醸楽庵(じょうらくあん)だより 

主に芭蕉の俳句、紀行文の鑑賞、お酒、蔵元の話、政治、社会問題、短編小説、文学批評など

醸楽庵だより  229号   聖海(白井一道)

2016-03-07 13:18:42 | 随筆・小説

  沖縄の自己決定権(6)

呑助 翁長沖縄県知事さんは元自民党の沖縄県議会議員だった方が自公政権に反旗を翻すようになったんですかね。
侘助 オール沖縄がなぜ実現したのかということなのかな。
呑助 翁長さんは今でも日米安保は必要だと言っていると聞きますよ。
侘助 日本の安全保障は日本人全員で検討し、負担すべきなのではないかと、いう考えのようなんだ。
呑助 当然のことですね。
侘助 よく言われていることの一つが、米軍基地の73%強が沖縄に集中している。沖縄県の面積は日本全国の0.6%しかない。そんな狭い島に米軍基地が集中している。だから本土の人々は考えてほしいという事なんじゃないかと思っているんだけどね。
呑助 今までは沖縄の自民党として、米軍基地の存在を受け入れてきたわけなんでしよう。
侘助 オスプレイという垂直に上昇し、水平に飛行する大型輸送の軍事用航空機の導入と辺野古に米軍新基地建設には沖縄の自民党として受け入れられないという考えになったようなんだ。
呑助 オスプレイをハワイの米軍基地に配備しようとしたらハワイの住民が反対し、米軍は配備を取りやめたらしいですね。
侘助 アメリカ自国の住民の意志をアメリカ政府は尊重するが、日本国民の意志をアメリカ政府も日本政府も尊重しないことに怒りを沖縄の自民党だった翁長さんは持ったのじゃないかと思っているんだけどね。
呑助 日本人の気持ちを大事にするのが日本民族主義者の取るべき態度じゃないんですか。
侘助 日本の保守政党、自民党は日本人の生命・安全を尊重していないのかもしれないなぁー。少なくとも民族主義者とは言えないよね。
呑助 アメリカのいうことは何でも受け入れる。そういう政権を傀儡政権というですかね。
侘助 2013年1月29日、普天間飛行場へのオスプレイ配備撤回と基地負担の軽減を政府に求める「建白書」(要求書)を提出したんだ。その建白書の冒頭は次のようなものだった。「われわれは、2012年9月9日、日米両政府による垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの強行配備に対し、怒りを込めて抗議し、その撤回を求めるため、10万余の県民が結集して「オスプレイ配備に反対する沖縄県民大会」を開催した」と。にもかかわらず、日米両政府は、沖縄県民の総意を踏みにじり、県民大会からわずかひと月もたたない10月1日、オスプレイを強行配備した。
呑助 沖縄の人々の怒りが爆発したんですね。
侘助 沖縄41市町村、首長たちが安倍総理にこの要望書を手交した。彼らは当日、日比谷公園で集会を開き、総理官邸までデモ行進をした。その時、沿道には日の丸と旭日旗を掲げた人々がいた。初め、先頭を歩いていた翁長さんは歓迎と拍手で迎えてくれるのかと思ったそうなんだ。ところが、沿道に旭日旗と日の丸を掲げた人々は沖縄は日本から出て行け、反日の沖縄人と侮蔑する暴言を浴びせられ、これが日本の保守なのかと思ったらしい。この時のショックは翁長さんの気持ちを180度変えてしまったようだ。日本本土の皆さんに代って米軍基地を沖縄が引き受けていることに日本国民は感謝してくれていると思っていたがそうではない。日本本土の人間は沖縄の人々を差別しているにすぎないのだという事に気が付いたようなんだ。この出来事は翁長さんにとって決定的な出来事になったようだよ。本土の日本人に対して国の安全保障は日本国民全員で考え、負担を背負ってほしいと痛切に思うようになった。沖縄だけが感謝もしてくれない基地負担を背負う必要はないと、ね。
呑助 翁長さんの気持ち、分かるな。ネト右翼という人々が沖縄の保守的な人々を変え、オール沖縄を作ったということなんですかね。