(6月15日微修正しました)
こんにちは、毎度お馴染みKボーイです
今日は西落合の旦那(KATO)の新製品発表日ですね。何が出るでしょうかね?
楽しみにしましょう。懐事情を考えると欲しいものが無い方が良いのですが(えー)
さて、今日は前に宣言した通り、手付かずだったNゲージ車両群の整備のお話です
栄えある第1弾は、
TOMIXの103系 スカイブルー・初期型非冷房車です
国電の代名詞とも言える103系通勤電車でも、「低運転台・非ユニットサッシ・前照灯白熱灯」という原初の姿を再現した模型です
過去2回生産されていますが、今回取り上げるのは2020年12月に発売された改良品です。初回品に比べ新型M-13モーターの採用や車端部床下配管の再現などが改良点になります
製品構成は
●品番98399「国鉄 103系通勤電車(初期型非冷房車・スカイブルー)基本セット」
●品番98400「国鉄 103系通勤電車(初期型非冷房車・スカイブルー)増結セット」
●品番9008「国鉄電車 サハ103形(初期型非冷房車・スカイブルー)」
の3つです。
基本セットは3両、増結セットは2両です。
無論、今回は京浜東北線としての入線なので基本セットとサハが2つずつ、増結セットが1つずつ購入しました。なお付属の前面行先表示パーツ・転写シートは京浜東北線のほか、阪和線と中央西線も想定した内容となっています
さて、このセットを京浜東北線として遊ぶ場合、昭和40年代前半の登場時とするなら、それほど深く考える必要はありませんが、昭和50年代の量産冷房車・ATCとの混結を考え出すと非常に深い沼に突入します。
スカイブルーではなく青沼の世界ですな。
103系自体が五色沼ですが、その深い沼の一端を今回はお話できたら良いなと思います
模型の主な仕様は、
・非冷房・ライト白熱灯・前面通風口有の原形の姿を再現
・M-13モーター採用
・ATS-S形車上子パーツ付属
・車端部の床下配管を再現
・転写シートに所属標記収録(南カマ・天オト)
になります。
◎基本セットの中身
(基本セットの中、POPは実車写真付きです)
基本セットの車種構成は、クモハ103形・モハ102形・クハ103-500形の3両です。
クモハ103-0
●ジャンパ栓
●アンテナ用穴開け治具
●前面方向幕パーツ(4ランナー)
●運行番号パーツ(4ランナー)
●ATS車上子
●排障器
●転写シート(インレタ)
になります
前面方向幕パーツは「大宮」「大船」「南浦和」「磯子」「中央線」「天王寺―和歌山」「天王寺―鳳」「区間快速 天王寺―和歌山」が、運行番号パーツは「01C」「53A」「07A」「21C」「37T」「41A」「43A」「36A」が含まれています
おのおのの組み合わせは説明書に記載されています。
説明書通りに「01C・大宮」にしちゃいましたが、昭和61年(1986年)に浦和電車区に集約化される前の京浜東北線は、A運用が蒲田電車区、B運用が下十条区、C運用が浦和区と別れていました。今回は蒲田区を想定しているので本当はA運用に交換しないとね
※2021年現在の京浜東北線はA運用が浦和出庫、C運用が蒲田出庫、B運用がその他です
転写シートはコチラ。
車番のほか、所属標記「南カマ・天オト」、ATS標記「B」、シルバーシートマーク、JRマーク、そしてオマケに意味深なユニットサッシ車の車番が収録されています
所属標記の収録はありがたいですね。無いと寂しいので今までガレージメーカーのインレタを適宜貼っていましたが、モノによっては入手が困難という場合がありますのでね。
なお転写シートの詳しい解説は後にいたします
◎増結セットの内容
増結セットはモハユニット2両です。
モハ103-0
モハ102-0(T車)
例によって付属品はなく、車番は基本セットのを使います
◎サハ103形
増結用のサハは単品です。京浜東北線10両なら1両、阪和線6両なら1両必要です。こちらも付属品はありません
◎模型の細かい所を見る
まずはお顔から見てみましょう。
良いお顔。ただその一言です。
絶妙なバランスなんでしょうね。これで窓ガラスのHゴムが太めだと台無しになったりするのですが。前照灯も消灯状態で暗くならない構造となっていて見た目が良くなっています。灯火類はヘッドライトは非常に明るく、テールライトはぼんやりと点灯します。
前面は通風口のある原形です。各種媒体で実車の写真を見る限り、早い段階で通風口が鉄板で塞がれた車が多かったように見受けられます。
さて、初期型103系と言えばKATO製が大先輩です。
両社を並べてみるとどうでしょうか?
これが50年の差か…。
こうして見るとTOMIX製はほっそりですね。
でも、古いKATO製だって悪くはない。
これはこれで古き良きNゲージです
続いて側面です。
クモハ103の側面です。
上回りがシンプルな103系だけに、作りこまれた床下がより強調されますね
クモハ103先頭部拡大
細かな配管の再現はさすがハイグレードです。
従来品では先頭部だけであった床下配管表現ですが、
今回から妻面側も追加されています。配管はTNカプラーと一体成型で、TNカプラーの分売が始まれば従来品のアップデートも可能です
モハ102形の側面です。
非冷房なので床下はぎっしりしていません。
床下と言えば、改良品から追加された付属品にATS車上子があります。
こうした細かいパーツが付属品として含まれるとは…。
実に感慨深いですね
車上子は先頭車のライトスイッチのところに取りつけます。
取り付けるとより一層細密になります。
でも、S形の車上子だからね。
ATC化前はATS-B形であった京浜東北線仕様にする場合、原則不要です。
ただ例外として、京浜東北線にも一部S形併設車がいて、そうした車が近郊線区の海水浴臨等に入っていたそうで、またATC化に伴い初期車が中央西線へ転属した際もS形併設車が移動していったそうです
そのほか、
クモハ103形のパンタグラフとその周辺。
避雷器は取り付け済みです
モハ102形は非冷房車なので妻面に配電盤蓋がない状態です
細かい所は以上です
◎この模型の楽しみ方諸々
さて、この製品を京浜東北線として楽しむならどんな編成が良いでしょうか?
国鉄時代の京浜東北線は103系は、非冷房初期型の時代→ATC車投入期→ATC化→民営化直前の変動。この4期に別れます。
京浜東北線に103系が登場したのは昭和40年(1965年)のこと。
ごく初期は変則8両でしたが、3+7の10両編成で投入されました。昭和46年(1971年)には101系の転入および常磐線・山手線からの103系の転入により新性能化を達成しました。この新性能化完了にあたっては転属車を中心にした8両編成やウグイスやエメラルドグリーンとの混色編成が登場するなど混沌とした時期でもありました。ここまでが非冷房・初期型の時代です
(引用:『鉄道ファン』2006年5月号より)
昭和49年(1974年)からはATC準備車を含む量産冷房車の投入が始まりました。浦和電車区の編成は10両貫通編成化が進められる一方で、蒲田電車区と下十条電車区の編成は、3両付属編成はそのままに、7両基本編成側に新製冷房車を投入。追い出された車は阪和線や中央西線、青梅・五日市線の新性能化に回されました。
ATC対応の先頭車は昭和53年(1978年)にはおおむね揃ったようです。そして昭和56年(1981年)の初春から蒲田・下十条の編成を順次ATC車を先頭とした4+6編成への組み替え実施。その年の12月6日から大宮―蒲田間にてATCによる運転が始まりました。
これで落ち着いたかと思うと、昭和60年(1985年)に山手線205系が登場すると、山手線から103系が一部転入。翌年3月には下十条・蒲田区の車両無配置化、浦和区への統合など目まぐるしく変化しています
1986年、浦和区に統合された直後の編成表を見ると、
(引用:『電車編成表』86年復刻版)
中間に封じ込まれた非冷房車のクモハ103とクハ103がゴロゴロ。
そして目立つウラ58編成の異様さ。
両先頭車はクハ103のハイナンバー車、モハ102のインフレナンバー車もいるのに非冷房車が混結。
そこは頑張って全車冷房化しようよ…。
で、1986年当時の京浜東北線ですが、完全冷房車の4+6分割編成はウラ66・70・81編成の3本でした。
10両貫通編成の完全冷房は、ウラ56・69・76・82編成の4編成。
(引用:『電車編成表』86年復刻版)
つまり京浜東北線の完全冷房編成はたったの7本でした。
この編成表からわかることは、国鉄末期に至っても京浜東北線の完全冷房編成は珍しく、非冷房車を混結させるの方が自然ということですね。
国鉄時代の京浜東北線103系の大まかな流れは以上の通りでした。
と言うことで、今回の初期型非冷房車ですが、いつの時代にするかによって編成の組み方は変わります。
旧型モハ72系と並べるなら初期型非冷房車で揃った3+7の編成です
ATC車と遊ぶなら、基本7両編成をATC車に、付属3両編成の初期型非冷房車の10両編成、もしくはちょっと勿体ないですが初期型非冷房車を中間に封じ込めた4+6両編成ですね
あとはお気に召すままに
◎転写シートのお話
物が単純なので、付属品の取り付け自体に困難はないのですが、
やっぱり悩んでしまうのが転写シートです。
先に述べたように車番のほか、所属標記「南カマ・天オト」、ATS標記「B」、シルバーシートマーク、JRマーク、そしてオマケに意味深なユニットサッシ車の車番が収録されています
この転写シートを前にして思いました。
どの車番を選べばいいの?
ご承知通り、国鉄時代は今みたいな編成単位の車両管理ではない上に、京浜東北線103系はATC化と冷房化の流れで変遷が激しく編成はなかなか固定されません。
またお馴染みジェイ・アール・アールの「電車編成表」は1978年が創刊号で、その頃には京浜東北線にATC仕様の先頭車がおおむね出揃い、初期型非冷房車で統一された編成はなかったようです。
でも、わからないじゃしょうがない。
とりあえず転写シートに含まれている車番と、新製配置区所、1978年時点での配置区所、1987年国鉄民営化時の配置区所をメモしました
所属は新製配置→1978年版電車編成表での所属区→1987年版電車編成表での所属区と記述します
◎クモハ103(Mc)+モハ102(M´)
●Mc-39+M´-131 南カマ→西トタ→近ナラ
●Mc-16+M´-91 北ウラ→名シン→海シン
●Mc-8+M´-81 南カマ→名シン→海シン
●Mc-42+M´-135 南カマ→西ミツ→西ナハ
●Mc-106+M´-233 南カマ→南カマ→北ウラ
●Mc-124+M´-265 北モセ→北モセ→北ウラ
●Mc-13+M´-86 北ウラ→天オト→近ナラ
◎モハ103(M)+モハ102(M´)
●M-99+M´-151 北モセ→天オト→近ヒネ
●M-101+M´-159 北モセ→北モセ→南シナ
●M-113+M´-192 北モセ→南カマ→南カマ
●M-121+M´-214 南カマ→南カマ→千ラシ
●M-138+M´-255 南カマ→名シン→海シン
●M-140+M´-261 北モセ→天オト→近ヒネ
◎クハ103-500(T´c)
●T´c-505 南カマ→西トタ→仙リハ
●T´c-507 南カマ→西ミツ→西ナハ
●T´c-512 南カマ→南カマ→海シン
●T´c-518 北モセ→天オト→近ナラ
●T´c-543 北モセ→北モセ→北ウラ
●T´c-559 南カマ→南カマ→海シン
●T´c-547 南カマ→南ヒナ→仙リハ
●T´c-569 南カマ→南ヒナ→仙リハ
◎サハ103(T)
●T-83 南カマ→名シン→海シン
●T-95 南カマ→名シン→海シン
●T-96 南カマ→西トタ→海シン
●T-8 北イケ→天オト→近ヒネ
●T-128 北モセ→北モセ→北ウラ
●T-180 南カマ→南カマ→南ヤテ
●T-200 北モセ→北モセ→北ウラ
●T-201 北モセ→北モセ→北ウラ
◎付録のユニットサッシ車の車番(いずれも南カマ新製配置、後に北ウラ)
●モハ103-551+モハ102-707
●モハ103-629+モハ102-785
見ての通り派手に転属している車番がほとんどで、1987年の国鉄民営化時点で京浜東北線・浦和電車区(北ウラ)にいたのは僅かです。
これは先に述べたように1974年以降、京浜東北線に103系冷房車を投入→既存の初期型を転属、というパターンが確立していたのと、製品のコンセプトとして転属後の阪和線や中央西線を考慮しているのが理由です。なお、民営化後の(南カマ)は横浜線用です。
さらに調べていくと、こんな編成があった模様。
〇1978年 蒲田電車区第12編成
●クモハ103-106(非冷房)
●モハ102-233(非冷房)
●クハ103-589(非冷房)
●クハ103-415(高運転台ATC)
●モハ103-629(ユニットサッシ)
●モハ102-785(ユニットサッシ)
●サハ103-180(非冷房)
●モハ103-629(ユニットサッシ)
●モハ102-785(ユニットサッシ)
●クハ103-416(高運転台ATC)
太字はこのセットに収録された車番で、斜字は高運転台・ATC車セット(品番92585)の転写シートに含まれる車番です。クハ103-589以外は両セットで対応できる特徴です。
なお編成中のサハ103-180は1979年にサハ103-473に差し替えられました。このサハ103-473も高運転台・ATC車セットの転写シートに含まれています。もし混成編成を組むならこれが良さそう。
〇1978年 下十条電車区第16編成
●クモハ103-124(非冷房)
●モハ102-265(非冷房)
●クハ103-543(非冷房)
●クハ103-427(高運転台ATC)
●モハ103-559(ユニットサッシ)
●モハ102-715(ユニットサッシ)
●サハ103-128(非冷房)
●モハ103-560(ユニットサッシ)
●モハ102-716(ユニットサッシ)
●クハ103-426(高運転台ATC)
非冷房車だけは一応揃う編成です。残りはバラで頑張りましょう
なんか生半可に手を出したせいで、泥沼になってます
結局のところ、初期型非冷房車で3+7編成を組むなら、転写シートから蒲田電車区新製配置車を適当に選んで遊ぶのが精神衛生上良さそうです。
結局、私が選んだ車番
●クモハ103-106/ モハ102-265
●クモハ103-42/モハ102-135
●モハ103-113/モハ102-192
●クハ103-507・589
●サハ103-87・180
となりました
上に述べた1978年頃の蒲田電車区第12編成を組成用と、残りは適当に選ぶことにしました
◎入線整備など
今回は初期型・非冷房車の10両編成の他、ATC車との混結もいたします。
我が家にはATC車を先頭としたユニットサッシ車の方は17両あって、10両は「東ウラ」、すなわちにJR仕様しています
そして残り7両を「南カマ」の国鉄仕様とし、1978年の蒲田電車区第12編成にいたします。
製品の転写シートにはエンド標記が無いので銀河モデルN-738「エンド標記」を、ユニットサッシ車の所属標記はトレジャータウンのTTL803-43「103系京浜東北線標記」、行先表示は銀河モデルN-556「行先ステッカー(209系京浜東北線用)」をそれぞれ使用
行先は初期型非冷房車に側面方向幕が無い事を良い事に、を南行・北行両方向に対応できるように「07A 大船」、「41A 大宮」を2両ずつ用意。
ATC車と混結させる際は大宮です。
さて、これで103系初期型非冷房車の整備が終わりました。
これで昭和50年代から国鉄末期の京浜東北線を再現できます。
これでも京浜東北線103系としてはライトな楽しみ方で、混色編成とか変形先頭車を極めると大変なことになります。
ハイグレードの103系はとても素晴らしい出来ですが、懐には厳しいのでそこまで手が回りません。
101系なんかも欲しいけど、マイクロエース製はアレだし、KATO製は塗り替える必要があるし、ひとつグリーンマックスのエコノミーキットでも組みますか?
以上です
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クハ・モハ・クモハ・クハ・モハ・モハ・サハ・モハ・モハ・クハ
4+6は、一編成だけだったんじゃなかったかな?