、4回にわたって説いてきた「人間は何を食べるべきか?」を終わりたいと思う。
次は、「人間はいかなる運動をすべきか?」ということを説ていきたいと思う。
これが説ければ、人間の生活の整え(=健康に生きること)の基本である3つのこと、「食と運動・睡眠」が(その自身のアタマの中の映像が)一応、説けた(文章化出来た)ということになる。年内には、と思う。