![]() | そして謎は残った―伝説の登山家マロリー発見記ヨッヘン ヘムレブ,エリック・R. サイモンスン,ラリー・A. ジョンソン文藝春秋このアイテムの詳細を見る |
エベレストに初登頂したのは、1950年代のヒラリー卿とシェルパのテンジンととされていますが、この本は、それよりも約30年早く登頂したかも……とされている伝説の登山家のジョージ・マロリーの遺体を発見するために結成された、1999年エベレスト登頂隊の登頂記です。
1924年6月、エベレスト頂上アタックのパートナーに、登山家としてはまだ未熟であるものの酸素吸入器の操作に優れたアーヴィンを選んだマロリーは、アーヴィンと共にセカンドステップという場所を登頂しているのを、アタックのパートナーに選ばれなかったオデルに、雲の合間から目撃されたのを最後に消息不明になります。
マロリーとアーヴィンはこのあとエベレストに登頂していたのか、はそれ以降、もっとも興味に満ちた謎となりました。
当時から、マロリーが登頂にコダックのカメラを持参していたことから、遺体がみつかって所持品の中にカメラも見つかれば、撮影フィルムに登頂の証拠があるのではないかと考えられていたことが、この本で紹介されたマロリー捜索隊の結成動機であったということです。
子供の頃何かの本で、マロリーは知的でハンサムな男性で、「なぜ山に登るか」と聞かれ「そこに山があるからだ」と答えたなんていう有名なエピソードも読んだことがありました。
なんか、かっこいいおじさんかも……なんて、妄想していましたが……
この本で紹介されるマロリー捜索隊は、結局マロリーの遺体を8150メートル付近で発見します。
本ではマロリーとアーヴィンの写真なども載せられていますが、マロリーは思ったよりも普通のおじさんで、アーヴィンの方が遙かにハンサムでした

発見されたマロリーの遺体は、うつぶせで洋服の切れ目から背中からお尻の部分が見えていて、頭部は氷漬けになっていてわかりませんが、75年前に亡くなったとは思えないきれいさでした。
残念ながらマロリーの遺品の中にはカメラはなく、結局登頂か否かの謎はそのまま残りました。
マロリーの装備も遺体の着ていた服装から多少分かりますが(今で言うとスノージャケット1枚分程度の装備では?)、正直、私が昔登山に行ったとき程度の装備なので、驚きました。
こんなんでよくぞ8000メートル以上登ってきたな、と。
靴下も毛糸のもので、防水なんて感じではなく、凍傷になってしまいそうです。
マロリーの装備では、登頂は難しかったかも……という気が私はしています。
山好きの方はぜひ。

