1分で読める小さなお寺の法話集

子育て、人材育成に関する法話を実話と歴史から紐解いて書いております。

【住職の法話。考え方を少し変えるだけで、苦しい人生が、楽しい人生に】 97歳で他界婆様が生前「50年も先にあいつ(婆様夫)、死にやがって。向こうに逝って「この婆、誰や」などと言ったら、張り倒す」と。

2022-05-11 16:50:32 | 法話
昨日法話に登場の90歳を超えて乳癌手術をした婆様だが、自身の葬式前に「住職よ、夫は50年前に他界したろ。あの世に逝った時、わしは夫の若い時の顔を知ってるから、見逃す事はないが、夫は『こんな皺くちゃ婆さんなど知らんぞ』と言わんかいな」「大丈夫。婆様の結婚当初の写真を棺の中に入れといてやる」と。

【追伸】
この婆様には数多に法話のネタを貰った。ある時などは、夜中の2時ごろに電話が掛かってきて「おい、起きとるか」と。「今、起こされたわい」「じゃ、起きとるな。今、わしの家が火事になった夢を見た。もし本当に火事になったら、まず、何を持って逃げたらよかか」と。「体1つでよか。拙僧が焼く前に、焼かれちゃあかんで」「おうよ。で、通帳はどうや。全財産が入っとる。通帳は銀行に行ったら、また再発行をしてくれる」「ほんまか」「嘘言うてどないすんねん。それよりくさ、そんだけ欲があれば婆様、まだ死なんな」「いつ死んでもいいんじゃがな、わしは」と。この婆様とはよく会話を交わした。その中でも、パターン化された会話は「婆様、90超えとるのに、元気がいいな」と声を掛けると「元気がいいから、この歳まで生きとんじゃ。くだらんこと言うな」「長生きの秘訣を教えてよ」「細かい事を考えん事や。わしは何が嫌いって、口ばっか先に立って、動かん人間や。文句言い、講釈言いは、動かんと相場が決まっとる。建設的な意見のない文句、講釈は、雑音でしかないわい」と。拙僧、元気が欲しい時には、この婆様の家へ、気合を入れてもらいに。もう、今は、この世におらんが。一休宗純さんが「今死んだ。どこにも行かん。ここにおる。尋ねはするなよ、物は言わんぞ」と。これだけで十分支えだね。見てくれていると思えば、それだけで安心して動ける。







【住職の法話。考え方を少し変えるだけで、苦しい人生が、楽しい人生に】 読者が「住職はバラエティーの健康番組を見るは、好きですか」と。「いや、仕事の時に聞くだけで腹一杯。あれは、人の恐怖を煽るだけ」と。

2022-05-11 10:38:07 | 法話
知人社長令嬢48歳独身が、ステージ2の乳癌に。手術、抗癌剤終えて会社に復帰を。「どうね」「やっぱ、気が滅入りましたね」「だよね。先日25回忌だった檀家婆様は、90歳を超えて乳癌手術を。術後当日の夜、院内散歩して主治医から注意され『寝とったら呆けろうが』と。凄かろ」「負けてますね、私」と。

【追伸】
この令嬢が「祖母も母も乳癌で、2人とも重かったんですが、長生きを。私もそれに肖りたいな、と思ってます」と。「拙僧、これまでに900人以上の葬式、その何倍もの人との生死に縁が。この範疇での私感だが、人間は病気じゃ死なない。必ず寿命。肺癌が消えた女性(2年前、66歳女性、余命1年宣告)や、余命宣告年数より、5年も10年も長生きした人など、様々見てきた結果の私感だけどね。ただ、乳癌は現在、10人に1人と。昔は未婚女性や授乳してない女性が発症する確率が高い、と言われていたが、昨今では発症要因は様々。男性の前立腺癌と同じく、乳癌は遺伝の影響も大きいと。乳製品においては、脂肪含有量の多い乳製品の摂取は乳癌発生のリスクが高い可能性があると。が、そうでない乳製品は発症のリスクを低下させる可能性が、と。医学の見解は時代が進むにつれ、新たな見解が次々に。今現在、発表されているものを信じて予防していくしか。体質は人それぞれなれど、親の細胞を貰っての我が身かなれば、まずは、親の病気を参考に、用心しながら人生を」と。





【住職の法話。考え方を少し変えるだけで、苦しい人生が、楽しい人生に。2387話目】 信仰は特別な物じゃない。特別な物に、している者がいるだけ。山に篭り、座禅に身を置かずとも、悟りは日常生活の中にも。

2022-05-11 06:09:52 | 法話
どこぞの拝み屋さんに薦められたと、婆様と孫娘がわが寺へ。聞くと、その拝み屋さんから「嫁ぎ先の先祖より、実家の先祖を見る役目がこの孫娘にある。金剛寺(拙僧の寺)を訪ねて行き、そこで僧侶になり、修行して、実家を守ってゆけ」と言われたと。拙僧「その拝み屋さんって、誰だよ」と聞いても、教えようとは。

【追伸】
その孫娘に「ご主人はそれを承諾してるのかい」と。「いいえ。無理矢理納得させます」と。その後、私生活全般を事細かく尋ねた後に「僧侶ってね、簡単な仕事と思ってる人が多いが、例えば、拙僧は、朝5時から境内の掃除を2時間、その後に1日の仕事が始まる。これが1年365日、毎日続く。就寝は夜の12時、休みは1日もない。修行ってね、念仏積んだり、お滝に入ったり、お百度したり、山に篭ったりと、そんな事ばかりが修行じゃないんだよ。坊主でも結婚するし、子育てもする。老いた親の世話も夫婦で協力しながら。それも全て、修行の一貫。君の話を聞いてると、それを全て拒否し、ご主人に丸投げと。何かあれば、拝み屋さんか、占い師さんのところへ。指導された事を鵜呑みにして、その積み重ねで今また、嫁ぎ先を捨てる行為を。あなたがまずしなきゃならん事は、掃除、洗濯、食事の用意。子育てに親の世話だよ。働かなくてもいい、高給取りの、それも、あなたが怠けている間、家事全般をしてくれてる優しいご主人の負担を減らす事だよ。生活全般を見直しな。僧侶になるなど論外。嫁ぎ先の先祖を捨てて、実家の先祖をあなたがお守りするなど、以ての外。あなたのお兄さん夫婦に対しても大変失礼な話。ご主人の菩提寺の手伝いと、ご主人の家の先祖をお守りするが君の役目。実家の先祖は定期的にお参りに行けば、それでいい。ところでくさ、拙僧のお寺を紹介した、その拝み屋さんって、どこの、誰なのよ」と聞いても、絶対に口を割らず。
【追伸】
信長公に「武田家を擁護した」の理由で攻められ、山梨の恵林寺(武田信玄公菩提寺)で300人の僧侶と共に焼き殺された快川紹喜は辞世で「安禅は必ずしも山水を須(もち)いず。心頭滅却すれば火自ずから涼し」と。「安らぎの心は必ずしも、山や川やお寺でないと貰えないものではない。心持ち次第で何処ででも悟りは得られる」が、この言葉の意味。形にこだわる事も、時には必要ない事も。が、こだわり過ぎたら、間違った道に踏み込んで行きかねない。

投稿写真は、山梨県の恵林寺。