むすぶ つなぐ

「悪の枢軸」とされる国から思いつくまま……。

希望の大きさ

2010年01月12日 02時58分22秒 | Weblog
正月前後の新聞各紙をじっくり読んだ。


署名がある記事には同僚でも他社の記者でもどうしても目がいってしまう。
記事が1面かどうか、記事の面積が大きいかどうか。
そんなことは実はどうでもいい。
(そんなことばかり気にしている記者もたくさんいるけれど……)

大事なのは、焦点が人間に当たっているかどうか。
いろんな喜怒哀楽を描きながら、希望を描き出すような記事は最高だ。
そんな記事には、筆者が若くてもベテラン記者でも、他社の記者でもいつも尊敬するとともに嫉妬してしまう。




テヘランの空港で、18歳の若者に話しかけられた。
これからカナダ・トロントの大学に旅立ち、都市工学を学ぶという。
10歳から英語を学び、マレーシアに母親同行で短期留学。
それだけに英語も流暢だ。

「あなたのペルシア語は発音いいですね。このまま頑張ってください」
若いくせに適当なおべんちゃらまで言えて、コミュニケーション能力まで高い。
全身から「可能性のかたまりオーラ」が出ている。



イランの一般社会で英語が通じる割合はたぶん日本と同じくらい。
一方で、それなりの意識を持った若者の語学熱はものすごく高い。
英語だけでなく、フランス語、ドイツ語、イタリア語……。
どこか豊かで自由な国に行けるかもしれない。
そんな生きる希望が語学に向かわせる。



全く何も恐れず、視線はひたすら前を向いて、いい夢だけを見ているよう。
18歳の軽い足取りがなんだかうらやましい。

束縛と圧政に苦しむイラン。
社会全体を絶望が覆う一方で、希望を持った人もたくさんいる。
その希望の大きさを数値で測れたら……。
豊かな日本とどちらが大きいだろう。



日本は今年、国全体のGDPの大きさが中国に抜かれるそうだ。
なんだか暗い観測が多いけれど、人口が全く違うんだから仕方がないと思えばいい。
それでも世界で3番。

やたらに下を向いていじけるのって、ばち当たりな気がする。