◇juri+cari◇

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柳広司さん『ダブル・ジョーカー』

2009-08-28 12:45:11 | 読書
帝国陸軍内に設けられたスパイ組織・D機関と

そこを統轄する謀将・結城中佐の活躍を描いた人気シリーズ第2弾。


打倒D機関を目標に設立された

陸軍エリートからなるスパイ組織・風帰還。

「殺さず、死ぬな」を貫くD機関と

「躊躇せず殺し、潔く死ぬ」を掲げる風機関との暗闘(『ダブル・ジョーカー』)


慰問のため、漫才師が訪れた野戦病院を舞台に、

理想に燃えるスパイと、彼に迫る黒い影を描く『蝿の王』


第一次世界大戦末期のヨーロッパを舞台に繰り広げられる

若き結城と、ドイツ諜報部員の壮絶な戦い『棺』


―など、全5編を収録します。


個人的に印象深かったのは、

真珠湾攻撃直後のアメリカを舞台に

異母兄弟であるD機関員2人を主人公にした『ブラックバード』


本短編集のラストを飾る本作。

これまでのシリーズ同様のおもしろさはもちろん、

誰もが気になるであろう『シリーズ最大の謎』

その一端が明らかになるのが嬉しいです。


これまでの作品のように読み進めていた読者を、

二重、三重に裏切る残酷なラスト

彼ら、そして結城はその後どうなったのか

いつかまた、彼らを描いた続編が出ることを願ってやみません。


スパイ小説、サスペンスのスタイルながらも、

人が殺されないので、安心して読むことができる本書。


前作からのファンはもちろん、

サスペンスに普段はあまり興味のない方にも、強くおススメしたい作品です。


<補>

言うまでもなく、本作最大の謎は

こんなにすごいスパイがいたのに、何で戦争に突入し

そして、敗戦したのかという一点に限られます。


「すごさのインフレ」を抑え、連載にもひと段落つけた本作。


まだまだ読みたいのですが(野性時代の来月号にはスピンオフが載るようです)

たぶん、これ以上書かれることはないんだろうなぁ・・そんな気がします

いしいひさいちさん『大問題09』

2009-08-28 00:14:02 | 読書
本書は、『ののちゃん』をはじめ、

ミステリー、現代思想、歴史―など

幅広いジャンルに関する4コマを発表する著者による

時事問題を扱った恒例シリーズ


『09』と冠した本書では、

北京オリンピックから、総選挙にいたるこの1年の話題について、

抱腹絶倒のギャグに包みつつも、するどく本質を暴き出します。


某ヨッパライ大臣、暴言大臣、ギョーザなどの、

新メンバー?はもちろん、

キムさん、小沢さん、ナベツネツネオさん

10年前とからほぼおなじみのメンバーも絶好調

というか、10年前から目立つ人が変わらないってどうなんだろう

・・・・という気もするのですが


それはさておき、個人的には

あそう容疑者逮捕!!やあそう流「CHANGE」

相変わらずのフリチントン&ヒラリーが笑いのツボ。

運悪くバスの中で読んでしまったので

顔がにやけるのを抑えるのに、必死でした。


また、小泉元首相が刺客候補だけでなく

本当の刺客まで落下傘のように投下した・・・

という「社会001」には、ギャグとしての可笑しさとともに、

薄ら寒いものを感じました。


筆者ならではの、鋭い視座から

この1年を振り返るとともに、これから1年を見通す本書。

とくに今年の場合、選挙に行く前に読むことを強くおススメします☆