むすぶ つなぐ

「悪の枢軸」とされる国から思いつくまま……。

達人

2011年05月15日 08時52分39秒 | Weblog
テヘランに戻ってきた。
母国でも何でもないけれど、空港に降り、ペルシア語が聞こえてくると、ほっとするように。


2週間、中東4カ国で貴重な経験ができた。
何かとひとくくりにされる中東も、気候も人柄も、それぞれ全く違うことをあらためて実感。

それにしても、どこの国も言語の達人、いやコミュニケーションの達人が多い。
頭がいいとか、高学歴という話ではない。
人の出入りが多いこと、歴史的にも外国とのかかわりが多いことから、必要にせまられ、とにかく誰でもよく言葉を知っている。

レバノンでは「アラビア語かフランス語、どっちにする?」と聞かれ、何度か困った。
シリアの市場には、イラン人旅行客との会話だけで、ペルシア語をマスターしてしまったおっさんが何人もいた。




長いブランクの末、ペルシア語講座が再始動!
テキストはどんどん難しくなるばかりで、脳みそがぐねぐねになる感じだ。

これまでの先生は日本に留学してしまったので、その友人の後任の先生が初めてやってきた。
前任者と比べれば、日本語がややたどたどしいけれど、日本に行ったのは、「日本語スピーチコンテスト優勝」のご褒美で行った2週間だけとか。
それを考えれば、なんと脅威的な習得力……。

イラン北部の出身で、もともとトルコ語(アゼリ語)は小さいころからできるし、アラブ首長国連邦に一時住んでおり、アラビア語もぼちぼち。
英語も日本語もとにかくめちゃくちゃ勉強している。

この向上心の強さはどこから来るのか……。
この先生も、日本でドクトル(博士号)を取るのが目標で、近く文部省奨学生試験が迫っている。
合格してしまうと、来春また後任を探さないといけなくなり面倒だけれど、頑張る人は応援したい。




イランに来てそんな「達人」に出会うたび、本当に、自分が改めてちっぽけに見えてくる。
そんな自分に気づかされる時の感覚は、不思議と結構うれしい……(変だろうか?)
何度も決意ばかりで空回りしているけれど、何はともあれ言葉だ。
がんばろ。




そういえば、最年少の私の語学の先生だった4歳の女の子は、日本で順調に治療中。
時間はまだまだかかるが、頑張っているらしい。

イラン人のお父さんは、娘の病床につきそいながら、巧みな日本語で看護師さんたちをからかっているらしい。日本人のお母さんはあきれている。
どんな状況でも明るく強い「達人」だ。

看「Sさん、お変わりないですか」
S「いやあ、実は……。うちの親戚が亡くなりましてねえ」
看「それはお気の毒です。どなたですか」
S「名前は、ビン・ラディンっていうんですけど……」