333ノテッペンカラトビウツレ

 奇跡は 誰にでも 一度おきる だが おきたことには 誰も気がつかない

2008年の1ダース

2009-01-02 01:11:38 | SP(Standard Program)
年始恒例。映画1ダースです。筆者が去年観た映画の中から勝手に1ダース(12本)を紹介しております。『シークレット・サンシャイン』、『全然大丈夫』、『ダージリン急行』、『エグザイル/絆』は去年の1ダースに入れておりますので外してあります。ではまずタイトルから。

○2008年の1ダース(タイトル/監督 ※タイトル五十音順)
『ウォーリー』/アンドリュー・スタントン
『M(エム)』/イ・ミョンセ
『崖の上のポニョ』/宮崎駿
『片腕マシーンガール』/井口昇
『ぐるりのこと。』/橋口亮輔
『Sparrow/文雀(原題)』/ジョニー・トー
『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』/ポール・トーマス・アンダーソン
『ダークナイト』/クリストファー・ノーラン
『タクシデルミア』/パールフィ・ジョルジ
『人のセックスを笑うな』/井口奈己
『HOT FUZZ』/エドガー・ライト
『ミスト』/フランク・ダラボン


去年は3分の1が来年公開の映画になってしまったので今年は年内に公開されたもので揃えてみました。ただ『文雀』に関しては…しょうがない。これを外すわけにはいかんのです。東京フィルメックスで2回だけ上映されたジョニー・トーの新作ですが、こりゃ完全なミュージカル映画の傑作!いや、誰も歌いはしないのですが、冒頭でチンケなスリ役のサイモン・ヤムが音楽にシンクロして身体を揺らしている段階で完全に降参。福岡でやっと観た『マッド探偵』も含め、イチ早い日本での一般公開を希望します。

アニメーションはジブリとピクサーという両雄になってしまいました。超絶技巧を駆使して物語も何もなく、ただひたすらに欲望が画面いっぱいに炸裂する『ポニョ』は楽しませてもらいました。決して尊敬はしませんが。『ウォーリー』はジブリとは真逆の方向に進化を続けてきた彼らのひとつの到達点。映画の前半/後半でリズム、動き、CGの使い方がガラッと変わる構成も俺的にはオッケー。そしてラストはこんなにも純粋でベタな物語をブツけてくる彼らの志にホロリと来てしまいました。

日本映画はどれも完成度高し。2本目にして巨匠感アリの井口奈巳に、待った甲斐があった橋口亮輔。次はまた6年後なんだろうか?そしてこちらも巨匠です。井口昇の『片腕マシンガール』!野蛮な映像の中に優しさと真心が詰まっていて泣けました。『M』と『タクシデルミア』は完全な偏執狂映画。どちらもビジュアルに対するコダワリがハンパなし!コダワリという点では『HOT FUZZ』もスゴかった。エドガー・ライトの映画愛が映画の完成度を阻害することなく炸裂している様には感服。

そしてアメリカ映画がやはり…スゴいんですよね。フランク・ダラボンの傑作『ミスト』はダラボン大好きのグチャグチャドロドロ描写がふんだんに盛り込まれつつもスーパーマーケットを舞台にしたアメリカ社会の縮図アリ、予想もしなかった衝撃のラストありと戦慄し通し。個人的には“希望”について考えさせられる作品。それは『ダークナイト』も同じこと。純粋な悪であると同時に、”人間の中の悪魔”をあぶり出すことに命をかけるジョーカーの存在を描ききった傑作。

そして12本の中の頂点に立つのがPTAの新作『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』。欲望に取り付かれたモンスターのような男がひたすらに石油と権力を求めて暴走する戦慄の160分(体感時間は100分)。目的もなくただ「石油と金と権力が欲しい」という男を完璧に造形した狂気の1作。こ、言葉もないっす。

というわけで他にも素晴らしい映画はあるわけですが、ひとまずこの辺で。今年もよろしくお願いします。