光Ginjiの「後方ヨシ!」

素敵なライディングと輝く毎日を送る仲間に乾杯!

30cm 四方のブロック50枚を並べてバランスに挑戦する

2007年07月12日 21時19分01秒 | ライディングのキモ

こんにちは。

「いい加減、更新しろよな」って感じですが、某所でいろいろとネタを温めておりました。
暑い夏こそやっぱり低速バランス!というわけで、一本橋のおはなしに引き続き、「ブロックスネーク」のあれこれを考察してみました。

        ***

安全運転大会に参加したことのある皆さんにはおなじみの、厚み 5cm の 30cm 四方のブロックを約 50 枚、S 字型にならべて、2つの直線部分の中央付近にはブロック2枚重ねの箇所を一箇所ずつ設けたセクションです。ここを、前後輪を落とすことなく、足を付かず、 9秒から11秒で通過する、というものですが、採点基準のなかには「足がステップから離れる(足離れ)」という項目もありますので、乗車姿勢にも気をつける必要があります。

攻略ポイントは、

・内輪差
・通過速度
・V 字バランス
・衝撃吸収


だと思います。

(1) 内輪差
直線部から屈曲部、また、屈曲部から直線部に移行する際、後輪が前輪よりも内側を通ります。したがって、進路を移行する部分では、前輪を外側寄りに導いてやらないと後輪が内側へ落輪します。また、落輪まではいかなくても、タイヤの中央部分がブロックからはずれ、タイヤのサイド部で移行部分を通過することになるので車体に余計なブレが生じ、バランスを崩すもとになります。

(2) 通過速度
計算してみますと、30cm × 50枚 = 15m を 10 秒、ですから、一本橋の倍の速度、だいたい 5.4 Km/h でスルスルと通過する感覚が必要です。後で述べる段差の部分での速度変化が大きかったり、バランスを崩して復帰するためのスローダウンが顕著ですと、タイムオーバーの原因となります。「するする」通過するためには、アクセル一定であおりません。無駄なフカシもエンストのもとです。半クラッチとリアブレーキで優しく調整、です。原付車両も遠心クラッチはつないだまま、リアブレーキのリリースで速度をなめらかに制御します。

(3) V 字バランス
見ての通り、幅が30cm のブロック上にいて、かつ、(1) の内輪差を考慮して走行ラインが決定されるため、一本橋と違ってハンドルを大きく切ってバランスを修正することができません。また、10 秒近辺でわたり切る一定の速度を出すために、一旦静止状態を作ってバランスをとりもどす、というのも望ましくありません。そこで、バイクの左右のバランスはハンドルで修正するのではなく、バイクの傾いた側と反対に上体を据える状態を保持できる「V字バランス」の維持が必要です。このために、着座ではなくスタンディングでの走行が、V字バランスを作りやすいでしょう。このときに、お尻が逃げる「へっぴり腰」ではなく、バイクの重心を貫く軸の上に尻~アタマまで乗せることになります。

ただし、原付はステップが「ボード状」であり、両足の間で泳がせ、もしくははさむタンクがないために、スタンディングではバランスが崩れがちになります。だから着座で、かつ、(4) の衝撃吸収のためにステップボードを踏みしめ、お尻でどっかり座らない乗り方が望ましいです。

(4) 衝撃吸収
直線部分のブロック2枚重ねの部分については、400cc、750cc の車両であれば、半クラが当たっていて少しでも駆動がなめらかにかかり続けていれば、特に問題なく通過できるでしょう。要注意なのは、前輪、または後輪が2枚重ねの箇所に当たる瞬間にクラッチを切っていないこと。駆動が断たれていたり、半クラッチとアクセルの開度が不適切ですと、思わぬスタックと、それに引き続くエンストに陥ることがあり万事休す、です。

原付車両は、車輪の径が小さいため、段差に対して、「ドカン!」と当り気味です。サスペンションもプアなので、これは、(3) に書いたように、「お尻でどっかり座らず、足でも衝撃吸収。段差通過時に頭がぶれないようにする」ことが必須です。

わずか10秒ちょっとのライディングなんですが、針の穴に糸を通すような正確さを求められる、奥ゆかしいセクションですね。

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長さ15m、幅30cm に二輪で長く滞在することに潜む奥深さ

2007年06月21日 22時04分35秒 | ライディングのキモ

みなさんこんにちは。
たいへんお久しぶりの更新です♪。

さて、安全運転大会・全国大会まで一ヵ月半を切りました。各都道府県での予選も次々と終了し、選手もしくは選手候補のみなさんの訓練が、週末を中心に繰り広げられていることと思います。

「競技において、良い成績を出す練習」って、どうすればいいだろう、という話題で先日、仲間と盛り上がったのを機に、つらつら、メモしてみたいと思います。

たとえば一本橋ですが、安全運転大会では

・基準タイム20秒
・落ちたらアウト

のルールがあります。したがって、必須条件として

・20秒以上出す実力をつける
・絶対に落ちない


スキルを身につけなければならないのですが、それに加えて大会という場では、

・極度の緊張と不安と異様な精神状況の中で
・しかも一回きりのチャレンジで


「落ちずに20秒以上かける」を遂行しなければなりません。このための練習方法としては、2軸の方向性があるように思われます。 最終的には、その2軸は再収斂し、ひとつの成果として結実することになるのですが、まずは列挙してみます。

(1) 落ちないことを前提
- 粘りすぎて落ちることがないのを前提とし、渡り切る確率を 100% のままでじりじりと秒数を伸ばす練習

(2) まずは秒数をかせぐことを前提
- とにかく積極的に粘る。落ちることがあるかもしれないけれど、一本橋の上で何度も積極的に停止するなどして、とにかく長い秒数を一本橋の上で滞留する感覚を身につける練習

       ***

この2軸、結局、「大会のための練習」としてみた場合であっても、両方をみっちりやった者に勝利が訪れると言えるんじゃないか、というのがあれこれ話した結論なんですが、いかがでしょう。

大会本番の一発勝負では、とにかく最大減点の落輪を避けるのが優先ですから、実際に自分が出せるタイムの半分くらいしか粘れないことが普通ですし、早鐘のように打つ鼓動のもとでの体内時計は♪=60 のカウントも狂ってしまい、♪=100 くらいのノリノリになることも多々あります。

なので、僕個人の考えとしては、「落ちるかもしれないけれど頑張れば出せる秒数」は、やっぱりこれは伸ばしておくことが必要だと思います。

でもこれ、なかなか練習する機会がないんですよね…。講習会で、何度もチャレンジしてバタバタ落ちまくっていると指導員に「落ちないように渡りなさいとやんわり言われるだろうし、特練の練習の場でも、やはりばたばた落ちるのは憚られます。

なので、講習会やスクール、特練の場では (1) 的な練習がメインになってくるのですけれども、(2) を行う機会が多い人こそ、実力を伸ばすことが出来るのだ、と感じます。

僕の知っている素敵なレディスライダーで、教習所の先生が何人かいらっしゃるのですが、みなさん口をそろえて

「一本橋はやればできる。毎日やれば必ずできる」

とおっしゃいます。職場の環境が生かせる限り、(2 の練習を積極的に行っておいでです。

ああ、こんな記事を書いていたら桶川の自由練習がやりたくなってきました。あそこだったら、「一本橋の順番を待つ人」を気にせずに、思う存分 (2) の練習ができますし♪。

大会の成果は、不断の努力こそが結実するものである、といったところでしょうか☆

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膝で締める!

2005年12月22日 22時25分41秒 | ライディングのキモ
こんにちは。日本列島、あちこちで激しい雪となっており、新潟方面では大規模な停電も起きるなど、顕著な被害も出ている模様ですね。この週末はクリスマス。聖なるホワイト・ナイトはロマンチックですが、降りすぎるのもよろしくないですね

さて、巷のバイク雑誌やネット上では、バイク界には、

  「膝を開いて、地面を擦りたい派」

および

  「膝を開かず、タンクを締め上げる派」

の宗教戦争が繰り広げられているいるような風潮も散見される今日このごろ、そもそも膝を含めた下肢とタンクの関係にまつわるお話です。

これ、どっちが良いとか悪いとかではなく、ハングオフ姿勢で膝を擦ってコーナリングするには最も適切なシチュエーションと適切なフォーム(ハングオフ)が伴ってこそ意味と効果のある「膝開き」であり、シティライドや一般のツーリング、また場合によってはジムカーナ競技など、大きな加減速や早いピッチでのバンク切り返し(向き変え)を伴うような場面で、正しく行ってこそ意味のある「膝締め」であるわけです。いわゆる、「無理ヒザ」が何の意味もなく、明らかにカッコ悪いのと同様に、「正しいホールド」が出来ていないニーグリップも、これまた大いに矯正の余地あり、となります。

ニーグリップ、は字面で言えば「膝小僧によるグリップ」なのですが、最近ほほとんどのバイクは、膝から内モモにかけての全面が優しくフィットするような造形になっています。むしろ、フトモモの部分がより強く下肢に当たるバイクが多いかもしれません。いずれにせよ、ヒザからフトモモ全体でしっかりタンクをホールドする当て方が原則となります。

この重要なニーグリップですが、バイクに跨っているすべての瞬間において、全力でタンクを締め上げる必要は無いです。そんなことするとオシッコ漏れそうですし、あっという間に股関節の痛みから腰砕けになるでしょう。ブレーキングと加速のときに、ここぞとばかりに下半身を固め、背筋で上体をバイクの「軸」上に留めるようにするわけです。

実はこのニーグリップ、何でも力任せに締める必要はなく、ライダーの体をハンドルと腕で支えることなくホールドできるチカラで締めればよいわけですが、経験上、やっぱり革パンツなどを履いているほうが余計なチカラを入れなくても体を保持できると思います。ジーンズをはいていると、若干、滑りを感じ、余分にしっかり締めなくちゃいけないようです。ポリエステル系の生地のオフ車用モトパンも意外に滑ってしまいます。また、タンクにゴムパッドを貼り付けることでタンクとフトモモの摩擦係数の増大をねらうライダーもいます。

一方、カッパやレインスーツの類については、これらの生地はものすごく滑りますのでもはや全力でニーグリップしても十分なホールドが得られるとは言い難いです。そんなことも含めて、雨の日は激しい加速、減速を伴なう走行にはベストではないわけです。タイヤのグリップ力も低いので、無理せず、疲労しない走り方が求められるわけですね。

オシリと太もも~ヒザ、そしてくるぶしと両足での『下半身固め』がバッチリ決まりますと、長距離走っても疲れずに、バイクへの操作も的確なものになり、すべての状況判断に余裕が出てくる、ということになります

講習会やスクール、はたまたジムカーナ競技などを楽しむ方々はとくに、この週末もしっかりとニーグリップに勤しむことになるかと思います。バイクと一体化し、縦横無尽に楽しく走ったあとは、きっと気だるい「股関節痛」が必ず襲ってまいりますので、お風呂で十分、暖ましょうねっ!

さ、今日は冬至です。みなさん、股関節痛が来た人も、これから来る人も、しっかりカボチャを食べ、柚子風呂に入ってホーリーナイトなウィークエンドに備えましょうね。

サンタクロースがトナカイのそりを乗りこなすがごとく、僕ら自身もバッチリ、バイクを乗りこなして冬の街へ繰り出しましょう~。安全運転で、はい、「後方ヨシ!」




乗車と降車

2005年12月12日 22時51分20秒 | ライディングのキモ
こんにちは。ブログっていうのは、多くの方が「つれづれ日記」といった風に、身近なことを毎日書ける場として気軽に書いていらっしゃるように思われます。僕もそんな風にすれば良いのかもしれませんが、『バイク関連』としてその方向性がいつしか定まって参りまして、平日はバイクに乗らない(通勤で使っていない)生活の僕は、ネタが枯渇する日がございます。 つか、今日は朝からバタバタして、何もお、思いつかない…。

というわけで、乗車と降車の『正しい』手順から…
いわゆる試験場とか安全運転大会では、次のような手順で行うことで減点はなくなります。来夏、安全運転大会出場をめざす方、必見

【乗車・発進】
(1) バイクの前後、周囲を確認し、発進に際して危険がないことを確認。
(2) バイクに手をかけ、フロントブレーキを握る。
(3) 車体を起こし、後方確認し、安全であればサイドスタンドを払い、バイクにまたがる。
(4) 右足でブレーキペダルを踏む。
(5) 左手で、ミラーの角度を調整する。
(6) キーをオンにし、クラッチを握り、エンジンスタート。
(7) ミラーで後方を確認し、発進のために右ウインカーを出す。
(8) 後方確認し、右足に着き換え、一速へ入れる。
(9) 再び左足に着き換え、右足はリアブレーキを踏み、目視で後方確認。
(10) 発進。
※(7)のウインカーは(10)の3秒以上前に行われること。

【停止・降車】
(1) 路肩へ止めるための左への適切な車線変更を行ったのち停車位置へ。
(2) 左足着地で停止。右足は当然、リアブレーキ位置。右手はフロントブレーキ保持
(3) ウインカー消灯
(4) エンジン停止
(5) 後方を目視確認
(6) フロントブレーキを握ったまま、降車
(7) サイドスタンドを出す
(8) ハンドルを左へ切り、バイクをサイドスタンドに預ける

以上が、模範的な乗車、降車の手順です。これを基本とした上で、実際の場面で安全にバイクの乗り降りと発進停止を行うことになります。

よくある議論としては、

「サイドスタンドを払ってから乗るのか、バイクに跨ってから払うのか」

というものですが、どっちも出来るようになっておいた上で、

・タンデム乗車をおこなうとき
・リアに大きな荷物をくくりつけていて、開脚して後方からバイクを跨ぐのが困難なとき
・体格が小柄、などの理由で、スタンドを払ってから跨ることが著しく不安定となるおそれのあるとき

などは、安全確保の観点から、スタンドを出したまま乗り降りすることになるでしょう。

デキるライダーは、発進、停止のちょっとした挙動でそのスキルが表われるものです。ごく自然に基本の動作を美しく行うことのできるライダーは、爽やかな涼風にも似た薫風をもたらしてくれますね

ブレーキ練習あれこれ

2005年12月11日 23時15分54秒 | ライディングのキモ
夜、なにか白いものがちらつくくらい寒かった今日ですが、やっぱりそれは東京での初雪として観測された、とニュースが報じていました。
いよいよ寒くなってまいりました。バイク乗りにとっては防寒にあれこれ知恵をめぐらせる本格的な季節の到来です。
 
 さて、本日、バイクに乗る仲間たちの会話から、バイクを意のままに扱うのはやはりブレーキがキモ、との話題になりまして、講習会やスクールではどのようなブレーキの練習があるのか、列挙してみたいと思います。皆さんはどの課題がお好みですか?

(1) 急制動
いちばんオーソドックスに行われるブレーキの練習です。スタート地点からギアを適宜、3~4速に入れて指定速度に到達した状態で定速で走行し、制動開始地点から前後ブレーキを操作して短い距離で停止するものです。
とにかくブレーキの操作が第一義なので、シフトダウンなどは伴いません。クラッチも切らなくてかまいません。エンストも可。タイヤがロックしないぎりぎりのところまでとにかく前後ブレーキを100% 使い、バイクを短く止めます。
場合によっては、「後輪のみ」「前輪のみ」「両輪」のブレーキを操作し、その停止距離の違いを実際に体験させる場合もあります。

(2) 目標制動
 通常、パイロンによって停止すべき位置が明示され、そこまでにちゃんと停止するには最低でもどこからブレーキングをしなければならないか、を体感するための課題です。慎重派の人であれば、停止位置のパイロンのかなり手前からブレーキングを開始して練習をはじめることでしょう。これは練習ですので、そこからさらにブレーキングの開始を遅らせつつも指定位置でちゃんと止まれるよう、ブレーキを強く短時間で使えるように練習します。
あくまで練習ですので、パイロン位置を超えてもやむをえません。それを超えまいとフロントブレーキを握りすぎますとフロントロックで転倒に至りやすいです。
様々な速度域で、自分に必要な制動距離を目測し、その意志どおりに停止する練習です。

(3) 旗振り制動
 発進後、ゆるやかな加速もしくは定常状態で指導員の表情をうかがいながら走行し、指導員が旗を振り下ろすのを見たらすぐにバイクを停止させます。指導員が旗を振り下ろす位置は一定ではありません。旗を振り下ろさないかもしれません。その場合は、指導員の横を通過します。
これは、バイクを停止させるのに必要な距離が、『旗を下げたのを認識し、ブレーキに指がかかり握りはじめる』間の『空走距離』ぶん伸びますので、なおさらに、バイクは急に止まれないことを思い知る練習です。

(4) 旗振り回避制動
 (3) に似ていますが、通常、指導員は真正面に立ち、右手もしくは左手の旗を上げます。指導員が適当なタイミングでどちらかの旗を振り上げますので、旗があがったほう、もしくはその反対のほうへ(事前にちゃんと説明を聞いてくださいね)回避したあと、ブレーキをかけ停止いたします。
指導員を轢かないこと。回避中はブレーキ操作をせず回避後バイクが立った状態でしっかり制動すること、右もしくは左にヤマかけしないで、判断してから操作すること、の3つが肝心です。

(5) 加速状態からの制動
 交差点の青信号で発進し加速状態のときに、いきなりファミレスの駐車場から車が出てきたときの制動を想定したものです。発進位置から加速したままの状態で停止開始位置にさしかかり、ここから急制動を行います。
加速状態なのでフロントフォークは伸び、荷重が後ろよりになっている状態からの制動ですので、フロントブレーキの握り始めが強すぎますとフロントタイヤが簡単にロックします。大切なことは、加速区間で遠慮しないこと。だってみなさん実際は交差点で隣のバイクと張り合って、ロケットスタートしますでしょ?
その状態でもブレーキを100% 使いこなさなければいけませんから。練習あるのみです。

(6) コーナリング制動
 (1)~(5)までのブレーキの練習は通常、直線路で行いますが、緩やかにカーブを描いたコーナー部分の途中にパイロンを置き、ここへ通常のカーブと同様、ある程度のバンク状態で進入してパイロンの横から制動を開始します。
バイクを起こしてから制動、とならざるをえないため、特に左カーブで速度を出しすぎて制動すると対向車線にはみ出し、右カーブで速度を出しすぎてブレーキをかけるとガードレールに張り付いてしまうことが疑似体験できるものです。

さて、他にもまだ練習のバリエーションはあると思いますが、いずれの練習でもキモに銘じなければならないのは、

 「バイクは急に止められない
 「バンクしたまま止まれない

ということです。

実際の公道や峠道では、旗を振ってくれる指導員も、目標となるパイロンも置いてありません。どこで障害物を発見し、いつからブレーキを操作するべきかを判断するのは、すべてライダーである我々自身です。

となると、どう考えてもその状況で安全に止まることができないような高い速度で得意げになってブッ飛ばすのは、他者をも巻き込む可能性のある極悪の『自滅行為』である、ということです。

交通のスローガンでは「ゆっくり走りましょう」と良く言われますが、そのコトバが陳腐にならないためにも、クローズドな場所で行われるスクールや講習会で、まさにこれらの『実体験』を重ね、カラダでブレーキの妙味を覚えなければいけません。

さらにこれからの季節、路面温度は一段と低くタイヤのグリップ力は低下、場合によっては道路の凍結なども起き得ます。ブレーキング条件としてはますます悪化するこの季節、せわしい師走ながらもブレーキには尚一層の余裕をもって臨みたいと思います。


開けて、閉じて。

2005年12月08日 01時11分40秒 | ライディングのキモ
こんにちは。平井堅が「歌バカ」なら、さしずめ自分は「バイク・バカ」なんだろうと思う今日このごろです。

さて、直列パイロン・スラロームは運転免許の試験項目にもあるからか、人気がございました。そこで今日は

 「ココロを~開けて~、瞳を~閉じて~

ならぬ、アクセルの開け、閉じとブレーキングについて、昨日のパイスラをモチーフに考えましょうか。

もし、可能であればだだっ広い駐車場のような場所で、アクセルは一定にして大きく円を描いてみてください。もしくはそれを脳裏で想像してみましょう。キモチ良~く何周か回ったら、バンク角はそのままに、ブレーキも操作しないでアクセルを閉じてみましょう。そうすると…ハイ。

 「回っている半径が小さくなる」

感じがありますよね。もちろんエンジンブレーキも効きますので速度も落ちるでしょう。

それではこんどは、そこから『ジワリ』とアクセルを開けてみましょう。加速が始まります。リアが沈みます。フロントフォークが伸びます。同時に、

 「回転半径が大きくなろうとし、傾いていたバイクが起きる」

感じがすると思います。この、回りながらのアクセルの開け、閉じを

 「ブォーン、ブォーン

の繰り返しで、傾き加減が調整できるようになればしめたものです。

なぜならば、その開け閉めのリズムを早めて、開け閉めの間に傾く方向の切り替えを足した動きがパイロンスラロームの通過方法になるからです。

すなわち、

(1) パイロンの真横では既にアクセル開けてバイクを立て、
(2) 次のパイロンの手前でアクセル閉じてバイクに傾きのキッカケをあたえつつ、
(3) パイロンの裏側へ飛び込むキモチで向きを変えたらまたアクセルを開ける、

の(1)~(3)の動作が左右に延々と繰り返されるのが理想的なパイスラですね。

これに物理的な説明をつけるとするならば

・アクセルを開けるとバイクは起き、閉じると寝る
・普段、バイクは重いので膝などで押したり、ステップを踏んでも挙動は乱れにくいが、アクセルを閉じるに合わせて寝始めるバイクへの入力は有効である

を利用していることになります。

ここで、ペースが上がってまいりますと、上の(1)でアクセルを開けて乗ってきた速度が、アクセルを閉じるだけでは(2)で必要なだけ落ち切らないようになります。
ここでリアブレーキが登場し、(2) に加えてそのブレーキの助けを借りて前へ進もうとする速度のいくらかを、バンクする角度へ転化してやることで、アクセルのオンオフだけでは実現できないバイクの傾きの切り替えを行います。

 さらに高度にペースを上げようとすれば、乗った速度を殺すのは必要最小限とし、フロントブレーキを積極的に使ってフロントタイヤの旋回性を高め、アクセルの開け方も可能な限り急峻に開ける!という操作が加わることになりますね。

#と、ここまで書くと浮かんでくるのはやっぱり仁王立ちのN軍曹の姿…


ということで、ここで要求されるのは、「ここでアクセル・オフ」「次にブレーキ」「ブレーキのリリース後、アクセル・オン」というぶつ切りの操作ではなく、それぞれが多少オーバーラップした、滑らかな操作テーマの移行、ということです。
すなわち、アクセルを閉じながらリアブレーキは舐め始めることになるし、ブレーキをリリースしつつアクセルワイヤーのたるみとチェーンのたるみの除去、リアのハブダンパーへの加圧を意識してアクセルを開け始めることになるでしょう。

…ああ、今晩もまた自分でもいまひとつわかりにくい文章を綴ってしまいました。やっぱりいちばん大切なのは、パイスラはとにかく練習することです。何本も何本も何本も。もっと速く、もっと速く、もっと速く

これを極めれば、優しいアクセル操作と優しいブレーキ操作であり、かつ、素早い操作が可能になってきますね。そうすれば、たとえ3m間隔の直パイが目の前に出てきても、きっとニコニコ、楽しむことができるようになるでしょう。

…人は言う。それを「マゾヒスティックな愉しみ」と。

東名の集中工事に思う。

2005年12月07日 00時01分51秒 | ライディングのキモ
今日は、在宅にて朝から仕事、仕事、仕事…に追われておりました。
(ほんとか?)ラジオでは、東名高速の集中工事のため、各所でとんでもない長さの渋滞をレポートする声が…。
高速道路の工事に伴う車線規制では、延々と10m 間隔で置かれたパイロンを目にしたことのある方、大多数だと思います。そしてそれは、

 「こっちの車線に入るべからず」

という意味であって、決して

 「直線パイロンスラロームをやりましょう」

の意味ではありません。そこでひとつ、そこのところを間違えないためにも、理想的なパイロンスラロームのライン取りを考察しましょう。
はい。パワポのお絵かきにちょっと慣れたので、調子に乗っています。

パイロンスラローム、難しいですね。右へ左へ行ったり来たり。リズムを取るのが難しく、崩れたリズムを取り戻すのもこれまた難しく、そういうときはパイロンをなぎ倒しますね。 そうなんです。いつになっても直列パイロンスラロームは難しく、初心者はもとより経験者でも、乗れてない日、バイクと一体になれない日は、こいつ、調子悪いです。

直パイにおいて、押さえなきゃならないポイントはた~くさんありますが、まずはやっぱりライン取りでしょう。走るペースを上げるのはその次の段階ですね。

ということで絵にしてみました。きのうのZターンと同様に、

 「パイロンに最接近するときは車体は次のパイロン(の外側)に向かっている」

ことがとっても重要です。 そのためには、パイロンの横に来たときにバイクの向きを変え始めていたのではすでに遅いわけで、図の赤い線が示すように前輪の軌跡をもっていく必要があります。後輪は内輪差によって、前輪より遅れて弧を描きますから(黒い線)、なおさらこの点に気をつける必要があります。

つまり、パイロンとパイロンの間の『半分』まで行かないうちに、もう次のパイロンへ向かうための『切り返し』が始まっている必要がありますね。

最初はペースを上げないで、このラインを通せるような操作に慣れ親しみたいところです。その上で、最終的には、ヘルメットが緑の点線を描く、すなわち、直列パイロンの前方から見た場合、バイクの車体はパイロンの右や左を通過していきますが、ライダーの頭部は、直列したパイロンの上空をまっすぐ進んでくるように見えること、これがカッコ良いライディングの究極の姿です。(浜名湖レインボーの鈴木イントラのようなフォーム。)このときにはライダーのヘルメットが振り子の支点となり、支点はブレずにバイクだけが左右に振れ、猛然とパイロンをクリアしていくように見えることになります。

以上、直パイのライン取りでした。え?「ペースをどう上げるのか?」ですって?
いいご質問ですね。そりゃもう、

    「もっとアクセルあけてー。」

ですよ答えは。間違いない。 正しいですよね?(と荒川河川敷のほうに問いかけてみる…)

…(気を取り直して)ええと、そのためにも、まずはやっぱり、「ライン取り」なのでございました。

さ、僕自身も頑張ろう。また浜名湖で2百本ものパイロンを立てて練習を行う「パイスラ・スペシャル」の開催が待ち遠しい今日この頃です。レッツ・エンジョイ・パイスラ!



Zターン考

2005年12月06日 01時08分57秒 | ライディングのキモ
こんにちは。デジタルなお絵かきツールってのは、ファジィな曲線が描きにくいんですね。パワポでこんな絵は描いたことが無かったので…。

というわけで、「らくらくパイロン回ろう講座」(そんなんいつ決めたんや)の一回目は、Zターンです。図の左上から右下へ、二本のパイロンで規制されたA地点ゲートとB地点ゲートを抜けていく場合のコース取りについて考えてみます。画像を大きくするには2005年12月6日 01時08分57秒をクリックしてください~。
赤いラインは、一般に「良し」とされるラインですね。「大きく入って小さく出る。」そのこころは、あるパイロンの周りをまわるとき、自分とバイクがパイロンに一番近づくときは、すでにバイクの向きは次に進む方向を向いています。すなわち、その時点ではもうアクセルをしっかり開けられるということにつながるわけです。赤いラインがパイロンにもっとも近づいているところの接線方向に注目してみましょう。

これに対比して、最初のA地点でふらふら~と内側のパイロンに近づいてしまったときのラインが「??」なほうの黒いラインです。パイロンに接近したときはまだ全然向きが変わっていなくて、それからヨッコイショと向きを変え、地球離脱のロケットのごとくAから離れつつBへ向かいます。さらにBの内側パイロンに接近してから再びヨッコラショで出口を向きますので、なかなか出口へ向かって加速ができません。

違いがわかりますでしょうか?

まずはこの、赤い美しいライン取りに後輪をしっかり通せるよう、走路ラインの構築を行う必要がありますね。しかもそのラインを一発で見抜いていける観察能力がストリートやワインディングではとても重要になります。競技のジムカーナであれば何度も下見を行ってラインを考えるわけですが、ストリートでわざわざ下見をする人は居ないわけで、そのぶん、マージンを持たせつつも効率的に走れるラインをアタマで構築し、美しくも繊細、大胆にそのラインをトレースできるようになるまで練習を重ねることは重要ですね。

このような訓練は、いわゆるライテク本に書いてある、アウト・イン・アウト、もしくはアウト・センター・アウトの原則を踏襲した「基本の型」ともいえるものだと思います。まずは、コワくないペースで安定して赤のラインを通れるようになりたいところです。

そしてその「ライン取りの安定感」がたしかなものになってから徐々に、

  「いかにAとBでの『向き変え』を短時間で行うか」

の練習に移行する、ということになります。ブレーキの掛け始めの位置、リリースの位置、アクセルの開け始めと開け終わりの位置など各操作の連携を絶妙に制御しつつ、かつ、それらは単独でばらばらに操作するのではなく微妙にオーバーラップして連綿と続いた一連の操作にくわえ、バイクのリーンに合わせたナチュラルな上体のフォーム作りとステップ荷重の印加にも重ねて練習が要求されるのです。

そしてA~Bの間隔によっては、A,Bでの向き変えは、セルフステアのみでは間に合わないため、自らハンドルを切り増しして向き変えを作らねばならないこともあるでしょう。切り増しの最大量は物理的にハンドルストッパーまで、という制約もあります。そのフルロック状態でさらに小さく回るにはバンク角の維持も必要になりますね。

***

コトバで書くと、長くなって要領得ないですね~。こりゃもう走りこみあるのみですかね。走りましょう。開けましょう。新しい世界が見えてくるです。

#完全に鬼軍曹の教えの影響をうけてますね最近。

ブレーキ・あれこれ

2005年11月21日 23時41分08秒 | ライディングのキモ
片道一時間の自転車通勤を週に2~3回楽しむようになって2年ほどなんですが、このサイトの「風速」の情報には特にお世話になっています。
特に夜遅くの帰り道がきつい向かい風だと、内心かなりショックを受けながらも、歯を食いしばって頑張ることになるので…。
そのサイト内の「気温」分布図も、ちょっと前までは真っ赤だったのですが、ここ数日、10度以下を示す青一色に占められるようになりました。

さて、そういう季節になりますと路面も冷え、タイヤも冷え、特にバイクの走り始めには十分な注意が必要となりました。寒い季節は『急』のつく操作はすべてご法度となります。急加速、急ブレーキ、急な角度(リーン)をつけての旋回、など。
特に大型バイクでは冬の朝いち、アクセルを無用心に開けますとあっけないほど簡単にリアが滑りますし、ブレーキをガツンとやりますと、Fブレーキが音も無くロックします。タイヤが温まるまでは、用心深く優しく操作を行いたいです。
自分の経験では、「タイヤが温まるまで」とは、まあ、素手で触ってほのかに暖かくなるくらい(およそ人肌)のレベルで、これは走り始めて、信号4~5個にひっかっかって止まるくらいの間、って感じですかね。
余談ですが、タイヤを暖めるのにパイスラの要領で速度一定で右へ左へハンドルを切って蛇行するシーンが見られますが、これいまいち温まりません。タイヤを暖めるには、タイヤ内の空気の圧縮と膨張を行うべく、タイヤを揉まないといけませんので、むしろバイクを立てた直線で、「しっかり加速、しっかり減速」を繰り返してタイヤに荷重をかけてやると良いのです。(もっともこのような露骨な運転は、公道では後続車のいないところで行うべきですが。)

さらに、タイヤの銘柄によっては温まる前と後で顕著にグリップが変わるものがあります。しかも困ったことに、ハイグリップ系のタイヤになるほど、最初の設計段階から温熱時の使用を前提としているために冷えているときは全然ハイグリップじゃなくなっていることも要注意です。最近は温度依存性の少ないシリカという物質を多く配合して温度依存性を小さくしたタイヤも登場していますが、やはり過信しないことが大切です。

ブレーキねた、ということでもうひとつ挙げると、冬はオーバーパンツを履いたり厚手のソックスを履いたりして、「ブレーキを踏んでいないときの足首の自然な角度」が春夏とは変わってくることがあります。こんなときは、無意識のうちに、足首を必要以上に曲げて自分の乗り方を調整してしまいがちですが、長距離乗り続けるときに余計な疲れの原因になってしまいますし、思わずブレーキから足を離したままストリートを走ってしまいがちです。その走り方はブレーキ位置に足をもどしてからブレーキ操作をすることになるので、いわゆる「空走距離」が伸びてしまい、危険です。

そういうときは、こまめに自分のバイクのブレーキペダルやシフトペダルの角度を調整してやるといいですね。この写真は僕のFZSの右ステップ部分を後方から撮影したものですが、画面中央のナットをスパナで緩めたあと、その上の黒いゴムブーツに接している金色のナットを回して高さを上げたり、下げたりすることになります。バイクによって、作りが様々ですが基本構造はどれも同じで、テコの原理でブレーキマスターを押し込む部分の長さを変化させてやるわけです。

自分の体格やフォームにベストマッチングさせたバイクで、この冬も熱く楽しく
ライディングを楽しみましょう!





まず、止まること。

2005年11月19日 01時16分09秒 | ライディングのキモ
綺麗な月夜です。こうこうと。
空気が澄んで、ピンと張り詰めてます。お気に入りのジャケットをはおって、走り出したい秋の夜、ですね。アクセルもいつもより多めに開きそうです。

で、思いついたテーマはブレーキです。何はなくとも、まず止まること。これ超重要。速く走るためには、ブレーキを完全に使いこなさなければなりません。
路面とタイヤの最大摩擦力を完全に引き出し、理論値に最も近い短距離で速度を自在に制御できてはじめて、アクセルを思い切り開けられる、
というものです。

ちょうど、昨年の夏に NHK 教育テレビで「趣味悠々・中高年のためのツーリング入門」という番組が好評を博しましたが、この番組の中で、平忠彦さんがおっしゃった「フロントブレーキをかけたときのタイヤがつぶれる感じを感じてください」というアドバイスに非常に感銘をうけました。これぞ世界の頂点で、ブレーキを限界まで使いこなした方のお言葉なんだ、と。

ブレーキをかけるとき、とくに講習会やスクールなど、「パイロンまできたらぎゅうーっとブレーキをかけて止まってくださ~い」の課題に慣れすぎると、えてして、パイロンのところで「うおりゃ~っ」とばかりに息を止め、「クソ握り、クソ踏み」に陥ってしまっている方はいませんか?もしくは、「ムンクの叫び」状態で、酸素不足の金魚のごとく、ブレーキと格闘してしまっていませんか?

ブレーキは親のカタキではなく、僕たちの力強い見方です。いまいちど、ブレーキを掛けたときに起きる車体の変化、サスの沈み込み、荷重のかかる方向の変化、そしてタイヤのつぶれ、を手に取るように理解できているかどうか、確認してみましょう。バイクと自分は、しっかり対話できているかな? タイヤと路面の接地面からの声が聞こえているかな、などなど。

そんなブレーキの練習を公道で行うのはリスクが高すぎます。よって、スクールや講習会で十分に練習を積むのがマル、なんですが、上にも書いたように、「練習のための練習」に陥っちゃだめですよね。公道では、車や自転車が飛び出してくるときにパイロンが置いてあったり旗が振られるわけではありませんから。

それでもなお練習が必要なのは、結局はカラダで覚える。それしかないからですかねやはり。前後のブレーキを7:3で使う、とかいう「知識」をとっさの場合に具現することなど普通は無理です。前も後ろも100使い切って急制動する以外に手はないんです。無意識で100使えるかどうかを決めるのは、やはり日ごろの練習です。

そして、極力、100使わざるを得ない状況を作らないことが何より大事であります。

こんな月夜の晩は、そんなことを考えながら、優しく走りたいですね。

で、画像は今年の白バイ大会の女子選手の部、奈良県の選手の方です。見事にアタマは路面に対し水平を保っていながら、最大のリーンインが決まっています。目線、大事ですね!